スカパーJSATHD、事業コストの低減や衛星回線利用に伴う収益改善により通期利益予想を上方修正

2020年11月4日に行われた、株式会社スカパーJSATホールディングス2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社スカパーJSATホールディングス 代表取締役社長 米倉英一 氏\n株式会社スカパーJSATホールディングス 取締役 仁藤雅夫 氏\n株式会社スカパーJSATホールディングス 取締役 大松澤清博 氏\n株式会社スカパーJSATホールディングス 取締役 小川正人 氏

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連結損益概要

米倉英一氏(以下、米倉):⽶倉でございます。本⽇はお忙しい中、スカパーJSATホールディングスの決算説明会にご参加いただきまして、ありがとうございます。私から、2020年度第2四半期決算についてご説明します。

本⽇発表した2020年度第2四半期連結決算の概要からご説明します。決算説明会資料の4ページをご覧ください。

前年同期⽐で⾒ると、営業収益は5億円増の698億円、純利益は19億円増の79億円となり、増収増益となりました。増収の要因は、メディア事業の視聴料収⼊等が減少する⼀⽅で、宇宙事業において、新規衛星であるJCSAT-17及びHorizons 3eの収益が拡⼤したこと、利益⾯では、前年同期⽐でメディア事業の営業費⽤が減少したことが増益の要因となります。

通期予想に対しては、利益⾯で計画を上回って進捗しているため、今回、通期業績予想を修正することにしました。こちらについては、後ほどご説明します。

メディア事業の業績概況:前年同期比

5ページをご覧ください。メディア事業の業績概況です。前年同期と⽐較して、減収増益となりました。

営業収益は、前年同期⽐33億円減少の465億円です。累計加⼊件数の減少に伴い、視聴料収⼊が21億円、基本料収⼊が4億円、業務⼿数料収⼊が4億円ほど減少しています。

営業費⽤は、54億円減少の418億円です。視聴料収⼊の減少に伴う番組供給料11億円の減少に加え、⾃主チャンネルの編成⾒直しによりコンテンツ費⽤が11億円減少したこと、また前年に東京メディアセンターの設備更新に伴う⼀時的な減価償却費の増加が発⽣したことにより、前年同期⽐で減価償却費が11億円減少したこと、新型コロナウイルスの影響で施策の実施が限定的だった等の理由で販促関連費⽤が5億円減少したことなどが費⽤の減少につながりました。

これらにより、セグメント利益は15億円増の34億円となりました。

宇宙事業の業績概況:前年同期比

宇宙事業の業績概況についてご説明します。前年同期との⽐較では、増収増益となりました。

営業収益は、前年同期⽐34億円増加の288億円となりました。航空機Wi-Fi関連の収益が6億円減少した⼀⽅、新たにサービスを開始したJCSAT-17、Horizons 3eの収益が37億円増加したこと等によるものです。

営業費⽤は、減価償却費や衛星事業原価等の増加で27億円増加しています。これらにより、セグメント利益は前年同期⽐4億円増の48億円となりました。

2020年度通期業績予想修正

2020年度の通期業績予想の修正についてご説明します。8ページをご覧ください。まずは、連結の業績予想修正について、前回予想との⽐較でご説明します。

営業収益は10億円減の1,390億円、営業利益は40億円増の160億円、経常利益は40億円増の165億円、親会社株主に帰属する当期純利益は30億円増の110億円と、利益⾯において通期業績予想を上⽅修正することにしました。

修正の理由を含め、次ページにてセグメント別業績予想についてご説明します。

2020年度 セグメント別業績予想修正

9ページをご覧ください。前回、6⽉に通期業績予想を発表して以降、新型コロナウイルスの影響を両事業において精査してきました。

メディア事業においては、⼤型イベントの中⽌などにより営業収益の減少が発⽣する⼀⽅で、その関連コストも減少したことに加えて、従来から進めている事業全体のコスト構造⾒直しの効果が出始めていることから、メディア事業の業績予想を修正し、営業収益は前回予想から24億円減の915億円、セグメント利益は13億円増の31億円としました。

