また、公営競技である競馬は、原則として、1)勝馬投票券による収入(=ほぼ売上高に近い)の10%、2)最終利益の50%を国庫納付金として納入し、国の一般財源(国家予算)に繰り入れられています。

JRAによる国庫納付金は、1997年の4,663億円をピークに減少へ転じ、2006年以降は3,000億円未満が続いていました。

しかし、2017年からは3年連続で3,000億円を上回っており(2019年は3,205億円を計上)、一般財源収入の観点からも重要視されています(注:前掲の公営競技の売上高は年度、JRAの決算は12月決算)。

今年のコロナ禍にあって、無観客開催とはいえ、レース開催を強行した背景の一つがここにあります。

ついに競輪を抜いた地方競馬

さて、最大規模を誇る中央競馬ですが、直近は地方競馬の勢いに押されがちです。というよりも、地方競馬の人気上昇が顕著と言うべきかもしれません。

実際、2019年度の地方競馬の売上高はついに競輪を抜くまで拡大しましたが、4年前の2015年度は競輪の方が約1,850億円も多かったのです(競輪:6,159億円、地方競馬:4,310億円)。改めて、地方競馬の売上増加ペースには目を見張るものがあります。

地方競馬の躍進の理由として、1)インターネット販売の推進、2)払戻し率の高いレースの開催、3)様々なイベントレースの開催などが挙げられます。

このうち最大の効果は、1)のネット販売の推進と考えられます。実は、やや意外かもしれませんが、中央競馬や競輪などは未だに現金販売の比率が相応にあります(中央競馬は約3割が現金販売という見方もあります)。