年初来安値を更新する良品計画の株価

良品計画(7453)の株価が冴えません。このところ年初来安値を更新しています。

まず、過去10年間の株価の推移を確認してみましょう。

良品計画の過去10年間の株価推移

 

注意すべき点が2つあります。

第1に、2015年夏の高値以降、じりじりと株価が下落していますが、ここにきてその下落に勢いが出ていることです。2016年8月の月足(8月29日まで)が、長く塗りつぶされたいわゆる陰線(月のはじめよりも月の終わりの株価が低いことを示す)になっていることでお分かりになるでしょう。

第2に、2013年以来の長期上昇トレンドの下値支持線を赤ラインで示しましたが、現在の株価はこのトレンドを試す水準まで下落してきたということです。市場が良品計画の成長性に自信を持っているならば、赤ラインで株価は下げ止まりますが、仮にこの赤ラインを下回ってしまうと、さらに株価下落に拍車がかかる可能性も秘めています。あまり明確な節目はありませんが(これは困りものです)、過去に株価がもみ合った15,000円程度まで調整しても不思議ではありません。

足元の業績は良好

2016年7月の国内既存店売上が98.8(直営+L.Sベース)と、久々に前年同月を下回ったことが最近の材料です。しかし、同月から計上基準が変更され3ポイントほど押し下げられていると会社は説明しており、実態は悪くありません。

また、2016年8月20日付の日本経済新聞は、2016年3‐8月期の営業利益が「前年同期比12%増の180億円になりそうだ」と報じています。会社計画は同+9%増の175億円ですので、これを上回る進捗となります。報道が正しいとすれば、株価調整の要因は足元の業績ではなさそうです。

利益成長の再加速なるか

しかしながら、利益成長率がスローダウンしていることは否めません。営業利益の対前年度比で見ると、2015年2月期が+14%増益、2016年2月期が+44%増益に対して、2017年2月期会社計画は+10%です。株価は同社の巡航速度の成長率の水準を模索しているようです。

景気敏感株の株価回復期待で、市場の物色が良品計画株からよそに移っていることも株価が軟調な背景にあるでしょう。

良品計画は国内基盤の強化、中国展開、グローバルサプライチェーン改革などで日本の小売業の中で一歩先を進んできました。アジア展開の深化、スマホ連動などを進め、利益成長の足取りが再び勢いを取り戻すか、注目を続けたいと思います。

 

LIMO編集部