宇宙事業においては、航空機Wi-Fi需要を中⼼に保守的に⾒込んでいた衛星回線利⽤に伴う収益が、前回発表時から改善する⾒通しです。

費⽤⾯でも、事業の運営コストの低減や⼀部の先⾏費⽤の発⽣が遅延すること等を反映することにより、宇宙事業の業績予想について、営業収益は前回予想から7億円増の580億円、セグメント利益は17億円増の85億円と上⽅修正しました。

CATV局と連携したFTTH再送信サービスエリアの拡大

ここからは、メディア事業の取り組みについてご説明します。11ページをご覧ください。

まずは、FTTH再送信サービスについてご説明します。10⽉に公表しましたが、今回、ケーブルテレビ事業者と放送設備を共⽤する、初の協業事業モデルを実現しました。設備・リソースの共有による事業の効率化を図ることで、FTTHサービス提供エリアの全国展開を加速させるとともに、再送信サービスの加⼊者拡⼤を図っていきます。

この協業により、11⽉以降、東北エリアの宮城県、⼭形県、岩⼿県の3県にもサービス提供が順次可能となり、提供可能世帯数は累計31都道府県の3,200万世帯に拡⼤、世帯カバー率は約60パーセントとなります。

下期施策「スカパーみんなのファン祭り #いい沼ハマってんね」

12ページをご覧ください。ファンマーケティングの⼀環として、今年度下期にかけて、「スカパーみんなのファン祭り」という企画を実施します。

加⼊者限定のオンラインイベント、オンライントークショーなどの企画に加え、加⼊者はもちろん、未加⼊者の⽅も参加可能なオリジナルコンテンツの配信など、「スカパー」を通じて多くの⽅に楽しんでいただく、コンテンツの祭典となっています。

多チャンネルのコンテンツを起点として、ファンとのさまざまな接点を作り、各コンテンツへのさらなる興味関⼼、当社サービスへのロイヤリティの向上に向けて取り組んでいきます。

メディアHUBクラウド

13ページをご覧ください。メディアHUBクラウドという構想についてご説明します。当社の設備であるスカパー東京メディアセンターを配信基地として発展させ、コンテンツプロバイダとOTTサービス事業者の双⽅に対して、短期間かつ低コストで、信頼性の⾼い配信⼿段の提供を⽬指すものです。

これまで、コンテンツプロバイダは、コンテンツを配信するための対応を各OTTサービス事業者向けに個別に展開しており、⼀⽅で、OTTサービス事業者もコンテンツの集信に際し、コンテンツプロバイダ毎に個別に対応が必要となるなど、双⽅にとって⼿間とコストがかかるという課題がありました。

そこで、PLAY社と連携し、スカパー東京メディアセンターとPLAY社のソリューションをあわせたメディアHUBクラウドがコンテンツ素材の集積地、「HUB」となることで、⼿間とコストを低減し、この課題解決を図ります。

これに加え、ご要望に応じて、コンテンツ制作からサイト、アプリの制作までを⼀気通貫で提供可能にすることで、当社とPLAY社のノウハウを最⼤限活⽤したサービス提供を⽬指していきます。

技術試験衛星9号機(ETS-9)に関する協定書をJAXAと締結

宇宙事業のご説明です。9⽉に公表しましたが、スカパーJSATとJAXAは、技術試験衛星9号機「ETS-9」の実証後期間の定常運⽤業務の委託、及び、相乗りペイロードによる衛星バス利⽤に関する協定書を締結しました。

「ETS-9」は、通信コストを削減するための最先端技術を各種搭載し、その実証に向けてJAXAが静⽌軌道に打ち上げを予定している技術試験衛星です。今回の協定書には、「ETS-9」の実証後期間に、当社が横浜衛星管制センターから運⽤受託を⾏うことと、同機に、静⽌軌道の状況を撮影する光学望遠鏡を搭載することが含まれます。当社は、この光学望遠鏡を利⽤したスペースデブリ対策を⽬的としています。

