貯めている世帯の収入と支出
高齢者世帯のこのような貯蓄格差を見ると、収入の多さの違いではないかと考える方もいるでしょう。「貯蓄できている世帯はそこそこ収入が多くて、生活も貯蓄も楽なのでは?」と思う方もいるかもしれません。貯蓄できている世帯と、少ない世帯の収入や生活には、どのような違いがあるのでしょうか。
貯蓄「100~200万円」世帯と貯蓄「1,000~1,200万円」世帯について、収入と支出の実態を比較してみましょう。
上述の総務省統計局データから、世帯全体(二人以上世帯)の平均的な貯蓄額の差を見てみましょう。
- 全体の平均貯蓄額:1,755万円
- 貯蓄「100~200万円」世帯の平均貯蓄額:138万円
- 貯蓄「1,000~1,200万円」世帯の平均貯蓄額:1,085万円
貯蓄できている世帯と少ない世帯の平均額の差は約950万円となりました。では、1カ月間の消費支出や収入面を比較していきます。
(消費支出:日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額であり、いわゆる生活費を指しています)
(1) 貯蓄「100万円」世帯と「1,000万円」世帯、年収はどれくらい違う?
貯蓄できている世帯と、少ない世帯の収入面はどのくらい違うのでしょうか。
《年間収入》
- 全体平均:629万円
- 貯蓄「100~200万円」世帯:537万円
- 貯蓄「1,000~1,200万円」世帯:626万円
両者の間に年収で約90万円(月々7万5,000円)の差があります。ただし、貯蓄「1,000~1,200万円」世帯の年間収入は全体平均(629万円)よりも低くなっている点に注目すべきだといえるでしょう。
(2) 貯蓄「100万円」と「1,000万円」世帯の生活費ってどれくらい?
決して収入が多いというわけではないのであれば、貯蓄できている世帯の生活費はどのようになっているのでしょうか。比較の前に情報を整理しておきましょう。
《世帯数(抽出率調整)》
- 総世帯数:621万7,000世帯
- 貯蓄「100~200万円」の世帯:37万1,000世帯
- 貯蓄「1,000~1,200万円」世帯:36万8,000世帯
おおよそ同じくらいの世帯数となっています。
《世帯人員数》
- 貯蓄「100~200万円」の世帯:3.19人
- 貯蓄「1,000~1,200万円」の世帯:3.01人
世帯の人数にもそれほど差はありません。ただし世帯主の年齢については、「100~200万円」の世帯は52.0歳、「1,000~1,200万円」世帯は59.4歳となっており、年齢差は7歳ほどあるようです。