定年後を支える3つの柱

現時点で貯蓄額が少ないと心配している方もいるかもしれませんが、定年後にいきなり収入がゼロになるわけではありません。定年後を支える3つの資金源を知り、そのバランスを考えて行動することが大切です。

1:年金

まず1つ目の柱は年金です。日本年金機構「令和2年4月分からの年金額等について」によると、国民年金(老齢基礎年金・満額)は月額65,141円、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)は月額220,724円です。就業期間や収入などによって個人差があるため、自身の受給額は「ねんきん定期便」「ねんきんネット」で確認しましょう。また、個人年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などを利用して準備しておくのもおすすめです。

2:退職金

2つ目の柱は、老後の貯蓄を支える大きな資金源である退職金。しかし、退職金の有無や金額は勤めている企業によって大きな差があります。自身の退職金がいくら出るのかは、社内規定や通知などでしっかり確認しておいた方が安心です。

3:給料

3つ目の柱として注目されているのが、再雇用制度などによる収入源の確保です。「改正高年齢者雇用安定法」により、令和3年4月から70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となります。働き方も多様化しており、引き続き同じ企業で再雇用のほか、別会社に就職したり起業したりするケースも増えているようです。

現時点で貯蓄が心もとなくとも、こうした収入のバランスで無理なく老後生活を送ることも可能なはずです。また、内閣府では老後の生活全般にわたる相談窓口を掲載しています。困ったときはまず相談してみるのもいいでしょう。

セカンドライフのイメージを掴み、自分らしい生活を

誰しもが年齢を重ね、企業に勤めていれば定年がやってきます。「なんとなく不安」という気持ちをそのままにしておくよりも、しっかり老後資金について調べ、セカンドライフのイメージを掴んでおいた方がよりよい生活が送れるのではないでしょうか。今から準備できることもたくさんあります。自分らしい生活を送るためにも、早めに老後について考えておきたいものですね。

【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。


【参照】
メットライフ生命が2020年10月2日に発表した「老後に関する調査
厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況(平均寿命の国際比較)
金融広報委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」4金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書
厚生労働省「平成29年(2017)患者調査
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)
内閣府「暮らしの相談窓口のご案内

古谷 梨子