経済的な理由や世間体を気にして離婚に踏み切れない母

筆者が子どもの頃は、世間体を気にして離婚に踏み切ることのできない人が多かった時代ですが、実の両親のいがみ合いを見ていて「どうしてお父さんと別れないの」と母に問いかけたことがあります。

母の実家は田舎ということもあり「出戻りは恥」と考えている節はありました。それ以上に問題だったのは経済力です。そこまで稼ぎが多くはない父でしたが「誰のおかげで生活できていると思っているのか」とパート勤務の母を罵倒することもありました。

今思い出しても情けないくらい心の小さな父ですが、子どもを養うだけの経済力が母にはなかったのです。泣き寝入りする状態で夫婦生活を続けていくのを見ると「なぜあんな男と結婚したのだろうか」と思うと同時に、いざとなった時に自由を手に入れるためには経済的に自立できることが必要だと子供ながらに学びました。

しかし、そうこうするうちに父の家庭内での位置づけが徐々に下降していったのです。

父の暴力も加齢とともに効果をなくし立場逆転

筆者達が成長し、父と母のケンカの仲裁に入ることが増えると立場は逆転。力で敵わなくなってきたと感じた父の暴力は激減し、代わりに積年の恨みを晴らすべく母の言葉攻めが増えていきます。