エーザイ、1QはCOVID-19の影響も増収増益 レンビマの順調な成長により計画通りの進捗

2020年8月3日に行なわれた、株式会社2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:エーザイ株式会社 専務執行役 チーフフィナンシャルオフィサー 柳良平 氏\nエーザイ株式会社 常務執行役 ニューロロジービジネスグループ プレジデント(兼)エーザイ・インク チェアマン アイヴァン・チャン 氏\nエーザイ株式会社 常務執行役 オンコロジービジネスグループ プレジデント 井池輝繁 氏

続きを読む

2020年度第1四半期 連結業績(IFRS)

柳良平氏(以下、柳):それでは、財務セクションについてご報告します。2ページをご覧ください。こちらに第1四半期連結業績、PLの概況を示しています。パーソナルシップモデルに依拠し、COVID-19の影響を克服して、計画ならびに増収増益を達成しています。

トップラインの売上収益は1,656億円で、前年から108パーセントの増収となりました。COVID-19の影響、日本における薬価改定の影響、為替の影響などをタゼメトスタットのロイヤリティー等で折り返し、さらに成長ドライバーの中心にある「レンビマ」が100億円の真水の増収を獲得したことが、連結での108パーセントの増収につながっています。

その「レンビマ」が極めて収益率が高いこと、すなわち原価率が低いこと、事業開発案件であることと相まって、原価率は23パーセントにまで低減しました。この結果、粗利は前年から115パーセント増の1,273億円で、期間利益は2桁の増益となっています。この粗利の増益率の範囲内での費用合計の伸びとなっていますので、営業利益は大幅な増益となりました。

費用内訳は研究開発費が305億円で、前年から104パーセント増加しました。主に、「BAN2401」を中心とした実在アルツハイマー品への積極的な投資が加速しています。

売上高に対する比率は18.4パーセントとグローバルトップティアの平均値からは大きく乖離していませんが、パートナーの負担金を加味した真水グロスのR&Dの投資は472億円、売上高に対する比率は28.5パーセントと引き続き世界の製薬品産業の中で、最も研究開発に積極的な企業の1社というステータスを維持しています。

販売管理費は649億円で前年から108パーセントの増加、売上高に対する比率、いわゆる販管費率は39.2パーセントとなっています。しかし、この販管費の増分50億円は、「レンビマ」に関わるMerckへのプロフィットシェアリング、利益折半支払い56億円の増加の範囲内であり、ポジティブなコントロールから効いています。

もちろんこの範囲で「Dayvigo」のローンチ費用や次世代アルツハイマー製品による患者さま貢献の最大化のための準備なども行なっています。またプロフィットシェアリングを除いた販管費率は30パーセントを切っていますので、グローバルトップティアの中央値、平均値から乖離していません。

昨年度はその他の損益で、エルメットエーザイの譲渡益が44億円ありました。今年度は大きなその他損益はありませんが、それらをもちまして着地の営業利益は321億円、前年から20パーセント強の大幅増益を達成しました。OPマージンは19.4パーセントと、グローバルスタンダードの20パーセント前後という位置づけに入っています。ボトムラインも同様に2桁成長を達成しています。

なお、ご参考ですが、この期間の平均ROEは14.4パーセントと昨年を凌駕し、大幅なバリュークリエーションを示したことになります。

一方でバランスシートアイテムに目を向けると、Net DERはマイナス0.25で3月末から若干減弱していますが、こちらは3ヶ月のオペレーションで6ヶ月の配当金支払いをしたこと、またMGIを除く最高額の基本的支出、年間560億円を今期行なう投資の年であるという位置づけから、ポジティブな理由で現金が若干減少しています。

引き続き1,700億円弱のネットキャッシュポジションで実質無借金会社であり、自己資本比率は65パーセントと最適資本構成からもかなり余裕のある水準にまで財務の健全性が高まってきました。

このようなファイナンシャルインティグリティーを受けて、信用格付け会社R&Iから5年ぶりに格上げを獲得し、信用株付けは「シングルAプラス」から「AAマイナス」へとアップグレードされています。