今後は⽇本政府との連携の下、静⽌軌道上のスペースデブリを撮像し、宇宙環境を把握することで、スペースデブリと⼈⼯衛星の衝突を回避し、宇宙の安全に寄与することを⽬指します。

『衛星防災情報サービス』提供に向けた協業

10⽉に公表した、国内初の「衛星防災情報サービス」の開発、提供に向けた協業についてご説明します。

地図情報、建設コンサルタント分野のそれぞれ国内最⼤⼿であるゼンリン、⽇本⼯営とタッグを組み、スカパーJSATと⽇本⼯営が共同で開発した衛星データを活⽤した防災ソリューションと、ゼンリンが保有する詳細な住宅地図データを組み合わせて解析することで、企業や⾃治体の事業継続計画(BCP)に役⽴つサービスとして、2021年の提供開始を⽬標としています。

この「衛星防災情報サービス」は、平時には衛星データを活⽤して⼟砂斜⾯や河川堤防、道路などの社会インフラを広域にモニタリングします。災害リスクを可視化することで防災に繋げていき、さらに災害発⽣時には衛星データの活⽤により、広域かつ迅速に被害状況を把握し、救難、復旧活動の⽀援や2次災害の防⽌に繋げていきます。

また、本サービスは、国内のみならずアジアをはじめとした海外での展開も予定しています。本サービスにより、SDGs(持続可能な開発⽬標)の17のグローバル⽬標のうち、「9. 産業と技術⾰新の基盤を作ろう」「11. 住み続けられるまちづくりを」「17. パートナーシップで⽬標を達成しよう」の達成に向けてグローバルに貢献していきます。

衛星フリート図

17ページをご覧ください。こちらは衛星フリート図です。前回9⽉から変更はありません。

新会社設立

新たな取り組みについてご説明します。19ページをご覧ください。当社グループでは、社内公募の新規プロジェクトとして、クラシック⾳楽専⾨配信サービスの事業化検討を昨年より進めてきました。

顧客のニーズを分析し、海外のみならず、国内の交響楽団、及び吹奏楽のコンテンツを拡充することで、これまでにない⾳楽コンテンツの提供ができると考え、今回の新会社設⽴に⾄りました。

スカパーJSATがファンド会社に出資し、ファンドが持つベンチャー育成、事業⽴ち上げノウハウ及びネットワーク等を活⽤し、新規事業を推進していくのは初の試みとなります。配信サービスの提供に加え、国内の学⽣向け演奏イベントを主催、番組制作も⼿掛けていきます。実際に、10⽉にはイベント事業第1弾として、トゥッティ社が吹奏楽フェスティバルを開催し、⼤変熱気のあふれるイベントとなりました。

今後は、このノウハウを活⽤し、学⽣の定期演奏会等の中継制作にも積極的に取り組み、コロナ禍における⾳楽イベント開催の選択肢として、当サービスをご活⽤いただけるよう展開していく予定です。

企業ブランディング活動開始(REBRANDING)

最後に、企業ブランディング活動についてご説明します。スカパーJSATグループは、今年度経営計画である「プラン2020+」の1つの柱であるREBRANDINGの取り組みとして、10月から企業ブランディング活動を開始しました。

スカパーJSATは、平成元年に日本初の民間通信衛星の打ち上げというチャレンジから始まりました。スカパーJSATは我々の企業ブランドではあるものの、とかく有料・多チャンネル放送のビジネスのブランドであるスカパーだけに引っぱられる傾向があり、宇宙事業のブランドであるJSATのイメージが薄れがちです。

我々は、地上波でも、BS各局やケーブルテレビでも、動画配信でもない、あくまでもスカパーJSATグループとして、お客さまに満足いただける放送、配信、ファンサービスといったエンタメサービスをお届けすることに加え、お客さまの安全・安心をお届けする生活インフラ、ライフラインの構築の一翼を担う企業グループとして、また地上から宇宙空間までを我々の舞台と捉える民間企業として、「未知を、価値に。」を合言葉に、ユニークで夢のあるサービスの提供に挑戦し続けるつもりです。

その姿、イメージが広く世の中のみなさまの心に刺さるような企業ブランディング活動を展開してまいりますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。私からの説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:メディア事業の費用減について

質問者1:メディア事業と宇宙事業のそれぞれで質問があります。まず、メディア事業について、今回はコンテンツの費用減と販促費用減ということでした。ご説明によると、新型コロナウイルスの影響でイベント等が減ったというよりは、自主チャンネルの編成見直しということで、ここが構造改革によって減ったものであり、下期にまた増えるものではないということでしょうか? 

