やはり、あれだけ大きな施設(競馬場や競輪場)を有している以上、「観客動員=売上」という概念が根強く残っているようです。
一方、人口減少の著しい地域で開催される地方競馬は、もともと集客が少なかったため、早くからインターネット販売を推進してきました。それが結果的に奏功したと言えましょう。
さらに、一連のコロナ禍で多くの公営競技が無観客開催を強いられて売上減少が続く中、多くの地方競馬は好調を維持している模様です。
公営ギャンブルでもコロナ禍への対応が課題
また、在宅時間が増えたことで、公営ギャンブルに対する関心が高まりつつあるとも考えられます。これが健全な傾向なのかどうかは少なからず疑問が残りますが、その際に必要不可欠なネット販売の環境が完備されていた地方競馬に有利であることは確かのようです。
足元の状況を見る限り、一連のコロナ禍が完全収束するには相当な時間が必要でしょう。競馬場に1日で10万人以上の観客が集うことは、しばらく不可能かもしれません。ちなみに、オグリキャップのラストランとなった有馬記念(1990年)の入場人員が約17万8千人、直近では2019年の日本ダービーが同19万7千人でした。
コロナ禍による新しい生活様式への変革は、中央競馬を始めとする各公営競技でも対応が必要不可欠です。「競馬の日」に当たって、中央競馬・地方競馬の今後の対応に注目したいと思います。
葛西 裕一