こうした財務の健全性に依拠して、COVID-19の影響を受けるリクイディティ、さらに史上最高額のキャペックス投資、そして昨年度10年ぶりに増配した160円の配当維持、これらすべてを賄って、じゅうぶん余裕のある財務の健全性を担保しています。

売上収益の増減要因分析

3ページでは、売上収益の増減要因をウォーターフォールプロットで示しています。昨年第1四半期の売上高が1,540億円、グロースドライバーの「レンビマ」を中心としたグローバル品で89億円の増収です。

日本は薬価改定、アメリカは「BELVIQ」の販売中止、アジアは台湾で「ヒューミラ」の契約終了の影響を受けましたが、タゼメトスタットの権利譲渡も併せ持ち116億円の増収で、売上高は1,656億円となっています。

いわゆる本業の売上を示す医薬品事業のセグメント売上は前年比で99パーセント、為替の影響38億円を加味したCERベースのセグメント売上の前年比は101パーセントと、本業の実力ベースで増収を果たしています。タゼメトスタットを除いても目標を達成しています。

営業利益の増減要因分析

4ページでは、営業利益の増減要因をグラフで示しています。昨年度第1四半期の営業利益が258億円、グローバルブランドに依拠した増益が102億円です。

売上とパラレルになっていますが、日本では薬価改定、アメリカでは前向きな理由での「Dayvigo」の上市費用などがありました。中国は大幅に目標を下達して31億円の増益を獲得、研究開発費は次世代アルツハイマー品を中心に11億円増加しています。

事業開発案件等の出入りも含め、営業利益は前年から63億円の増益で321億円の着地となりました。スライド右側の参考と記載のあるボックスは研究開発費を示しています。お伝えしたとおり、パートナーからの負担金等を含めると、引き続き470億円超の高いレベルで知的資本、人的資本への投資が継続しています。

また、医薬品事業のセグメント利益の前年比については103パーセントの増益、為替の影響マイナス11億円を加味すると、CRベース、為替の影響除きで105パーセントの増益です。

また、タゼメトスタットの権利譲渡を除いても目標を達成しています。このように第1四半期の決算はコアの本業で増収増益を達成し、目標を大幅に下達しました。第1四半期の実績については以上です。

バイオマーカーに基くAD Continuumの革新的な見識 AT(I)Nをカバーする統合的ポートフォリオ

アイヴァン・チャン氏:ニューロロジービジネスグループのアイヴァン・チャンです。本日はみなさまに神経領域における重要な進展についての最新情報をお伝えしたいと思います。

5ページ目のアルツハイマー病からお話します。国際アルツハイマー病会議(AAIC)は先週金曜日まで開催されていました。このADの分野における前進のスピードはかつてないほど有望なものとなっており、この状況はアリセプトを上市した20年以上前と比べるとまったく異なります。現在は根本にある病態生理は発症の何年も前からスタートすることがわかっています。

この疾患は連続であり、そして、中心にある病態生理の「Aアミロイド」「Tタウ」「N神経変性」すなわち神経細胞死やシナプス消失、それからおそらくはミクログリアの過活動による免疫不全によって検出されていることがわかっています。

また、バイオマーカーも測定可能になってきました。「APIN」の病態生理を特徴づけるバイオマーカーです。これらは画像だけではなく、CSFや血液バイオマーカーも使えます。

スライドの下部にある表をご覧ください。赤い字で記載してあるように、この数年で新しいバイオマーカーが現れており、リスク遺伝子についても新たに特定されてきています。

エーザイにおいては「AD Continuum」の確信的な形式に基づいてアルツハイマー病のパイプラインの変革を遂げました。新規の治療候補薬をもって正確にこのATINのスペクトラムの各要素に標的を絞っています。

のちほど、もっとも進んでいる候補薬についてお話したいと思います。「Aducanumab」と「BAN2401」はバイオジェンとの共同開発品で、「E2814新規抗タウ抗体」についても最新情報をお伝えします。

