2020年8月17日に行なわれた、株式会社Sun Asterisk 2020年12⽉期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社Sun Asterisk 代表取締役 小林泰平 氏

新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応①

小林泰平氏:本日は猛暑の中、みなさまお集まりいただいてありがとうございます。今新型コロナウイルスが大変な状況ですが、まず最初に前線に立って戦っていらっしゃる医療従事者の方たちに敬意を表します。

今回の決算説明で新型コロナウイルス関係の話もいろいろ出てきます。新型コロナウイルスで大変な思いをされている方たちに対して我々が精一杯できることは、一緒に仕事をしているクライアントや起業家の方たちと一緒にデジタル化を促進していくことかなと思っています。そのようなかたちで我々はウィズコロナの時代をつくっていきたいと思っています。

会社の雰囲気を知ってもらう意味も含め、はじめに我々がこの新型コロナウイルス禍の中で何をしていたのかを説明します。そのあとに事業の概要と業績を発表して、最後に今後の成長戦略を説明します。

はじめに新型コロナウイルスに対しての我々の対応や、社内および国外社員向けの対応です。

新型コロナウイルスの前から我々は全体的にリモート勤務も取り入れていましたので、業務上で影響になるようなことは特にありませんでした。

ただ新型コロナウイルスを機に原則的にリモート勤務という体制をとりつつ、オンラインですべてが進んでいく中でどのような働き方があるのかは、いろいろと模索し続けています。

もともと会社に来て社員同士がみんなでワイワイやりたいというような雰囲気の会社であったため、社員のモチベーションやマインドの面が、リモートになって一番気にしたところです。

社内でやっていたイベントや情報共有会などもすべてオンラインで、しかも楽しくやれるようにいろいろな対策をとってきました。

新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応②

私の直下で新型コロナウイルス対策チームをすぐにつくり、メンタルケアだけではなく緊急事態宣言が出た際の生活支援の実施や、全社員に救援物資を送付することでリモートワークを応援しようという企画などを行なっていました。

株主に農林中央金庫などもいるため、急遽全社員分のお米などを購入し社員に配りました。ただお金で支援してもらうよりも、そのような思いがこもってるのがうれしいということで、社員から好評です。

新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応③

家で仕事をしていることで家族の負担が増えているという状況で、生活必需品だけではなく、社員はもちろん家族のみなさまにも明るい気持ちになっていただけるように、趣向を凝らして社員一人ひとりにプレゼントを贈りました。

新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応④

仕事上必要なコミュニケーションは当然オンラインでも生まれていくんですが、社員同士の偶発的なコミュニケーションはなかなか生まれづらい環境になってしまいました。

このような少々冗談のようなグッズも送ることで、社員がそれを「こんなのが送られてきたよ」と社員同士で会話するチャットルームなどに投稿します。それを起点に偶発的なコミュニケーションを誘発するような施策もいろいろやってきました。

玉ねぎ1個しか送られてないみたいな写真だと、みんな「なにそれ⁉」みたいな感じで盛り上がります。

新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応⑤

在宅で自宅学習を余儀なくされている社会人や学生の方向けに、子会社で運営しているオンラインプログラミングサービス「GEEK JOB」を一部無料で開放しました。このように、待機という状況を楽しく乗り越えようという施策も行っています。

新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応⑥

おそらくベトナム国内の企業だと一番早かったのではないかと思いますが、大きな拠点になっているベトナムでも、政府のロックダウンの発表よりも3週間ほど早く、1,200名以上の勤務体制をすべてリモートに切り替えました。

これも現地のマネージャーやリーダーがチームとしてしっかり動き、クライアントへの周知なども含めてすべての対策を素早い行動で行い、特に問題なくリモートへの移行ができました。

ロックダウンが解除され出社が始まり、感染人数がまた少しずつ増えてきている状況で、再度のロックダウンに対応できる制度を柔軟に整えています。

加えてベトナムでは飲食店も政府がいっぺんにロックダウンしてしまったことで飲食店がかなりダメージを受けていました。ダメージの大きかった飲食店向けにクラウドファンディングで支援ができるようなサービスを自社で企画し、ローンチするといったことも行いました。