また、販促関連費用は新型コロナウイルスの影響で5億円減ったということですが、その分は下期に使っていくのでしょうか? メディア事業の費用の状況についてお願いします。

小川正人氏(以下、小川):コンサートなどのイベントがけっこう減っているため、それに関連する費用が出なかったことに加えて、今おっしゃったとおり、当社の自主コンテンツの編成をかなり見直しているため、その費用が上期に出ていないということです。また下期もそれほど増えない予定であり、それは継続していきたいと思います。

ただし販促費用については、これから新型コロナウイルスの影響がどうなるかはわからないのですが、上期にできなかったものを下期に実施しようと計画しているものがけっこうあるため、販促費用は使っていく予定です。

質疑応答:宇宙事業の営業収益の上方修正について

質問者1:宇宙事業についてですが、今回の見直しで通期の営業収益予想は7億円の上方修正にとどまっています。これは、航空機Wi-Fi向けの収入を当初は保守的に見積もっていたということだと思うのですが、そこが7億円ほど戻るということでしょうか? それとも、新型コロナウイルスの影響によって他の部分が少し減ったものの、Wi-Fiの部分が7億円以上増えている状況ということでしょうか? 7億円の上方修正に至ったプラスとマイナスの事情のご解説をお願いします。

大松澤清博氏(以下、大松澤):今年度の宇宙事業の通期の見通しですが、ご指摘のように、当初は航空機Wi-Fi向けの売上を保守的に見ていたところ、上期の実績、そして足元の状況から、今回通期の見通しを上方修正させていただきました。それが大宗です。

一方、宇宙事業の収益全体として、当然、新規の取り組みも行っているのですが、やはり一部で新型コロナウイルスの影響があるため、足元の状況を踏まえて、少しマイナス方向で見直しをしています。その結果、大宗は航空機Wi-Fi向けの収益の改善が見込めているということです。

質疑応答:新規3衛星の業績への寄与について

質問者1:新たな衛星の寄与についてです。NTTドコモ向けの「JCSAT-17」はコンスタントな売上で、「Horizons 3e」は徐々に立ち上がっているということですが、このあたりの立ち上がりの現状や新型コロナウイルスの影響はどうなっているのでしょうか? 

また、「JCSAT-1C」は、まさにこれからという時に新型コロナウイルスが出てきたため、そのあたりはこれから、いろいろとチェンジしていくのだと思うのですが、「JCSAT-1C」あるいは「Horizons 3e」の現在の状況はどうなっていますか?

大松澤:ご指摘のとおり、新規3衛星でこれから収益規模を上げていこうと取り組んでいるところです。「JCSAT-17」は当初から、実績として100パーセントの売上がしっかり上がるかたちで推移しています。

「Horizons 3e」ですが、これは携帯電話回線のバックホールを含め、地上固定系の利用など比較的用途が多く、その関係上、新型コロナウイルスの影響をそれほど受けていません。仕上がりとしては「Horizons 3e」に関しても順調に売上を伸ばしているところで、今年度についても、ほぼ計画どおりに進捗できると考えています。

一方、HTSサービスを担う「JCSAT-1C」ですが、航空機Wi-Fiの今後の成長を取り込んでいくためのHTSサービスを狙っているところで、まさしく今回の新型コロナウイルスの影響が一番大きく出ているところです。「JCSAT-1C」については、モバイル向けに加えて、海外のブロードバンド需要に対応するための衛星でもあります。特に東南アジアを含め、然るべき売上を上げるべく、来年度に向けて着々と準備を進めているところです。