我々にはこうした包括的で、またターゲットを絞ったポートフォリオがあります。エーザイにおける目標はADの進行を遅らせるだけではなく、いつの日かADの進行を止めることを目標としています。

血液バイオマーカー開発の躍進によりADの血液診断の実現可能性が高まっている

6ページ目をご覧ください。先週のAAICにおける大きなニュースの1つは、血液診断の実現可能性が予想よりも高まっていることです。最近の治験が次々と発表されています。

「Aアミロイド」については豊富なエビデンスがあり、血液検査によるADの診断が実現可能であるというだけでなく、「血液アミロイドβ42/40」の比率によって、おそらく「AD Continuum」のより早い時期に検知が可能であり、「アミロイドPED」よりも早く検知できるであろうとされています。

「Tタウ」の先週のニュースとしては、血液、リン酸化タウ、T217については、スライドの左側のグラフにあるようにADの診断に使えるだけではなく、右側のグラフにあるようにADの特異的なタウの病態進行とAD以外のタウの病態の違いも鑑別できるかもしれないことがわかりました。

エーザイにおいてはシスメックスと緊密に協力し、血液アミロイドβの測定をシスメックのHISCLシステムを使って共同開発しています。

今後はタウのようなものでも、おそらく低コストで短時間、多種類の同時測定ができる可能性を有していると考えています。我々は「MISSION AD試験」の臨床データをまず日本における申請に向けて準備しており、血液、アミロイドデータの測定を進めるために臨床データも取り入れています。

そして、いつの日かバイオマーカーを複数持った血液バイオマーカーパネルと開発し、早期で個別化の診断をできるように「AD Continuum」で実現したいと思っています。

AD進行抑制によるAD患者様数の抑制と社会経済へのインパクト

7ページ目です。科学的な進歩がますます重要になってきました。アルツハイマー病はいまや流行病だからです。現在世界の認知症患者数は5,000万人ですが、これから爆発的に増加することが予想され、10年で8,000万人を超えるとされています。認知症に関わる全世界の費用は現在1兆米ドルを超えていると推定されており、10年で倍になることも予想されています。

スライドの右側をご覧ください。ADの進行を5年遅らせることができれば、これから30年の発症患者さま数の曲線はほぼフラット化するであろうということ、そして医療制度への大幅なコスト費用減少が期待できます。そのため、世界中の患者さまに疾患修飾薬を届けることが緊急の課題となっています。

AD Continuumに基く開発プロジェクト Aducanumab 米国にて申請完了

8ページです。我々のパートナーであるバイオジェンが、先月「Aducanumab」の承認のためにBLAをアメリカのFDAに対して申請を完了しました。

こちらは重篤な認知機能の低下を抑制し、AD進行に意義のある変化をもたらすことができる最初の治療局を提供できるかもしれません。FDAとの継続的なコラボレーションに基づいて申請されました。

データパッケージの中にはフェーズⅢ試験、それから指示するデータの第三層をエンゲージしたり、フェーズⅠBのプライム試験、ポジティブな結果も含まれています。

FDAは60日以内にBLAの受理の可否を判断します。受理された場合、FDAからBLAに優先審査指定の結果についても通知されると予想されます。。

欧州においてバイオジェンは正式な会合をEMAと持っており、MAAの申請準備をしています。日本においては規制当局との議論を始め、申請に向けて正式な相談の準備をしているところです。

最後ですが重要な点があります。「Aducanumab」について上市準備を進めるため、バイオジェンとの協働体制を強化しています。恊働での対話を医学専門家、支払者、またはさまざまなADエコシステムのステークホルダーと続けています。またバイオジェンとともに我々も「Aducanumab」の上市の見込みについて考えております。

AD Continuumに基く開発プロジェクト BAN2401の進捗

9ページ目です。「BAN2401」についての最新情報をお伝えします。現在、ピボタル試験、フェーズⅢ、ClarityAD試験を早期AD患者を対象として行なっています。みなさまにはいくつかの取り組みを成功裏に実施できたことを報告できてうれしく思います。

