台湾のTSMCは、2020年通年の売上高見通しとして前年比3割増(米ドル基準)になるとの見方を示した。直近の第3四半期(7~9月)において、顧客の在庫積み上げや5Gスマートフォン、HPC(High Performance Computing)向けの先端プロセス向け需要が旺盛なことから、売上高は通年で450億ドル規模になる見通し。

7~9月期売上高は予想上ぶれ

 同社は従来、20年通年の売上高見通しを米ドル基準で前年比2割以上の成長と見込んでいたが、第3四半期決算発表にあわせて、これを引き上げた。直近の第3四半期売上高も当初、112億~115億ドルを予想していたが、実績値は121億ドルと大きく上ぶれた。

 サプライチェーンリスクの回避に向けて、顧客側で在庫積み増しの動きがあり、特に5nm世代の先端プロセス向けでより顕著だった。20年上期から量産を開始した5nmは第3四半期に売上高構成比で8%を記録。第4四半期はさらに上昇する見通しで、通年ベースでも8%を達成するほか、21年はこれが20%になる見通しだという。

 第4四半期は売上高が124億~127億ドル(ミッドポイントで前四半期比3%増)、営業利益率は40.5~42.5%を計画する。アプリケーション別ではスマホ、自動車向けが前四半期比で増収、それ以外のHPC、IoT、コンシューマー関連は減収を予想する。

設備投資はガイダンス上限に

 20年通年の設備投資については、従来ガイダンスの160億~170億ドルの上限である170億ドルになる見通しだという。なお、1~9月の9カ月累計投資実績は141億ドル。

 5nmの生産が足元で拡大しているほか、今後は4nmならびに3nmの立ち上げにも注力する。4nmは5nmとデザインルールに互換性が持たされており、拡張版としての位置づけ。21年第4四半期にリスク生産、22年に量産を開始する。また、3nmは従来計画から変更なく、21年からリスク生産、22年後半に量産を開始する予定だ。

 なお、米国政府のファーウェイに対する制裁強化を受けて、第4四半期は同社への売上高はゼロになるとコメントしている。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