2020年10月28日に行われた、インフォコム株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:インフォコム株式会社 代表取締役社長 CEO 竹原教博 氏\nインフォコム株式会社 常務執行役員 久保井基隆 氏\nインフォコム株式会社 常務執行役員 山下正樹 氏

2021年3月期 第2四半期 決算ハイライト(連結)

竹原教博氏:2021年3月期第2四半期の決算説明会を始めさせていただきます。本日はお忙しい中お時間をいただき、誠にありがとうございます。インフォコム社長の竹原です。最後の重点事業の取り組みに関しては、電子コミック、ヘルスケアそれぞれの事業責任者からご説明いたします。

それでは、上期の決算の数字をご説明します。基本的に電子コミックが好調を継続し、大幅な増収増益になりました。売上に関しては20パーセントの増、営業利益に関しては27.4パーセントの増、当期純利益に関しては31.1パーセントの増で、非常によい決算だったと認識しています。

経営成績(連結)

こちらは先ほどの棒グラフを表にしたものです。

事業領域及びセグメントの構成

従来どおり2つのセグメントがあり、1つはネットビジネス・セグメントで電子コミックが中心です。もう1つはITサービス・セグメントで、医療機関向けのパッケージ関連のヘルスケアと、ERP、クラウド、ビジネスパッケージ関連のサービスビジネス、そして大手企業向けのシステムインテグレーション関連のエンタープライズです。

ネットビジネス・セグメントの業績(連結)

ネットビジネス・セグメントの業績ですが、電子コミックの売上は前年対比で39.8パーセントの増です。営業利益に関しても前年対比で50.9パーセントの増で、大きな営業利益増となりました。

売上に関してですが、データ分析をベースとした私ども特有のいろいろな施策があり、無料連載や独占先行配信、それからオリジナルコミック、このあたりがうまくいったということです。また、コロナによる外出自粛が需要を押し上げている部分もあります。

営業利益に関しては増益ですが、オリジナルコミックでけっこう大きなヒットが出て利益を押し上げている部分もあります。営業利益率ですが、今年度は17.2パーセントで、前年よりも1.4パーセント改善しています。

電子コミック配信サービスの業績(四半期売上高)

四半期ごとの売上です。第1四半期は前年対比で36.9パーセントの増、第2四半期は42.9パーセントの増になっています。第1四半期で会員をかなり積み上げ、第2四半期でさらに売上を伸ばしているかたちです。

2017年度を見ると四半期ごとにだいたい50億円ですが、今年度に関しては100億円を超えている状態で、3年間で倍以上の成長になりました。

ITサービス・セグメントの業績(連結)

ITサービス・セグメントです。ITサービスに関しては、残念ながら昨年対比で減収減益となりました。病院向けに関しては、前年に改元や消費税増税対応で特需と言っていいほど非常によい上半期でしたが、今年はその反動減が顕著に表れています。

もちろんコロナの影響もあり、企業向けに関してはWeb会議やWeb上でのセミナーを開くなど、いろいろなかたちで現場で工夫して比較的堅調に推移できた部分もあります。

スライドの右下に売上と営業利益に関して第1四半期が終わった時点での上期の予想を出していますが、売上が100億円で営業利益が3億円でした。結果としては、売上が109億7,000万円、営業利益が10億8,000万円で予想を上回って推移しました。

いろいろな理由がありますが、先ほどお伝えしたように営業活動の工夫で第2四半期はそれなりにがんばれたことがありますが、他にも実際問題で販管費をあまり使っていないため抑制されています。旅費や交際費を使っていないことが営業利益押し上げの要因の1つです。

投資実績

投資実績です。昨年度は人材派遣会社と韓国の電子コミックの配信会社を買収していますので資本投資がけっこう大きく出ていますが、他の事業開発に関わるコストや設備投資、研究開発投資は例年並みに推移したと思っています。

貸借対照表(連結)

B/Sです。特にお伝えすることはありませんが、利益剰余金が22億2,000万円積み上がりました。

キャッシュ・フロー(連結)

キャッシュ・フローです。今年度は期初で234億9,000万円を持っていましたが、44億8,000万円を事業で稼ぎ、投資、財務の配当金で、結果として262億2,000万円となり約27億円を積み上げました。

営業キャッシュ・フローに関しては、P/Lでご覧のとおり去年は30億円でしたが、今年は44億8,000万円で50パーセントほど増えています。

2021年3月期 業績予想(連結)

2021年3月期の通期の業績予想をご説明します。売上高は前年対比で20.8パーセント増の705億円、営業利益は27.9パーセント増の105億円、当期純利益に関しても20.9パーセント増の67億円を予想しています。

