繰上返済のパターンでシミュレーション

実際にシミュレーションをしてみましょう。

前提条件として、3,000万円の借入れ、返済期間35年、全期間固定金利1.3%(2020年8月のフラット35の金利参照)、繰上返済の額1,000万円(期間短縮型)とし、住宅ローン控除は10年間全額控除されるものとします。

以下の3つのパターンを比較してみましょう。

  1. 繰上返済をしない場合
  2. 毎年100万円ずつ10年間繰上返済をした場合
  3. 10年後に1,000万円まとめて繰上返済をした場合

金利1.3%の繰上返済シミュレーション(筆者作成)

金利1.3%の場合、ローン開始1年目から毎年100万円ずつ10年間繰上返済した方が、10年後の住宅ローン控除が終了した後にまとめて繰上返済するよりもお得であることがわかりました。これは、住宅ローン控除の節税効果よりも、繰上返済の利息軽減効果の方が大きかったことが理由です。住宅ローン控除は年末の借入残高×1%であり、利息はそれよりも大きい1.3%であることから判断できますね。

それでは、金利が0.7%であった場合はどうでしょうか。前提条件を同じにして、金利のみ0.7%に変更してシミュレーションをしてみました。

金利0.7%の繰上返済シミュレーション(筆者作成)

金利0.7%では、当初から毎年100万円ずつ10年間繰上返済をするよりも、10年後にまとめて繰上返済をする方がお得であることがわかりました。このように金利が低い場合は、住宅ローン控除を優先した方がいい場合があります。

実際は繰上返済の手数料や借入額、所得によっても変わってくるので、この通りにはならないと思いますが、おおまかな目安として金利が1%より高いか低いかで判断ができそうです。