キュレーターから読者に伝えたいポイント
お盆休みも終わり、秋の相場を本格的に考えるタイミングとなってきました。今回は、米国金融政策の変化への備え、日本株上昇の条件、為替動向の見方などについて参考となる記事を選び、その活用方法について考えてみました。
ゴルディロックス相場は続くのか
円高とマイナス金利に翻弄された2016年のこれまでの相場は、多くの個人投資家にとって“タフ”なものだったのではないかと推察されます。ただし、この記事にあるように、プロである公的年金基金も日米ともに苦戦していることを考慮すれば、一時的な苦戦をそれほど悲観することはなさそうです。
苦戦の背景にあるのは、世界各国の金融政策が転換点にあり、その変化の方向性やタイミングがまだ十分に明らかになっていないことです。そうした意味で、来週8月26日に予定されているジャクソンホール会議での、FRB議長のコメントは要注目といえます。
年内の利上げの可能性が残れば、円安シナリオが継続することになりますが、金融緩和が下支えしている現在の世界各国の株式市場、とりわけ新興国市場にとっては金利上昇懸念が逆風になる可能性に注意が必要となります。
一方、年内利上げが遠のくということになれば、一段の円高が進む可能性はありますが、株式市場、特に米国株式にとっては、穏やかな景気回復と金融緩和がセットとなった”ゴルディロックス相場注”が継続することになります。
注)ゴルディロックス相場:強すぎず、弱すぎない景気の状態。景気が弱いと株は下がりますが、一方で強すぎると金利が上昇して株は下がります。現在の米株式市場は、強すぎず、弱すぎない景気を背景に、株が上昇するゴルディロック相場と呼ばれています。
ちなみに、毎回実施されるFRB議長の講演は思わぬ発言が出ることで知られており、過去に何度も株式市場へ大きな影響を与えてきたとのことです。気を引き締めて注目していきたいと思います。
出所:日本だけではない! 米国でも公的年金は運用難(投信1)
出所:ジャクソンホールをご存知か。注目は次回米金融政策(投信1)
日本株の下値不安は後退、では、上値を見込むためには何が必要か
8月半ばの日本の株式市場は、日経平均が1万6,700円前後での一進一退を繰り返しています。最高値圏で推移している米国市場と比べると力強さは欠けますが、日銀によるETF買入拡大による株価下支え期待が強いため、市場センチメントは決して暗くはありません。
唯一の気掛かり材料を上げるとすれば為替動向(円高)となりますが、今のところ年内の米追加利上げ(日米金利差拡大)観測が大きくは後退していないため、1ドル100円割れの円高となっても、これまでのところパニック売りが起るような気配は全くありません。
では、こうした中で、日本株が改めて注目されるためにはどのような条件が必要となるでしょうか。この記事によると、その条件は、(1)米国など海外の景況感と国内の業績見通し改善が続く、(2)為替相場におけるドル円の一段の上昇(円安)、(3)国内景気の改善と成長戦略実現に向けた政府当局による具体的施策、などとのことです。
これらのポイントにも耳を傾けながら、今後の相場に臨んでいきたいと思います。
出所:下値不安が徐々に後退-米国株高とPKO期待が支え(楽天証券)
為替はどうなる?
日々の株価は理論通りにはいかず、オーバーシュート(買われ過ぎ)、アンダーシュート(売られ過ぎ)を繰り返すものですが、為替レートも理論値とは大きく乖離して動くことが常です。また、為替については、専門家にとっても最も予測が難しいと言われています。
この記事によると、11月の米大統領選でクリントン氏が当選すれば、米国による円安批判は鎮静化すると見込まれることや、12月の米利上げの可能性が高いことから、年末には1ドル107円まで円安が進む可能性が高いことが指摘されています。
これは、必ずそうなるということではなく、”1つの見方”に過ぎません。とはいえ、為替は株以上に乱高下するものですので、大きく動いた時にパニックにならないためにも、こうした方向性の議論も頭の片隅に入れておくことをお勧めします。
出所:今後円高圧力が徐々に低下すると予想する理由(楽天証券)
LIMO編集部