そして、近年の大きな特徴の1つは、こうした公営ギャンブルの売上が増加基調であることです。競馬(中央、地方とも)は8年連続、競艇は7年連続、競輪は6年連続、オートレースは4年連続で前年を上回りました。

ザックリ言えば、アベノミクス始動後に増加基調が鮮明になったわけですが、政府(農水省など監督官公庁)が特段のテコ入れを実施した事実は確認できません。やはり、景況感と少なからず関連性があると見られます。

中央競馬でも売上はピークの7割水準

一方で、公営ギャンブルの売上は増加しつつあるものの、未だピーク時には遠く及ばないのが実情です。

多くの公営ギャンブルが1990~1997年にピークの売上を記録しましたが、近年の売上回復が著しい競艇と地方競馬がいずれもピーク時の約6割程度、競輪は約3分の1、オートレースに至っては約2割程度(つまり▲8割減)まで減少しています。

何年も連続で増加しているにもかかわらず、このような状況にあるということは、ピーク時の売上がいかに高水準だったかを示しています。

売上の大幅減退という意味では、中央競馬も例外ではありませんが、他に比べれば健闘しています。中央競馬の売上のピークは1997年の約4兆円でしたから、2019年度実績はピーク時の約70%水準になります。

大幅減少に変わりはありませんが、ピーク時の7割水準を維持していること自体、競馬に対する底堅い人気を垣間見ることが出来るでしょう。なお、中央競馬の売上高は、勝馬投票券による収入を用いているため、財務諸表上の売上高とは若干の差異があります。