遅番の翌日に早朝勤務?!

筆者が配属されたのは、ホテル事業の中の「食堂課」でした。ホテルといえば、宿泊者のために朝からモーニングサービスを提供しているだけではなく、昼は昼食や喫茶の場所を、夜になると夕食の準備に追われ、夕食の後はバーラウンジでの業務もあります。

シフトの組み方に不信感

筆者が不信を抱いたのは、ホテル側のシフトの組み方です。バーラウンジでの勤務を終えるのが22時を過ぎるというのに、翌日のシフトは5時半出勤の朝食担当なのです。いくら新人だからといっても、遅番の翌日に早朝勤務というのは問題なのではないでしょうか。

1度や2度ならまだしも、中堅の先輩や同僚も同じようなサイクルで勤務しているのですから驚きました(もちろん中堅以上の上司はゆったりとした勤務体制が基本です)。遅番の翌朝に早朝勤務がある日は、帰ってお風呂に入ったり食事をしたりする時間を確保すると、睡眠時間は3〜4時間程度。日に日にストレスが抜けにくくなり、肌荒れや落ち込みやすくなるなど心身ともに支障をきたすようになっていったのはいうまでもありません。

補足:2020年の時点では、「働き方改革関連法」に基づき、「労働時間等設定改善法」が改正されたことにより、勤務終了後一定時間以上の「休息時間」を設ける【勤務間インターバル制度】が2019年4月に施行されています(※ただし、導入は義務ではなく、「努力義務」の位置づけです。履行しなかったとしても企業に罰則はありません)。

若手社員はほぼ例外なく寮生活!

このような過酷な勤務体制でも問題なく勤務できている若手社員のほとんどは、ホテルに隣接している寮で生活をしているからでした。筆者はそのような勤務体制があることを面接時に知らされておらず、寮生活が必須だとも聞かされていませんでした。

しかし、いざ入社手続きが終わると「寮に入りなさい」「勤務体制を守りなさい」などの要求が多く不満を感じていました。

カビ臭い4畳ほどの部屋

上司に連れられて足を運んだ寮では、4畳ほどの薄暗くてカビ臭い部屋に案内され、「就職して自立する」という夢を見ていた筆者は、その部屋を見た瞬間に現実に引き戻されたような、夢を壊されたような絶望感で動けなくなっていました。

結局、寮の雰囲気がどうしても受け入れられず、ホテルから20分ほど離れた場所で1人暮らしをすることに…。上司からは「寮に入らなかった無法者」として目をつけられ、肩身の狭い思いをしたものです。