みなさんは「資産寿命」という言葉を聞いたことはありますか?

通常の寿命である「生命寿命」と、生命寿命から寝たきりなどの介護の期間を差し引いた「健康寿命」という言葉には耳馴染みがあると思います。

最近では、それら2つの寿命に加えて、お金の寿命「資産寿命」という言葉が生まれました。

日本人の生命寿命は男性81.41歳、女性87.45歳(※1)で、健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳(※2 2016年時点)になります。ご存知の通り、生命寿命より先に健康寿命が尽きてしまうと、なかなか辛い状況になります。

では、お金の寿命「資産寿命」が尽きてしまうとどうなるのでしょうか?
また、資産寿命はどれくらいあるのでしょうか?

この記事では、資産寿命の概要と平均的な長さ、そして、資産寿命を延ばす方法について分かりやすく解説します。

「資産寿命」って何?

資産寿命という言葉は、昨年話題になった金融庁の「老後2000万円問題」のレポートの中に記載されています。

資産寿命とは、「生命寿命」や「健康寿命」と関連して、老後の生活を営んでいくにあたって、これまで形成してきた資産が尽きるまでの期間。資産寿命が尽きた後は年金等のフローの収入のみで生活を営んでいくこととなる。
(出典:(※3)金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(別紙1)」)

つまり、資産寿命とはこれまで貯えてきた資産が0になる年齢のことを意味します。なぜ、資産が0になるようなことが起きるのかというと、多くの人の老後の生活は毎月赤字になっているからです。

昔であれば、年金もしっかりともらえたため、資産寿命が尽きるどころか、むしろ資産が増えていく可能性すらありました。その上、退職金もたくさんもらえたので(1997年時点では、大学・大学院卒の平均退職給付額は3,203万円)、資産が全くない状態で老後を迎えてもなんとかなったかもしれません。

しかし、2017年時点では退職給付額も平均1,997万円まで減少しており、また年金も減ってしまっています(※3)