2021年3月期 業績予想(連結)〜前回予想との比較〜

上期の実績ならびに重点事業の今後の見通し等を踏まえ、上方修正しています。上方修正の幅ですが、売上に関しては前回の第1四半期が終わった時点の予想に比べ15億円の増、営業利益に関しては4億円の増、当期純利益に関しては1億円の増です。

セグメント別 業績予想(連結)

セグメントごとの業績予想をご説明します。ネットビジネス・セグメントの売上高は前年対比で39.5パーセント増の460億円、電子コミックは40パーセント増の457億円を予想しています。営業利益に関しては前年対比で61.6パーセント増の80億円で、大きな伸びを予想しています。

上期に会員をかなり積み上げており、基本的にそちらが下期の売上にもつながっていくと考えています。一方で、コロナの外出自粛がだいぶ退行してきてしまい、外出する方がけっこう多くなっています。

それによって、ある程度電子コミックの売上に影響があると思っており、そちらに関しては我々なりに数字に織り込んでいるということです。

ITサービス・セグメントですが、ヘルスケア領域の病院向けシステムは全般的にリードタイムがけっこう長くなってしまい、例年になく第4四半期への偏重が強くなっています。ただしその中でも主力の放射線部門向けは、去年は非常によかった特別な年ですが、例年どおりに進捗しています。

1つは、放射線部門は独立した予算を持っているということで比較的実行しやすいということ、また推測になりますが、コロナを診療する上でCTスキャンを使うため、需要は例年どおり活発にあると予想しています。

企業向けに関しては上期と同様に、Web会議やオンラインセミナーを活用して企業のIT需要を確実に刈り込んでいきたいと思っています。

株主還元

株主還元です。配当に関して今年度は中間配当が10円、期末配当が21円で、合わせて年間配当を31円と予想しています。

株主優待に関しては詳細を11月末にご案内しますが、例年どおり実行したいと考えています。以上で、私からの説明を終わらせていただきます。

電子コミック 成長戦略

山下正樹氏:ネットビジネスの山下です。私から電子コミック事業の取り組みについてご説明します。電子コミックの成長戦略として4つ挙げています。

マーケティング施策の推進、コンテンツの拡充、事業規模拡大に向けたインフラ整備、新しい市場の開拓です。これらを推進することで、2020年の会員数も大きく伸ばしてきています。今回は2020年度上期の主な取り組みについてご説明します。

電子コミック 上期の取り組み①

毎日無料連載です。こちらは2019年第3四半期から始めており、スライドのグラフのとおり、現在は作品数と配信話数をどんどん増やしている状況で、多くのお客さまにご利用いただいています。

毎日無料連載によって、当サイト「めちゃコミック」への来訪頻度を上げるとともに、早く続きが見たいお客さまに有料で漫画を読んでいただくことで売上にも大きく貢献している施策となっています。

電子コミック 上期の取り組み②

コンテンツ拡充関連です。オリジナルコミックにおいては、『青島くんはいじわる』という作品が単行本換算で100万部を超えるヒットを記録しました。また、作家および制作パートナー向けにオリジナルコミックのホームページを開設して、漫画をどんどん作っていく環境を整備しています。

オリジナルコミックの制作力強化ということでさまざまな取り組みを行っていますが、例えば小説等の文字ものをコミカライズしていくなどの取り組みを強化している最中です。

独占先行配信に対しては、現在作品数を約1,900タイトルに増やしており、新しい出版社との取引も開始しています。

電子コミック 上期の取り組み③

「めちゃコミック」のアプリ版に関してです。こちらはand factoryとの協業によってフルリニューアルしました。「めちゃコミック」の主な機能も組込み、現在は若年層を中心にプロモーションを強化して、スライドのグラフのとおりインストール数も急激に伸ばしている状況です。

また、Apple、Androidのカテゴリーランキングでも着実にランキングを上げており、順調に成長しているという認識です。

電子コミック 韓国事業 ーPeanutoonー

韓国事業です。こちらは日韓問題等もあり広告出稿等をなかなか行えませんでしたが、この2020年度から積極的な広告出稿でお客さまの獲得を実施しています。実際に広告を使う上でのコンテンツとしては、Peanutoonのオリジナル、「めちゃコミック」のオリジナルを中心に行っています。

参考として、スライド左側の画像が「めちゃコミック」オリジナルを韓国語にローカライズしたもので、右側がPeanutoonオリジナルです。

スライド中央の図をご覧ください。現在、日本のオリジナルコミックを韓国にローカライズして持ち込んでいますが、今後はPeanutoonのオリジナルも日本語にローカライズし、日本での販売を行っていきたいということで現在検討しています。

