家計とのバランスを考える

一般的に無理のない住宅ローンの返済比率は年収の20%と言われています。返済比率とは年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合を言います。

住宅ローンの借入時に金融機関が設定する借入限度額の基準としても用いられています。民間の住宅ローンの返済比率は25%~40%となっており、年収が高いほど比率が高くなりますが、これはあくまでも、借りられる額の限度額です。まずは、住宅ローンを組む時に返済比率を20%以下とすることを意識しておけば、住宅ローンによって家計が圧迫されることは少なくなるでしょう。

ただ、実際には年収の20%以内の返済比率の住宅ローンを組んだとしても、長い返済期間の中では、支出が多くなる時期や収入が減ってしまう時期もあります。その時は家計のバランスを優先しましょう。

住宅ローンの返済額と管理費や修繕費などの住居関連費用をまとめて「住居費」とした場合、支出の25%程度が理想的です。この割合を保ちながら、収支の増減の調整は余剰資金の「貯蓄」で行います。

「貯蓄」は収入の10%を基準としましょう。

子育て期間や教育費がかかる時期は貯蓄の割合を少し下げてもいいでしょう。しかし5%以下には下げないようにしましょう。家計に余裕が出てきたら貯蓄の割合を増やしていき、貯蓄が10%を超えたら繰上返済を考えてみましょう。

その場合も、金利が低ければ、住宅ローン控除を優先して、終了後に一気に繰上返済する方法が有効な場合があるので、その時までしっかり貯めておきましょう。

住宅ローンの返済は長期に渡ります。ライフプランに沿った無理のない返済を心掛けたいものですね。

参考

「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)」国税庁
「住宅借入金等特別控除の仕組み」知るぽると(金融広報中央委員会)
「Q. 住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?」一般社団法人 全国銀行協会
「ローン借入金額目安表 返済シミュレーション」住友不動産販売

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

石倉 博子