例えば、在宅での危険薬の投与、遠隔医療、そしてその他デジタルトランスフォーメーションの取り組みを行ない、新型コロナウイルスのパンデミックによるリスクを緩和しています。それから患者さまの安全性とデータインテグリティを守っています。中国において6月に試験を開始できました。

これらすべての多くの取り組みによって、予定どおり今年中の症例登録完了を予定しています。そして2022年度第2四半期の「Final readout」を目指しています。先週のAAICにおいて、201-OLE試験からの予備的データを発表しました。ARIA-Eの発生率はOLE試験においてもコア試験とほぼ同等の10パーセント以下でした。

またOLE試験において、コア試験のプラセボ投与の患者さまに対し、10ミリグラム倍ウィークルの用量で投与でき、ペットスキャンについても投与開始後3ヶ月から獲得できるようになりました。

そしてアミロイドの意義ある低下が投与開始後3ヶ月から見られることを確認しました。この投与については、10ミリグラム倍ウィークルで減量を行なわないという投与レジメンの重要性を強調しています。こちらは第三層のClarityADで使われている投与法とまったく同じだからです。

AD Continuumに基く開発プロジェクト BAN2401のポテンシャルの拡大 2020年7月のAAICでプロトコルを発表

10ページです。「BAN2401」の計画は単に早期IADに限ったものではありません。「BAN2401」については、「AD Continuum」のもっと早い時期から使えると思っています。

そのため、先月からACTCと協働でAHEAD3-45臨床試験を始めたことをご報告できることをうれしく思います。臨床試験の中では、1,400名のプレクニカルADの患者さまを組み入れる予定です。二種の二重盲検の試験を行ないます。

スライドの左側のA3トライアルですが、この試験においては認知機能に障害がなく、脳内アミロイドβの蓄積が中程度である、すなわち脳内アミロイドβ蓄積が境界域にある方々です。

スライドの右側のA45トライアルですが、こちらは認知機能に障害がなく脳内アミロイドβの蓄積が増えている、すなわち脳内アミロイドβの蓄積が陽性の方々です。

A3トライアルにおいてのエンドポイントですが、バイオマーカー牽引型になります。アミロイドPETを主要評価項目、タウPETを副次的評価項目、探索的な項目としてはバイオマーカーパネル、CSFと血液中のバイオマーカーを使います。

A45トライアルにおいては認知機能を見ていく主要評価項目としてPACC5、副次的な項目としてアミロイドPET、タウPET、探索的にはA3トライアルと同じようにバイオマーカーパネルを使います。

この臨床試験についてはアメリカで開始されました。今後は多くの国々、日本や欧州にも拡大していきます。今後症例組み入れをAHEAD3-45、ACTCとの協働で立ち上げていくのを楽しみにしています。

「BAN2401」は、プレクリニカルADから早期ADに掛けた「AD Continuum」の広い範囲において、疾患の進行を遅らせる可能について楽観的に見ています。

AD Continuumに基く開発プロジェクト 新規抗タウ抗体 E2814

11ページ目です。新規抗タウ抗体「E2814」についての最新情報をお伝えします。こちらはNFT神経原線維の変化がADの病理学的特徴の1つだということは広く知られています。とくにADの患者さまの中では、タウ病理の電波というのは微小管結合領域MTBRを含むタウ種によって媒介されると考えられています。

なぜかと言いいますと、MTBRを含むタウがAD患者さまの脳およびCSFで増加することがわかっているからです。「E2814」というのはユニークなデザインを持っています。MTBRタウをターゲットとし、細胞外間隙でMTBRタウフラグメントをとらえ、AD患者さまにおけるタウ凝集体の蓄積や電波を阻止するように設計されています。

「E2814」はフェーズⅠの臨床試験で順調な進捗を見せており、そしていまや「E2814」を「AD Continuum」をターゲットとして臨床開発を進めるため、鋭意努力しています。