新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応⑦

我々はもともとそれほど営業が強い会社ではありませんでした。オンラインになったことを機に、営業よりDXや新規事業のつくりかたといったテーマに沿ったオンラインのイベント、セミナーなどを4月以降30回以上行い、そのような領域の啓蒙活動を行ってきました。

今までだと場所の制約で数十人しか集められなかったようなイベントが、オンライン化したことで1回のイベントで100名を超えるような参加者が入れるようになりました。このようなところも我々なりにポジティブに捉えながら、新しい働き方というものを模索し続けています。

これらの要因もあり、基本的には決算の短信で出した内容のとおり、社員のモチベーションなども含めてポジティブなかたちで事業が推移しています。

MAKE AWESOME THINGS THAT MATTER

事業の概要です。こちらは上場時に出した成長可能性資料などと一部被るところがありますが、改めて説明をします。

我々は、目指すビジョンである「誰もが価値創造に夢中になれる世界」を実現するために、価値創造を行うためのプラットフォームやインフラといった存在を目指しているデジタルクリエイティブスタジオです。

デジタル・クリエイティブスタジオとは?①

デジタルクリエイティブスタジオとは何か、という話です。新規事業を立ち上げたいという企業や、これから事業成長したいスタートアップの方、さらにこれから事業を始めたいと思っている起業家の方が我々にとってのクライアントです。

そのような方に向け、デザインとテックとビジネスという3つの側面から専門チームを我々の社内で結成し、クライアントのニーズに合わせてサービスの開発を支援するというサービスを提供しています。

デジタル・クリエイティブスタジオとは?②

サービスをつくるという時に、設計段階からすべての完成形を見積もり「最初からこの金額でこのようなものをつくりましょう」ということはなかなか決められません。サービスは、リリースしたあとにどんどん変えていくことが必要です。

請負や受託などと同じように捉えられることもありますが、リリース後も併走するパートナーといった感じで、準委任での契約がメインとなっています。

もうひとつのタレントプラットフォームは、我々はテクノロジー、デザイン、ビジネスを専門で扱える人材の育成という事業も行っており、育成した人材を我々が採用するだけではなく、デジタル推進のコアメンバーとしてクライアントに紹介する事業も行っているということを表しています。

ビジネスモデルと重要KPI

売上構成は、クリエイティブ&エンジニアリングが我々の収益モデルの中心になっています。我々は準委任契約をストック型と呼んでいます。

ストック型の顧客をどれだけ増やしていけるか、そしてその期間をどれだけ伸ばしかつ月額の平均単価を上げていけるかを、重要なKPIとして追いかける経営をしています。

決算概要

先日短信を出しましたが、2020年12月期第2四半期の業績です。全体の売上高は前年同期比でプラス18.3パーセント、各利益に関しては前年同期比でプラス100パーセント前後と、大幅な成長を実現できました。

通期業績予想に対しての売上高と進捗率も順調に推移しています。営業利益は77パーセントを超える進捗率ですが、新型コロナウイルス第二波という話もある現状では、まだ不透明な部分があると感じています。

このあと詳細な説明をしますが、そのようなこともあり通期業績予想は7月に出したものから据え置きで進めます。

売上高(四半期推移)

全体の売上高は前年同期比で14.8パーセントです。主力のクリエイティブ&エンジニアリングサービスが前年同期比26.2パーセントとなり、全体の業績を大きく牽引しています。

一方でタレントプラットフォームサービスは、前年同期比で14.9パーセントで、一部新型コロナウイルスの影響を受けています。

タレントプラットフォームサービスは売上高を大きく伸ばすというより、利益構造を改善し利益率を上げるという目標を当初から立てていました。そのため売上は下がっていますが、利益率の改善には成功しています。

