離職理由、女性トップは「結婚・妊娠・出産・育児」

次は、介護職を辞めた理由上位3つを男女別にみていきます。

1位(男性) 自分の将来の見込みが立たなかったため

男性:29.0%(女性:13.1%)

家族を養う立場になることが多い男性にとっては、賃金の低さなどがきっかけとなったと考えられます。

また、介護職はリーダーや介護主任などの立場になることはあっても、大きなキャリアアップという点では他職種と比べると乏しいため、不安を感じることもあるでしょう。

1位(女性) 結婚・妊娠・出産・育児のため

女性:24.8%(男性:4.1%)

介護の仕事は、動いたり、立っていたりする時間も多く、オムツ交換などの際は一定時間前かがみになることも。妊娠中の女性が働き続けるのは難しい部分もあるでしょう。

また、育児は女性が長時間担うことが多いため、退職の理由1位が男性と大きく異なっていると考えられます。

2位(男女共通) 職場の人間関係に問題があったため

男性:25.2%・女性:22.6%

「職場での人間関係の悩み、不安、不満等について(相談窓口の有無別)」をみると、「経営者や管理職等の管理能力が低い、業務の指示が不明確、不十分である」と回答した人は、相談窓口ありで12.2%なのに対し、相談窓口なしで29.0%でした。

とくに新卒での入職者や未経験者は、上司・先輩からの指示や指導が必要となる場面も多いですが、管理能力や指示の仕方に不満を感じてしまうと働き続けることが難しく、早い段階(3年未満)での退職につながってしまうと考えられます。

また、「自分と合わない上司や同僚がいる」と回答した人が、相談窓口ありで15.3%なのに対し、相談窓口なしでは25.4%でした。

介護の現場は、働いている人の年齢層も広いうえ、看護師やリハビリ職など他職種との連携も必須となります。
価値観の違いや、介護への考え方の違いなど、ずれが生じることも少なくありません。

ユニット型施設などでは、固定された少人数の職員で介護をおこなうため、気が合わない職員や苦手な職員がいると、憂鬱な気持ちになり、辞めたいと感じることもあるでしょう。

3位(男女共通) 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため

男性:24.3%・女性:15.6%

実際に施設などで働きだすと、面接の際に聞いていた理念とは程遠い介護状況であったり、運営体制がまったく整っていなかったりすることも少なくありません。

理想を抱いて入職した職場であっても、理念や運営体制に不満が募れば、働き続けることは難しいといえるでしょう。では、働く側のこうした声に対して、事業所側はどのような努力をしているのかをみていきます。

事業所がおこなっている対策とは

(雇用管理責任者を選任している事業所)

1位・・・本人の希望に応じた勤務体制にする等の労働条件の改善・・・68.4%
2位・・・残業を少なくする、有給休暇を取りやすくする等の労働条件の改善・・・65.9%
3位・・・職場内の仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている・・・54.3%
   (定期的なミーティング、意見交換会、チームケア等)

1~3位の結果をみてみると、「労働条件・仕事の負担に関する悩み・不安・不満」「介護職を辞めた理由」などを踏まえた対策が、積極的におこなわれていることがわかりました。

実際に、「今の勤務先で働き続けたい」の経年比較をみてみると、2016年から年々増加しており、事業所での職場環境の改善や労働条件の見直しなどが、一定の効果を発揮していると考えられます。