日常生活領域と医療領域の架け橋となる認知症プラットフォームeasiitが本格始動

12ページをご覧ください。エーザイのビジョンは単なるメディカルイノベーションにとどまりません。日本ではDeNAとの業務提携を通じて、先週本格的に「easiit」というブレインパフォーマンスアプリを立ち上げることができ、大変期待しています。

基本的な要素としては、認知症エコシステムプラットフォームの中において使えるアプリです。「easiit」はスライドの左側にある日常生活領域で健康な習慣を促進してブレインパフォーマンスを維持するものと、スライドの右側にある医療領域で効率のよい早期診断、そして最適治療を行なうもの、この2つの橋渡しをすることを狙っています。

「easiit」はAIのアルゴリズムを使い、個人が脳と体の健康データを記録し、可視化をすることを可能とします。そして個別化した役に立つ情報を受け取り、ブレインパフォーマンスを日常生活で改善をすることを可能とするものです。のちほど「easiit」のアプリをブレインパフォーマンス、セルフチェックツール「のうKNOW」とリンクをする予定です。

また、「easiit」のアプリを医療領域の医療データともつなげる予定です。例えば、コグステイトと協同開発している「コグニグラム」やさまざまな画像、バイオマーカーデータとつなげることです。こちらは診断治療からモニタリングに至るまで、個々の患者さまのジャーニーをよりよくするためです。

この認知症エコシステムプラットフォーム「easiit」を通じて、社会全体に新しいベネフィットを提供できることを期待しています。ブレインパフォーマンスのジャックアップを行ない、ライフスタイルを改善し、早期の検知、診断をアルツハイマー病コンティアムで可能とすることを狙っています。そして究極的にアルツハイマー病、認知症のキャズムの解消を狙います。

新規不眠症治療剤 Dayvigo

13ページをご覧ください。新規不眠症治療剤「Dayvigo」の最新情報をお伝えします。6月1日にアメリカで上市し、7月6日に日本で上市しました。新型コロナパンデミックによる生活の変化で睡眠問題が増えているため、「Dayvigo」のような新しい治療オプションを患者さま、医師に提供することが重要です。

また、デジタル能力を高めており、新型コロナパンデミックの厳しい状況下でも、「Dayvigo」はアメリカや日本で幸先のよいスタートを切ることができました。アメリカでは医療提供者の方々とMRがデジタルMRチームも含めて質の高いエンゲージメントを獲得しています。

「Dayvigo」は最初の1ヶ月でPBM最大手Express Scriptsのナショナルプリファードフォーミュラリーに追加されました。こちらは2,500万人をカバーし、内50パーセントはユーティライゼーションマネージメントがないというものです。日本ではおそらく新型コロナの影響で不眠症治療のマーケットが拡大しています。処方箋のボリュームも精神科から全体的に増えています。

「Dayvigo」は上市以来、日本で医療従事者に対するディテール件数でNo.1となっています。こちらは、オムニチャネルプレゼンスを活かしてのことです。新規に設立されたデジタルMRチーム、そしてWebベースコンサルティーションシステムを活用しています。

ローンチ以来、日本ではすでに3万以上の施設が「Dayvigo」を購入しています。主に精神科です。日米以外の国々でも承認申請に向けて積極的に努力しており、世界的な提供拡大を目指しています。

また、先月7月のAAICで「Dayvigo」のアルツハイマー病に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)に対するフェーズⅡのOLEデータを発表しました。「Dayvigo」がアルツハイマー病患者さまの中で長期投与でも忍容度が高いということが示されています。

また介護者による評価のSDI(Sleep Disorder Inventory)の改善も長期に維持されています。現在は第三層プログラムのデザインの準備を行なっているところです。

パラダイムチェンジをもたらすポテンシャルを有するテーマを多数保有

14ページ目です。ご覧のとおり、ニューロノジービジネスグループにおいては、ミッドステージからレードステージにおけるまでロバストなパイプラインとなっています。「Fycompa」では日本で裁量型の財形追加を行なっています。

