全国のひき逃げ事故件数は減っている?

法務省の「犯罪白書」最新版(令和元年版、以下同)によれば、平成30年のひき逃げ事故は8,357件(内訳は死亡128件、重傷事故867件、軽傷事故7,362件)でした。この件数は、ピークだった平成16年の20,283件の約4割まで大きく減っていますが、いまだに8,000件以上もあると見るべきでしょう。

そうは言っても、大幅な減少となっているのは、検挙率の上昇(大幅改善)と関係があると見られます。

実は、ひき逃げ死亡事故の検挙率は元々高かったのですが(概ね90%以上、平成30年は約98%)、重傷事故と全事件の検挙率はお世辞にも高いとは言えませんでした。実際、前述した平成16年の検挙率は、重傷事故の検挙率が約48%、全検挙率(ひき逃げの全事件の検挙率)は約26%に止まっていたのです。

しかしながら、警察による取り締まり強化に加え、防犯カメラ設置数の拡大やドライブレコーダーの普及によって、平成30年の検挙率は、重傷事故の検挙率が約76%、全検挙率も約61%へと大きく改善して今日に至っています。ただ、それでも十分と言えないのは明らかでしょう。

確かに、ひき逃げの多くが夜間に発生しているため、目撃情報が少ない等の理由があるのは理解できますが、量刑をよりいっそう重くするなどの措置により、“逃げ得”を許さない警察や法務当局の厳しい姿勢が求められます。