コロナで観光関連業の売り上げが急落し、経営が困難になる中で始まったGo To トラベルは、賛否両論ありながらも、徐々に観光関連業の売上を回復させる方向に向かっていました。そんな中、心ない転売ヤーの行為のためにホテルは対応に追われることになりました。

ホテル側は、利用者に迷惑がかからないよう最善を尽くす方向で、自治体独自のクーポンや大手宿泊予約サイト(じゃらんや楽天など)のポイントを以前と同じ条件で宿泊に利用できるよう手配するようです(2020/10/28現在)。

一方、転売ヤーはホテルマイステイズの共通利用券を転売して、一体いくらの小遣い稼ぎができたのでしょう? 数千円? 数万円? あるいは数十万円なのかもしれません。

しかし、そのために、日本全国に展開する大手のホテルチェーンが大混乱に陥ったばかりか、旅行を楽しみにし、割引分は宿泊地での消費に貢献したいと思っていた利用者を不愉快な気持ちにさせています。

それに、ホテルの共通券には識別番号が記載されているので、調べようと思えば誰が転売したか判明するでしょう。そうなったら損害賠償を請求されるリスクもあるのです。

ルールを守って観光業支援につなげよう

「転売が禁止されているものでも、売りさばいて自分さえ儲かったらいい」と考える人が増えれば増えるほど、今回のケースのように「お得」が消滅することも多くなるでしょう。それどころか、悪用が起きたために制度自体が機能しなくなるなど、観光業復活への道が遠ざかっていくことも予測されます。

自分の利益のことだけを考えるのではなく、みんなで気持ちよくGo To キャンペーンを利用し、景気回復を目指したいものです。

松原 朱里