さまざまなライフサイクルマネジメントプロジェクトで着実に進捗を遂げています。先ほど最新情報をお伝えした「Fycompa」「Dayvigo」「Aducanumab」「BAN2401」「E2814」、これら5つは重要なグロースドライバーで短期、中期で重要な存在となっています。

また、PDE9阻害剤である「E2027」がフェーズⅡ/Ⅲをレビー小体型認知症で行なっています。また、免疫ポートフォリオではTLR4拮抗剤「Eritoran」が最初の免疫調節治療としてREMAP-COVIDプラットフォームトライアルで最近選ばれています。新型コロナの入院患者のサイトカインストーム治療のためです。

「E6742」はTLR7/8阻害剤ですが、最近AMEDのサイクルに採択されました。全身性エリテマトーデスの治療としてです。このように広く深いパイプラインと重要なパラダイムチェンジのポテンシャルを持つ複数のアセットを保有しています。ご清聴ありがとうございました。

Cancer Continuumを網羅するがん領域パイプライン

井池輝繁氏:がん領域について井池よりご報告します。15ページです。まず最初に我々のがん領域のパイプラインのコンセプトをご説明します。

スライドの一番上に「Cancer Continuum」、すなわち前がん状態からがんが進んでいく課程のことですが、そちらを分子と細胞のレベルで見ると、いくつかのイベントが背景としてあります。

リネージ依存性、ドライバー変異、クローン性増殖はいずれも細胞増殖に関わるイベントです。一方、微小環境モジュレーション、治療抵抗性はがんの悪性化に関わります。我々がバックボーンセラピーとして確立しようとしている「レンビマ」「レンビマ+キイトルーダ」併用は、微小環境をターゲットとします。

我々の後続パイプラインはどうでしょうか。「E7438」などオレンジ色で示しているこの3つのテーマは、リネージ、すなわち特定の細胞の系統、そしてドライバー遺伝子変異がターゲットです。

比較的少数例の臨床試験で角度高く開発を仕上げることができると考えています。その下の「H3B-6545」は乳がんのホルモン療法の治療抵抗性を克服する新たな治療パラダイムも目指しています。

「E7386 」はCBC/βカテニン阻害剤ですが、こちらは「レンビマ」、「キイトルーダ」の作用増強ならびに抵抗性の克服を狙います。「E7090」ですが、このFGFはドライバー遺伝子かつ、がんの微小環境に関わります。

「E7389」以下の3つはアーベンのプラットフォームから微小環境へのユニークな作用を活かした創薬です。この「Cancer Continuum」のさまざまなポイントでがんを抑え、角度の高い開発、またテーマ感のシナジーをいかすコンセプトで進めています。

そしてスライドの上部に赤字で記載していますが、リキッドバイオプシーによってがんの変化を追跡し、適切な治療法を選ぶ、あるいは新薬開発に活かすことが今後ますます重要になってくると考えています。当社のつくば研究所で、リキッドバイオプシーへの取り組みを強化しています。

レンビマ 2020年度 全リージョンでさらなる患者様貢献拡大

16ページは話題を転じまして、「レンビマ」のビジネスパフォーマンスのご報告です。第1四半期の売上収益は前年より40パーセント増の347億円でした。

全体の60パーセント以上を占めるアメリカでは前年より56パーセントの増です。幹細胞がんでトップシェア、そして昨年9月に米国で承認された子宮内膜がんが成長しました。

中国では「Patient Assistance Program」を改定し、患者さまのアクセスが拡大しています。日本では肝細胞がんの中間ステージ、BCLCBのTACE不適の患者さまに「レンビマ」の早期投与が推奨されています。年度見通しである1,580億円に向けて順調なスタートでした。

キイトルーダⓇとの併用療法 腎細胞がん レンビマによる革新的な治療変革への可能性を示唆

17ページは「レンビマ」、「キイトルーダ」併用の腎細胞がんです。腎細胞がんのフェーズⅡ試験、111試験のアップデートが今回のASCOにて発表されています。こちらの試験対象となった患者さまは、抗PD-1/L1抗体の治療後にがんが進行した方です。

