貧乏でも幸せに生きている人もいる

「お金がすべてではない」と感じるようになったのは、30歳を目前にした頃でした。

その頃の筆者は第2子を妊娠していたため、それまで続けていた英会話教諭を辞めて自宅でくつろぐ日々を送っていました。長男は保育施設へ通っていたため自分1人の時間が増え、数年ぶりに友人や知人と会ったり、新たなご縁を頂いたりもしました。

そこで出会ったAさん夫妻は、「旅行に行くお金がない」「もも肉は高くて買えないから、いつもむね肉を買う」「友人の結婚式に包むお祝い金を用意できず、親から借りた」「子どもの服はほとんど貰いもの」といった生活スタイルらしく、お世辞にも経済的に豊かとは考えにくいというのが第一印象でした。

筆者がAさん夫妻に「転職や副業などの選択肢もあるのでは…」と伝えようとすると、Aさん夫妻は「あえて収入が低い職場を選んでいる」というのです。

現在の職場は給料こそ低いが労働時間が比較的短く、休みも取りやすい。子育てにも理解があるから急な欠勤や早退にも対応してくれ、思う存分プライベートの時間を満喫できるから気に入っているのだとか。

人それぞれ価値観は異なるため、Aさん夫妻の考え方に賛同できない人もいると思います。そもそも幸せとは「その人が何を求めるのか」によって形が変わる可変的な概念。

贅沢品を買えなくても旅行に行けなくても、家族の時間を思いっきり楽しんでいるAさん夫妻は、誰が何といおうと「幸せな人生」を歩んでいるように見えてならないのです。