当社サービスを取り巻く環境

当社サービスを取り巻く環境に関して、クリエイティブ&エンジニアリングのサービスに関しては新型コロナウイルスがある中で、さまざまなサービスをデジタル化しなくてはいけないということを多くの企業が感じている状況です。

やはり中長期的には市場がどんどん拡大していくということは変わらないと思っています。企業のDX推進意欲の高まりがありますので、ここから成長を加速させるということもポジティブに捉えています。

一方でタレントプラットフォームのサービスでは、子会社のグルーヴ・ギアが提供しているプログラミングスクールの卒業生は未経験人材にあたるため、未経験からエンジニアリングを数ヶ月学び、企業に就職していきます。

「さすがにこの状況では未経験人材を採用できない」という企業の窓口が閉じてしまっていたのが、ちょうど4月、5月、6月ごろに表れていました。こちらは通期でそのような影響が出続けるだろうと、少々ネガティブに予測しています。

どちらかといえば受講ニーズに影響はほぼなく、在宅で時間があって学びたいという方も増えてきているため、こちらの推移は順調に進んでいます。

そのため中長期的には従前の水準への回復を予想と記載していますが、こちらもワンショットで就職の支援をするだけではなく、受講料をもらうビジネスモデルをより広げるなど、マネタイズの手法をいろいろと変えていくことで対応できると思っています。

重要KPIの推移

我々の追っているKPIの推移です。こちらは非常に順調に進んでいます。

ストック型の顧客数も順調に増加し、現在77社です。月額平均顧客単価も当期中に大きく上昇しました。

それにより前年は580万円ぐらいだったものが、エンタープライズでは現在750万程度まで伸びています。それにつられて全体の平均単価も順調に推移しています。

貸借対照表比較

こちらは記載のとおり、上半期の利益の内部留保によって純資産が増加しています。またIPOによる増資前の時点で自己資本比率が71.7パーセントであり、安定した財務基盤になっているといえます。

デジタルトランスフォーメーション市場の概観

改めて今後の成長戦略については、デジタルトランスフォーメーション……これは近年バズワードのようになっていますが、このようなキーワードをもとに業界全体でデジタルトランスフォーメーションを推進しようという動きがあります。

その動きの中で、ざっくりいうとデジタル化と表せるようなテクノロジーの活用の仕方を、我々は大きく2つの要素に分けています。ひとつはデジタイゼーションと呼ばれる業務プロセスをどんどんデジタル化し、コストを最適化していく方法です。

もうひとつはデジタライゼーションという、事業そのものをデジタル化し変革していくというものです。こちらはそれぞれ目的が全く異なり、それぞれコストを最適化するということと事業の売上を成長させていくということに分かれます。

そして長期的にデジタル企業へアップデートしていくためには、求められることや手法が違うと思っています。我々はどちらかといえばテクノロジーを活用して事業そのものを作っていく、デジタライゼーションのプロセスに特化したITベンダーです。

デジタライゼーション領域の市場規模

デジタライゼーション市場はDXの文脈で言うと、現在基本的には業務の効率化に注目されがちです。

しかし業務をデジタルで効率化しただけでは終わらず、そのあとにデジタルでどれだけ事業を生み出していけるかが、今後の民間企業の課題になっていくと予想されます。そのような状況の中で、デジタライゼーション市場は大きく伸びていくと思っています。

国内マクロ環境の変化によるニーズの拡大

先ほどの市場も大きいですが、少子高齢化による生産労働人口の減少により2030年で80万人弱足りなくなると考えられている状況で、特にIT人材の不足が叫ばれています。

この問題の解決のために現時点で我々が考えられるものは、海外の優秀な方と協力する以外のことはないと思っています。この点をどれだけ解決に向けて実施していけるかが、業績に表れてくると思っています。

DX市場におけるSun*のユニークネス

デジタライゼーションに関して我々が持っている強みは、創業から8年間300プロダクトほどつくってきた中で蓄積されブラッシュアップされてきたプロセスやノウハウ、またそれを行える人材の確保、さらに人材を育成して確保するという仕組みを作り上げてきたエコシステムそのものだと捉えています。