その他に現地メンバーによる事業運営体制を確立ということで、このコロナ禍において我々アムタスとしてはオンラインでしかサポートできていませんが、現地メンバーでの事業運営が確立し、この状況下においてもしっかり事業推進できるということで、現在がんばっているところです。

また、当社グループのガバナンス基準への適合を完了ということで、セキュリティ強化や規程整備等、PMIも完了して本格的に事業推進に邁進しているところです。

電子コミック 下期の取り組み

最後になりますが、下期の取り組みに関してです。大きく分けて4つ挙げています。「コンテンツ強化」ということで、オリジナルコミックならびに独占先行配信の継続的な拡充はもちろんのこと、オリジナルコミックに関しては現在ドラマ化に向けて進めている最中です。

次に「アプリの成長」ということで、Web版「めちゃコミック」のよい機能を次々と移植すること、またアプリということでアプリならではの独自施策の開発にも取り組んでいます。

3つ目の「サービスの高機能化」ですが、現在お客さまに多くご利用いただいている毎日無料連載の作品や機能を強化していくとともに、Web版「めちゃコミック」も含めて、UI/UXデザインの改善やデータ分析、AI研究によるマーケティングの強化も引き続き行っていきます。

4つ目の「システム基盤の強化」です。こちらについては2020年度は特に成長していますが、事業成長を支えるシステムの基盤ということで強化していくことはもちろん、クラウド化に向けた準備を加速していきたいと思っています。電子コミック事業に関してのご説明は以上となります。ありがとうございました。

ヘルスケア 成長戦略

久保井基隆氏:ヘルスケア事業の久保井と申します。私から事業のご説明をさせていただきます。内容については、成長戦略、上期の取り組み、下期の取り組みということでお話しします。

ヘルスケアの成長戦略です。既存事業である病院の事業はもちろんですが、それ以外に4つの領域で成長していきたいと思っています。

まず新規領域として、健康分野、アジアヘルスケアということで東南アジアでの事業展開を行います。注力事業領域としては介護サービスを拡充していく取り組みを行います。またオンラインサービスを展開していくことで成長していきたいと思っています。

アジア・ヘルスケア・プロジェクト

アジア・ヘルスケア・プロジェクトです。東南アジアで新しいヘルスケア向けの事業を展開していくプロジェクトですが、本年度上期の2020年8月にはインドネシアで病院情報システムを100施設以上に導入した実績を持つTeraKorpと業務提携しました。

医用画像システムの販売ということで、彼らと一緒に行っていきたいと思っています。これからもこちら以外についての協業も重ねていきたいと考えているところです。

また、9月に介護分野でマッチングサービスを行っているシンガポールの会社のHomageに出資しました。これからアジアでも高齢化が進み、このようなニーズが高まると考えての出資です。日本でもこのようなサービスができないかということを、これから検討していきたいと思います。

ヘルスケア 就業管理サービスCWSの事業展開

就業管理サービス「CWS」の事業展開です。病院向けには医療従事者のみなさまに特化した就業管理ということですでに200病院以上の病院に導入していますが、上期も堅調に導入が進んでいるところです。

このノウハウを使い、介護事業者のみなさまにも事業に特化した就業管理を展開していくところで、こちらは全国30万事業所もありますので、そのような観点も含めてサブスクリプションサービスで展開していきたいと思っています。

現在、大手介護事業者のソラストに来期導入予定としています。今後ともこちらのサービスを展開していきたいと考えています。

ヘルスケア 今後の取り組み

最後になりますが、今後の取り組みです。健康経営のサポートサービス「WELSA」をこの10月から販売開始することになりました。メンタルとフィジカルの両面から健康リスクを分析できるツールサービスとして展開していきたいと思います。

コロナ禍の中で在宅勤務も増え、健康経営に着目する会社も多くありますので、そのようなニーズを取り込んで販売していきたいと考えています。

また現在開発中ですが、それぞれの従業員にサービスできる健康促進プログラムを考えており、こちらは来年度リリース予定です。

オンライン医療ですが、病院とクリニックの情報と映像をつなぐ仕組みについて、現在実証実験を企画、検討中です。このような経験を通じて、新しいオンライン医療のあり方を追求していきたいと思っています。

またビジネスコンテストを今年度も開催したいと思います。これまでも「デジタルヘルスコネクト」を開催してきましたが、第9回ということで、今年度はSOMPO、帝人、エーザイと一緒になってヘルスケアのIT事業創出プログラムの実施を予定しています。私からの説明は以上です。ありがとうございました。

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