スライドの左側に示しているとおり、3rdライン1以降、すなわち前治療が2つ以上あった方が過半数で、ニボルマブ+イピリムマブあるいはPD1抗体と血管新生阻害剤併用の前治療が多く使われています。

それにも関わらず、右の表のように奏効率は50パーセント以上、奏功期間(Duration Of Response)は1年という良好な結果でした。

ご参考までにスライドの左下に1stラインでの結果を示しています。111試験は、免疫療法を含む前治療歴のある難治性の患者さまが対象ですので、患者さまのバックランでまったく異なりますが、それでもこれらの数字上に匹敵する効果でした。

したがって、1stラインのフェーズⅢ試験の成績に大変期待しており、今年度中のトップライン結果取得を見込んでいます。この111試験データも含めた申請の可能性について検討していきます。

肝細胞がん適応のポテンシャル拡大 単剤での患者様貢献の拡大と「キイトルーダ」Ⓡとの併用療法への期待

18ページは「レンビマ」、「キイトルーダ」併用による肝細胞がんの1stラインです。116試験の最終解析もASCOで発表がありました。こちらはフェーズⅢ試験のLEAP-002試験と並行して実施してきました。この116試験の中間解析はこれまでも何度か学会等でご報告をしてきました。

よい結果だったこともあり、LEAP-002試験でも予定より早く患者さまのリクルートメントを進めることができました。そして、116試験の結果が良好だったことから、米国で迅速承認の申請にチャレンジしました。

FDAからの審査完了通知の中には、「既存の治療法に対する優位性を示すことが重要」というご指摘がありました。このご指摘に答えるには「レンビマ」との比較試験であるLEAP-002試験の結果が必要であるという考えに立ち戻り、FDAとも合意を得ています。

LEAP-002試験の目標症例数登録はすでにこの4月に終了しており、そこから1年程度で結果が得られる見込みと考えています。早期の申請を目指して進めていきます。

一方、スライドの下段に記載していますが、「レンビマ」単剤での肝細胞がんでの貢献は拡大しています。米国のNCCNのガイドラインでカテゴリー1、BCLC-Bでの推奨、またCOVID-19下において内服の抗がん剤を推奨するガイドラインなどが追い風となっています。

レンビマ単剤療法の価値最大化 日本においてアンメットメディカルニーズの高い胸腺がんの適応追加申請

19ページは「レンビマ」単剤でのトピックですが、このたび日本で「レンビマ」を胸腺がんの適応追加で申請しました。

胸腺がんは希少ながんで、その二次療法は標準的な治療法がありません。国立がん研究センターを始め、国内の8施設で医師主導治験として今回フェーズⅡ試験が実施されました。

スライドの下段に示しているとおり良好な成績でした。当局と相談した結果、こうはん指定、希少疾病用薬品の指定を受けています。したがって、承認の折りには再出した機関は10年間を想定しています。アンメットニーズの高い適応症で「レンビマ」がさらに貢献できると期待しています。

Cancer Continuumに挑むパイプラインの進捗

20ページではパイプラインの進捗についてご報告します。スライドの左側のタゼメトスタットは、このたび日本でEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫の適応で申請しました。

かねてより当社ではEZH2をエピジェネティクス創薬のターゲットとして注目しており、米国のEpizymeと協同研究開発を進めてきました。

リネージ依存性、そしてドライバー変異がこの薬剤のターゲットです。今回の申請も比較的小規模のフェーズⅡ試験をもとに申請しました。ファーストインクラス、そして当社初のプレシジョン・メディシンとなると期待しています。

スライドの右側の「E7386」もファーストインクラスです。βカテニンはCancer Big4、すなわちがんのターゲット分子として有望な4つのタンパク質の1つです。がん微小環境の観点からは免疫チェックポイント阻害剤の作用を増強し、治療抵抗性の観点からはレンビマ抵抗性の腫瘍血管を阻害します。