今後の見通しとしては、「JCSAT-1C」の今年度の収益化は厳しい状況ではありますが、2021年度以降、航空業界の回復、及び東南アジアあるいは極東向けのブロードバンド需要をHTSサービスとしてしっかり取り込み、当初の取り組みを進めていくことによって、なるべく早く当初計画に近いかたちでの収益化が図れるように取り組んでいく予定です。

質疑応答:来年度の利益の考え方について

質問者1:売上と利益の状況がこれだけ好転しており、特に利益の上方修正には驚いたのですが、上方修正後の営業利益160億円をベースにして、来年度も160億円からさらに増益に向かっていくというお考えでしょうか? 今期の上方修正がすごく大きかったため、その点を確認させていただければと思います。

米倉:2019年度の決算報告のとおり、基礎収益力という意味では、実力値は税後利益で100億円から120億円前後はあると見ています。ただし、今回の新型コロナウイルスによって、世の中がどう動くかわからない部分もあります。

またグローバル展開についても、衛星関係では日本のマーケットがシュリンクしており、大松澤からも説明がありましたが、政治的な要因もあり、今回のアメリカ大統領選後の日中あるいは米中関係が予測できないことから、逆に何らかのコミット的な発言をして誤ったメッセージを出したくないという思いもあります。

今期の基礎収益力をどうキープするか、安定的に配当していくかという従来の路線を堅持していきたいというところが、今の段階でのお答えとなります。

質疑応答:上期・下期の利益のバランスや、基礎的な収益力について

質問者2:質問が2つあります。1つ目が、上期と下期の利益のバランスについて、メディア事業と宇宙事業とでご解説いただけますか? メディア事業では、上期に営業利益が47億円出ており、下期は3億円の赤字という前提だと思いますが、これだけの差が出なくてはいけないものなのかが少し理解できていないため、ご解説をお願いします。また宇宙事業も、上期と下期を比べると下期で10億円くらい利益が落ちる前提となっていますので、そちらもご解説いただけますか? 

2つ目は、御社の基礎的な収益力についてです。先ほど「税後で110億円は出る」というお話でしたが、営業利益において、来年度に御社がオーガニックに稼げる力は、今期の四半期ごとのどこの利益をベースに考えていけばよいでしょうか? 端的に言うと、今期の最終的な目標値に対して来期も増益できるのか、御社の考え方をお伺いできればと思います。

仁藤雅夫氏:1つ目のご質問ですが、両事業における上期と下期の利益、特に営業利益のバランスの問題について、まずメディア事業はご指摘のように上期は47億円の営業利益が出ていますが、下期営業利益はマイナス3億円で赤字予算になっています。

実はメディア事業の上期と下期のバランスは、いつも上期は利益が出て下期の利益はかなり少なくなる傾向にあります。過去3年間を見ると、2017年度下期は営業利益が7億円から8億円の1桁で、2018年度の下期営業利益はマイナス3億円でした。2019年度の下期も5億円程度の営業利益となっており、毎年このようなバランスで事業を運営しています。

先ほど小川から説明があったとおり、今年度も下期に向けてできるだけ加入を積み上げて来年度につなげたいということで、費用対効果を十分勘案しながら積極的に運営していきたいと思っています。そのようなバランスになっているのはすごく珍しいことではありません。

宇宙事業についても、上期の営業利益が68億円出ているのに対して、下期が56億円の計画になっていますが、宇宙事業も2017年度、2018年度の営業利益は上期よりも下期のほうが8億円少ない展開になっており、一般的にそのような傾向となっています。

2019年度だけは下期に一時的な利益があったため、下期のほうが少なくなるかたちにはなっていませんが、開発案件などがどうしても下期に出てきているため、そのようなバランスになることが多いということです。

