人生100年時代を迎えたと言われ、老後生活は長くなっています。
そして、老後資金に対する不安は日本人には共通の悩みともいえます。
一般的な定年である60代で迎える老後は、退職金と年金があれば充分なのでしょうか。ここでは、数字をもとにそうした点について見ていきたいと思います。
老後2000万円問題から老後資金はいくら必要か
昨年金融庁から公表された金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」というレポートがありました。
この資料によると老後は年金収入の他に約2000万円が足りなくなるというもので、金額の大きさから「老後2000万円問題」として話題になりました。
では老後は年金収入以外に2000万円があれば充分かといえば、そうはいかない理由があるのです。
実はこの2000万円は「持ち家」が前提となっており、さらには、「ゆとりある老後」や「介護費用」などは考慮されていません。
老後も賃貸の場合や、老後はゆとりを持って過ごしたい、介護になった場合に備えておきたいとなると2000万円では足りないことが分かります。
2000万円は最低限の日常生活を送るために必要な費用ということです。
定年60代の退職金はいくら?
厚生労働省による平成30年「退職給付(一時金・年金)の支給実態」で退職金の目安を確認してみましょう。
大学・大学院卒(勤続20年以上かつ45歳以上の退職者)の場合の平均額
【管理・事務・技術職】
- 定年退職:1983万円
- 会社都合:2156万円
- 自己都合:1519万円
- 早期優遇:2326万円
高校卒(勤続20年以上かつ45歳以上の退職者)の場合の平均額
【管理・事務・技術職】
- 定年退職:1618万円
- 会社都合:1969万円
- 自己都合:1079万円
- 早期優遇:2094万円
上記以外の【現業職】
- 定年退職:1159万円
- 会社都合:1118万円
- 自己都合:686万円
- 早期優遇:1459万円
このようにばらつきはありますが、定年まで勤めれば約2000万円の退職金が受け取れることが分かります。
ただし、現在は働き方が自由になった反面、転職する方も多く、退職金が思ったほど受け取れない可能性もありますので注意しておく必要がありそうです。
年金受給額はいくらか
厚生労働省年金局「平成30年度厚生年金保険・国民年金授業の概況」から年金の受給額についてもみていきましょう。
まずは厚生年金保険(第1号)受給者です。一般的な会社員の方の場合となりますが、
平均年金月額は、14 万6000円(基礎年金含む)となっています。
一方、国民年金受給者はどうでしょう。国民年金の場合は自営業(フリーランス)の方の場合となりますが、平均年金月額は5万6000円です。
会社員だった場合と自営業だった場合では、倍以上の差があります。
ご夫婦共働きで双方が厚生年金を受給出来て、退職金もあればゆとりある老後となるかもしれません。
それ以外の場合は、老後までの蓄えをどのように増やしていくかが課題となるでしょう。
退職金と年金だけで十分か
生命保険文化センターが老後の生活費はいくらくらい必要と考えるかという調査をした結果老後の最低日常生活費は月額平均22.1万円でした。
一方ゆとりある老後生活費の場合は月額平均36.1万円との結果が出ています。
最低日常生活費で老後30年過ごすと仮定すると、7956万円が必要となり、ゆとりある老後を30年過ごすと1億2996万円のお金が必要となることが分かります。
では働き方で老後30年間の年金受給額と退職金がどのように変わるかをシミュレーションしてみましょう。
夫婦共働き(双方厚生年金受給者の場合)世帯
- 夫婦:(14万6000円×12ヶ月×30年+1983万円(退職金))×2
- 合計:1億4478万円
夫のみ会社員の世帯
- 夫:14万6000円×12ヶ月×30年+1983万円(退職金)=7239万円
- 妻:5万6 000円×12ヶ月×30年=2016万円
- 合計:9255万円
夫婦自営業の世帯
- 夫:5万6000円×12ヶ月×30年=2016万円
- 妻:5万6000円×12ヶ月×30年=2016万円
- 合計:4032万円
このように夫婦共働きで厚生年金を双方が受給出来れば、老後はゆとりを持って過ごすことができそうです。
一方自営業の場合は、いつまで働くかにもよりますが、働ける間にお金を増やしていく必要があります。
老後も続けたい資産運用
老後生活が長くなればできるだけ備えを多くしておきたいと思うのが当然です。
少し前までは銀行や郵便局にお金を預けているだけで、勝手に増えていました。
今は金利がほとんどなくなり、預貯金だけではお金は増えていきません。
自分も働きながらお金にも働いてもらう時代に入ったと考えておいた方が良さそうです。
資産運用にも力を入れていただくことをおすすめします。
毎月少額からできるつみたて投資であれば、毎月の負担を減らすとともにリスクを分散する効果もあります。
資産運用の初心者の方は国の制度であるiDeCoやつみたてNISAを使ってつみたて投資にチャレンジしていただくと良いと思います。
そして注意が必要なのは老後を迎えた時に、運用していたものを止めてすべて現金化してしまうことです。
運用は時間をかけるほどリターンが安定するといわれますので、老後も必要な分だけを取り崩しながら資産運用を続けていただくことが資産運用の成功へのポイントとなります。
まとめにかえて
老後の生活費が年金と退職金で充分かはかなり個人差があることがお分かりいただけたと思います。ぜひ自分ごととして考えていただき、出来ることから行動してみてはいかがでしょうか。
