中国の海洋進出が活発化する中で行われる米大統領選

新型コロナウイルスの感染拡大以降、東シナ海や南シナ海では中国の海洋覇権活動がさらに活発化し、中国公船の大型化、空母の西太平洋進出、海警局と軍の一体化などが進んでいる。

日本が中国と領有権を争う尖閣諸島周辺では、日本漁船が中国公船に追尾され、中国側が日本側に尖閣諸島に近づくなと要求するなど、緊張の度合いは高まっている。また、北朝鮮の核・ミサイルなどの問題も考慮すると、日米関係の重要性はさらに増している。

そして、来月3日には米国大統領選挙が行われるが、支持率でトランプ大統領をリードするバイデン候補が勝利したとしても、バイデン候補はオバマ政権時の元副大統領であり、オバマ政権の理念を継承することを宣言している。よって、日米関係重視の政策をとることは想像に難くない。

また、バイデン候補は8月、中国の海洋進出や香港国家安全維持法の導入などについて懸念を示し、中国へは厳しい態度で臨むと自ら主張した。しかし、トランプ大統領ほど強硬ではなく、実際当選したら対中融和路線に回帰するのではとの意見も聞かれる。

いずれにせよ、菅政権に求められるのは日米関係を基軸に外交・安全保障政策を進め、米国追従ではなく主体性ある日本外交を積極的に展開していく姿勢だ。

和田 大樹