米倉:2つ目の質問に関して、まず経営の視点として、私は営業利益ももちろん重視しているのですが、やはり税後利益もあわせて重視しています。

本来の「稼ぐ力」は営業利益ですが、企業活動していると、償却や特損や特益など、非効率のものを処分する、あるいは非効率な投資に関してはインペアメントするといったところも全部合わせた上での結果なわけです。したがって、内輪の話になりますが、役員の評価もあくまでトップラインではなく、セグメント利益、会社の税後利益はどうだったのかを踏まえて見ているということを、まずはご説明します。

その中で営業利益をどう見るかですが、宇宙事業とメディア事業に関していうと「アンノウンファクター」がけっこうあると思っています 。

この2020年に関しても、巣ごもり需要を取り切れたかというと、プロ野球が遅く始まったり、また地上波、BS各社、ケーブルテレビ、動画配信が入り乱れている状況でコンテンツが溢れていることもあり、苦しい状況が続きました。しかしながら、例えば「プロ野球セット」の解約を見ると、昨年に比べて状況はよく、まだ試合が続いているためそこまで激しく解約が進んでいるわけではありません。

あるいは、巣ごもりが続いた結果、コンテンツが溢れて、一部では「どれを見ようか」といった状況もあります。よって、いろいろなコンテンツが溢れている中で、「スカパーの番組、チャンネルにしようか」というお客さまもいると思います。

また、来期に向けてもいろいろなファクターがあります。私は、日本はヨーロッパのような状況にはならないと思います。ヨーロッパでは10万人単位で亡くなる方が出たり、1日の感染者数が3万人、4万人出ていますが、日本の感染状況がそのようになるとは思っていません。しかし、これはよくわからないわけです。その結果、例えばオリンピックは個人的には観客を入れて実施してもらいたいとは思っているのですが、無観客になる可能性もあると思います。

オリンピックの開催によって4Kや8Kの普及が進む可能性があり、量販店の方からは、4Kテレビでもより大型化したものが売れていると聞いています。4Kや8Kの豪快な画面でテレビを見ることによる感動や美しさみたいなものが、オリンピックを契機に伝わっていけば、我々のFTTHの話ではないですが、メディア事業の収益にも効いてくると期待しています。

今年は新型コロナウイルスによっていろいろなことが起き、プラスの面とマイナスの面があるのですが、それを見ずに「増益基調です」と言い切って、マーケットに誤ったメッセージを出してはいけないと思っています。

我々としては、withコロナでいろいろなことが整備されて傾向は読めてきており、ある程度の予測はできると思います。しかし、オリンピックを例に出しましたが、今後どう進むかはわかりません。

例えばゴルフであれば、「ゴルフこそ無観客でなくてもいいのではないか」という流れが出てきて、スポーツイベントの観客数も、現状の5割ではなく、8割や9割でいけるのではないかという流れが出てくれば、また違うことが言えると思います。

来年度に関しては、来年度の予算を作る2月から3月の状況で判断したいと思っています。

質疑応答:マーケティング費用の効率的な使い方について

質問者3:メディア事業について教えてください。先ほどのお話のとおり、新型コロナウイルスという非常に特殊な状況下にあったのは理解しているのですが、一方で御社はここ数年、例えばマーケティング費用の効率的な使い方についても進めてきたと理解しています。

このコロナ禍において、さらなる削減であったり効率的な使い方などの施策が議論されているのかをお聞かせください。

小川:社内では、効率的な使い方を求めて一生懸命議論しています。まさに今までも、できるだけ効率的にお客さまに入っていただく施策としては、どういうものがあるかを議論してきましたし、今後も効率的な費用の使い方を追求していこうと思っています。

質問者3:その注力の仕方が、新型コロナウイルスの影響が始まる前よりもさらに進む方向性なのかについてはいかがでしょうか?

小川:新型コロナウイルスの影響が始まる前でも、効率的に使おうとかなり一生懸命に取り組んでいましたが、今は、もっと効率的な費用の使い方を求めて日々取り組んでいます。それによって、SAC(顧客獲得費用総額)などでも効果が出てきている部分もあり、今後も続けていきたいと考えています。

記事提供:ログミーファイナンス

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