令和2年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、6月5日に公布されました。

この年金制度改正法によって、パートタイマー等の短時間労働者の厚生年金の適用拡大、年金の受給開始時期の選択肢拡大、確定拠出年金の加入可能年齢の引き上げ等、いくつかの改正が行われました。年金は将来の私たちの老後生活を支える貴重な収入源となります。しかし、実際は「自分は現役時代に払った保険料分の元は取れるのだろうか」と不安に思っている人も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は厚生年金と国民年金を実際にみんなはいくらもらっているのかをみていきたいと思います。

サラリーマンの厚生年金収入はいくらか?

サラリーマンとして民間企業で働いた人が厚生年金をいくらもらっているのかを見ていきたいと思います。

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」(平成30年)によると、厚生年金の月額階級別受給権者数は以下のとおりです。

<男性>

  • 30万円~:1万9千人
  • 25~30万円:31万人
  • 20~25万円:228万8千人
  • 15~20万円:428万4千人
  • 10~15万円:267万1千人
  • 5~10万円:106万8千人
  • 1~5万円:8万7千人
  • ~1万円:9万人

<女性>

  • 30万円~:(1,000人未満)
  • 25~30万円:4千人
  • 20~25万円:6万4千人
  • 15~20万円:40万3千人
  • 10~15万円:212万3千人
  • 5~10万円:233万7千人
  • 1~5万円:30万3千人
  • ~1万円:3万6千人

平均年金月額は、全体で143,761円、うち男性が163,840円、女性が102,558円です。

男性は15~20万円受給者数が最も多く、全体の40%程度です。女性は5~10万円が44.3%と半数に近い割合を占めているという結果になりました。

現在年金をすでに受給している世代では男性の平均受給額が女性の平均受給額より多く、また受給者数も男性が1,081万人に対し女性が527万人で、女性はおよそ半数となっています。しかし、今後はますます女性の厚生年金受給者が増加していくことが予想されます。

フリーランス、専業主婦(夫)の国民年金収入はいくらか?

自営業者は第1号被保険者、専業主婦(夫)は第3号被保険者となります。先ほどのサラリーマンが国民年金と厚生年金の2階建てで年金を受け取れるのに対し、1階部分である国民年金しか受け取れません。では、現在の国民年金受給額は以下のとおりです。

<男性>

  • 7万円~:36万5千人
  • 5~7万円:1,149万9千人
  • 3~5万円:206万3千人
  • 1~3万円:28万8千人
  • ~1万円:1万3千人

<女性>

  • 7万円~:142万2千人
  • 5~7万円:1020万人
  • 3~5万円:572万5千人
  • 1~3万円:101万9千人
  • ~1万円:7万人

平均年金月額は全体で55,708円。男性が58,775円、女性が53,342円と、こちらはあまり差がありません。受給者数は男性が1,423万人に対し、女性がやや多く1,843万人です。

厚生年金、国民年金は真面目に払っても損をするのか

サラリーマンの方は会社を通じて強制的に年金保険料を収めていますが、自営業者の場合は納付書で支払うか口座振替の手続きをする等自分で支払っていかなければなりません。毎月保険料を納めても自分が年金をもらう頃には元が取れないのではないかと不安に思っている人も多いと思います。

しかし、だからといって毎月の年金保険料を払わないというのは得策ではありません。
自営業者が負担する国民年金保険料は、令和2年4月~令和3年3月分で月額16,540円です。この金額は毎年度見直しが行われますが、例えばこの金額で20歳から60歳まで納付したとすると、トータル納付金額は約794万円です。

それに対して先程ご案内した国民年金の平成30年の受給金額は毎月平均約5.5万円です。この金額を例えば20年間受給すると、トータルの受給金額は約1,320万円です。

国民年金の支給額の二分の一は国庫負担で支給されていますので、納付額に対して受給額が大きくなっています。今後支給額が減少する可能性はありますが、それでもしっかり納付して受取るほうが得策といえます。

厚生年金、国民年金の受給開始時期を繰り下げるとどうなるか

現行では公的年金は65歳から受給が開始します。

しかし、この受給開始年齢を引き下げることにより、毎月の受給額を増やすことができます。さらに今回の年金制度改正法により、この繰り下げ可能年齢が70歳から75歳まで引き上げられます。

受給開始年齢を70歳にすると42%増え、さらに上限の75歳まで繰り下げると84%増えて受取ることができます。さすがに75歳までだと気が遠くなりそうですが、2021年4月から70歳までの雇用が企業に努力義務化されますので、70歳まで無理のない程度に働きながらiDeCoや個人年金等で運用した資産で生活し、70歳から繰り下げた分増額した公的年金で生活するなど、工夫によっては老後の生活費にすこしゆとりを持たせることができそうです。

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おわりにかえて

今回は現在の厚生年金、国民年金の支給額について見てみましたが、支給額については今後の状況により減少する可能性はあります。そのため、公的年金だけでは不安という人は、自助努力によって、自分の老後の生活費を確保する必要があります。iDeCoやつみたてNISA等の非課税制度や個人年金や貯蓄型の生命保険、あるいは投資信託等を活用し、ゆとりのある老後生活に向けて今から資産運用をスタートしてみてはいかがでしょうか。

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参考資料