対顧客戦略

先ほども言ったとおり市場が非常に大きく、まだまだ競合するプレイヤーが少ない状況ですので、今後どれだけこの領域を我々がリーディングカンパニーとなって牽引できるかが大事だと思っています。

これまで営業部隊みたいなものが全くおらず、1,500人ほどいる会社なのですが営業専属社員が2名しかいませんでした。

ありがたい話なのですが、特にスタートアップやベンチャーのクライアントだと横のつながりが強く、そのコミュニティ内で紹介を受けたり、口コミで広がって問い合わせを受けたりという広がり方が多くありました。

そのため我々もオーガニックでこのように伸びてこられたのですが、今後はここのエンタープライズなどをしっかり受注していくためにも、マーケティングとセールスのチームをしっかり強化していくというシンプルな戦略をとっていきます。

先ほどエンタープライズのグラフを見てもらいましたが、顧客単価はエンタープライズを中心に伸ばしていきたいと思っています。

取り組み事例①

マーケティング戦略において、アライアンスによる流入をどんどん狙っていきたいと思っています。

日本マイクロソフトとはDX推進のため事業提携などを結びました。日本マイクロソフトがインフラ基盤を提供する一方、我々はそこに乗じてサービスを開発していくという流れをワンパッケージとしてエンタープライズに提供しようと考えています。

これに関して、現在もいくつか「このようなプロジェクトをやっていこう」という相談を進めている状況です。

取り組み事例②

リバネスは、東南アジアを中心にいろいろな大学の研究技術を社会に実装していくということを強みにしている会社です。日本の事例だとユーグレナなどをインキュベートしていました。

こちらが持っているネットワークを活用しながら、東南アジアのスタートアップを中心にいろいろなイベントを開催して、タッチポイントを作っていくという戦略も行っています。

今年に入って提携してからすでに大きなイベントを開催しており、数十社のスタートアップとのタッチポイントが生まれているという状況です。

スタートアップスタジオの強化

現在のビジネスモデルは、人月で労働集約的に伸びていくモデルです。しかしせっかくサービスをゼロイチから作る部分や、スタートアップだと起業する前から相談されることもあるため、マネタイズの手法を変えることで収益機会をもっと多様化していきたいと思っています。

エンタープライズの新規事業の場合も、例えば「レベニューシェアのモデルでやりましょう」といった相談はこれまでも来ています。

このようなものや、スタートアップの場合は、我々も資本参加することでエクイティをもつモデルにするといったことを行いたいと思っています。

スタートアップスタジオの事例紹介

スタートアップに関してはすでに16社ほど出資をしています。これは目論見書にも記載しましたので見てください。その中でも2社だけピックアップしました。2社ともこの新型コロナウイルス禍において、非常に伸びているスタートアップになります。

2社とも、まだ創業する前から起業家の方と併走して作ってきたサービスです。創業する際、ある程度プロトタイプを作り、テストマーケティングを行って「これいけるね」となったタイミングで創業しました。

そのタイミングで我々も出資をし、発起人として参加するというビジネスモデルをとっています。2社ともまだイグジットしているわけではなく、我々もキャピタルゲインを得ていません。

しかし非常に順調に成長しているスタートアップで、両方ともどんどんラウンドアップしていっています。このような取り組みもどんどん増やしていきたいと思っています。

今後の成長戦略

今後の成長戦略として、我々が主軸としているクリエイティブ&エンジニアリングのサービスは、マーケットもニーズも大きいため、ここをしっかりと伸ばしていきます。

またテクノロジー人材を生み出す教育や育成の領域もどんどん強化をし、我々がノウハウをため込んでいるデータプラットフォームは単体でも収益を上げるチャンスがあるサービスですので、こちらも事業化していきます。

そしてタイムラインを少し後ろにおいていますが、先述のエクイティやレベニューシェアなどを使った事業創造そのものの拡大、マネタイズモデルの拡大というところをどんどんやっていこうと思っています。以降はAppendixですので、私からの説明は以上とします。

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