2000万円に含まれないもの、その1

それではここからは、老後資金として2000万円で本当に充分なのかについて確認してみましょう。

先程の老後2000万円問題の根拠となる計算式の際に参考にした厚生労働省の支出の内訳は下記のようになっています。

  • 食費:64,444円
  • 住居:13,656円
  • 光熱・水道:19,267円
  • 交通・通信:27,576円
  • 教育・娯楽:25,077円
  • 保険医療:15,512円
  • 非消費支出:28,240円

一見すると何の問題もないようにも見えますが、注目は「住居」費用です。
なんと約14,000円弱。

首都圏の平均家賃がいくらかと考えると、この金額はどういうことなのだろうと思われるのが自然だと思いますが、これには、ちょっとしたからくりがあります。

総務省統計局「住宅・土地統計調査」令和元年度版では、65歳以上の世帯で、「高齢者のいる夫婦のみの世帯」の持ち家の比率が87.2%となっており、賃貸の割合はわずか12.8%という結果でした。

この高い持ち家の所有率から、あのような家賃14,000円弱という平均値が出てしまったのです。

老後2000万円問題に含まれていない金額の1つ目は、「家賃が含まれていない」ということです。

仮に家賃5万円もしくは10万円の賃貸で住んだ場合、老後30年間でいくらになるか出してみましょう。

家賃5万円の場合

5万円×12ヶ月×30年=1800万円

家賃10万円の場合

10万×12ヶ月×30年=3600万円

5万円の家賃だった場合でも、2000万円の他に1800万円もの上乗せが必要となることが分かります。

今は生活スタイルの変化もあり、昔と違って家を持たないという方も多いようです。

ただ、もし老後も賃貸で住むとお考えの場合は、当たり前かもしれませんが家賃の備えが別途必要となりますので注意しておきたいところです。