9.11から19年、米国の”対テロ”からの撤退は吉と出るか凶と出るか

先週金曜日で9.11テロから19年となった。既に米国は9.11以降の対テロ戦争からの撤退を進めている。

国家と違って見えにくいテロ組織を軍事警察的に追いつめるという、ゴールの見えない“endless war”にはどこかで歯止めを掛けるというのは、今となってはごく自然な考え方かも知れない。

依然として残るジハーディストによるテロの脅威

安全保障上の米中対立の最前線である日本において、中国の海洋覇権や北朝鮮の核・ミサイルに時間(政策決定やメディア報道など)が割かれるのも必然的な流れで、国際的なテロ問題は部分的なものになるだろう。

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そして、オバマ前大統領もトランプ大統領も、考え方は大きく違うとしても米国の非介入主義という部分では同じであり、これはバイデン候補が勝利したとしても同様である。米中対立がさらに高揚するなかでは、米国の対テロでの関与はますます薄くなることが予想される。

だが、長年のテロウォッチャーとして、筆者は米国を含めた国際社会の対テロからの撤退が招くリスクを懸念する。

テロリズムに関する論文や研究機関の調査分析、そしてテロ組織の発信などを網羅的に観察しても、アルカイダやイスラム国に代表されるジハーディストの脅威が収まったといえる状況ではない。

確かに、9.11テロ以降、オサマ・ビンラディンなど多くのアルカイダ幹部は殺害され(依然としてアフガニスタンでは数百人レベルで活動しているとの分析結果もある)、イスラム国もシリア・イラクで支配領域を失い、それぞれの全盛期と比べると弱体化して勢いもない。

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清和大学講師/ オオコシセキュリティコンサルタンツ アドバイザー、岐阜女子大学特別研究員、日本安全保障・危機管理学会主任研究員を兼務。
専門分野は国際政治学、安全保障論、国際テロリズム論。日本安全保障・危機管理学会奨励賞を受賞(2014年5月)、著書に『テロ、誘拐、脅迫 海外リスクの実態と対策』(同文館2015年7月)、『「技術」が変える戦争と平和』(芙蓉書房2018年9月)など。研究プロフィールはこちら