単剤のフェーズⅠ、そして「レンビマ」併用でのフェーズⅠを並行して進めています。大腸ガン、幹細胞がんなどを対象としており、ともに初期の抗腫瘍活性を確認しています。プレシジョンの角度高い開発、そしてパイプラン下のシナジーを追求し、新たな治療パラダイムの提供を目指していきます。

がんの治癒に向けた開発の加速 レンビマ キイトルーダⓇとの併用療法の開発

21ページは「レンビマ」、「キイトルーダ」併用の開発の状況です。2018年3月にMerckと「レンビマ」のグローバル戦略提携を結んだ際に両者で合意した臨床試験はこれまでにすべて解消しました。

スライドの緑色で示している試験では、すでに患者さまの組み入れを終了しています。とくに上段の腎細胞がん、子宮内膜がん、肝細胞がんは、お伝えしたとおりフェーズⅠないしⅡですでに期待ができる結果が得られているため、フェーズⅢ試験の早い結果取得に向けて進めています。

スライドの右側の2つに肝細胞がん1stラインTACE併用、こちらは提供の開始時にはありませんでしたが、その後両者で用意して、新たに開始しました。

さらに、新たな適応症の拡大についても両者で積極的に検討しています。「レンビマ」の価値最大化に向け、両者の共同は極めて順調に進んでいます。以上、がん領域のご説明をさせていただきました。

2020年度 連結業績見通し(IFRS)

:それではふたたび、CFOの柳より通期の連結業績見通しとオーバーオールのサマリーをご説明したいと思います。22ページのスライドをお願いします。こちらでは通期連結業績見通しを示していますが、5月の決算短信での発表から変更はありません。

年度のトップラインは7,190億円と、前年から103パーセントの増収を見込んでいます。とくにグロースドライバーの「レンビマ」は1,500億円の節目を超え、マイルストーンと合わせたトータルでのトップライン貢献はおおよそ2,200億円レベルまで達します。

その「レンビマ」効果による原価率の低減が功を奏し、粗利は5,475億円と、前年からこのコアの期間利益で105パーセントの増益を獲得します。

ここから経営の意思として「レンビマ」の最大化、次世代アルツハイマー品の患者さま準備のために戦略的な費用投入、投資を行ない、研究開発費、販管費はともに2桁の増加になります。

したがって戦略的意思から営業利益は880億円となりますが、研究開発費は知的資本、人件費は人的資本といった、非財務資本への投資ともESG、SDG上は考えられます。

見解費、販管費、控除前の営業利益を前年比較してみると、最高益をたたき出した昨年同等の3,600億円超を見込んでいますので、非財務資本を含めた中長期的な大幅なバリュークリエーションを期としています。

それでもなお収益性は高く、年間のROEは9.7パーセントと2パーセント弱のバリュークリエーターの地位を確保したいと思います。なお、自己資本、エクイティベースも史上最高額まで膨らんでいますので、DOEベースの配当KPIは6.7パーセントと余裕のある水準になってきます。

エーザイでは1期で大きく変動するPLベースの配当性向よりも、中長期的なバランスシートマネージメントに基づく配当政策を志向しDOEをKPIとしていますが、こちらも財務の健全性から余裕のある水準であり、昨年10年ぶりに増配を達成した配当金年間160円の維持には万全の自信を持っています。

結語

23ページはオーバーオールサマリーです。この第1四半期はCOVID-19等の影響あるいは薬価改定等も含めて克服し、計画並びに増収増益を達成しました。

さらにその一方で、今般、アイヴァン・チャン、井池よりご説明がありましたように、神経領域、がん領域の基幹プロジェクトも極めて順調に進捗しています。

そして2020年度通期業績は増収およびコアとなる基幹利益の粗利増益を計画どおり達成する見込みです。そして財務の健全性に依拠し、将来の患者さま貢献、企業価値最大化のための人的資本、知的資本も含めた投資を断行していきますので、中長期的、持続的な価値創造を果たしていきます。

引き続き長期的な視野でご支援賜ればと存じます。これをもちまして、プレゼンテーションのセッションを終了します。ここまでご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。