2020年8月7日に行なわれた、東京海上ホールディングス株式会社2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:東京海上ホールディングス株式会社 取締役副社長 グループ資本政策総括 湯浅隆行 氏

グループ全体のハイライト①:トップライン

湯浅隆行氏:グループCFOの湯浅でございます。本日はご多用中のところ、弊社の電話会議にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、従来は電話会議には私グループCFOは参加していませんが、本日は通期業績予想を公表していますので、今回は参加させていただくということになりました。

それでは、決算および業績予想についてご説明します。プレゼンテーション資料の3ページをご覧ください。まず、第1四半期のトップライン実績ですが、為替の影響を除いたベースで、正味収入保険料は前年同期比8.3パーセントの増収、生命保険料は3.8パーセントの減収となりました。いずれも新型コロナウイルスの影響を受けているわけですが、この影響を除けば国内外で着実な成長が実現できていると考えています。

グループ全体のハイライト②:連結純利益

次に4ページをご覧ください。財務会計上の連結純利益ですが、第1四半期は新型コロナウイルスの影響293億円を主因として、前年同期比134億円減益の992億円となりました。新型コロナウイルスの影響を除くと、海外で年初から見込んでいた資産運用損益の減少があるものの、東京海上日動における大口・中規模事故の減少、増収効果などにより、前年同期比159億円の増益となっています。

グループ全体のハイライト③:修正純利益

続いて、5ページをご覧ください。修正純利益ですが、今ご説明した財務会計利益から異常危険準備金、のれん等の影響を控除したものですが、前年同期比66億円減益の1,410億円となっています。こちらも新型コロナウイルスの影響を受けているわけですが、この影響を除くと前年同期比222億円増益となり、収益力は着実に高まっていると考えています。

グループ全体のハイライト

次に、2020年度の通期業績予想について説明します。当社の通期業績予想については、5月時点では合理的に算定することが困難であったため未定としていましたが、足元、世界各国でまだら模様ではあるものの、経済活動は徐々に再開しており、その影響をおもに受ける海外保険事業においても半期が経過し、通期を見とおせる状況となったことから、本日公表することとしました。

その内容ですが、5月に公表しています、除くコロナの実力ベースの修正純利益4,100億円に対し、新型コロナウイルスの影響を1,000億円見込み、3,100億円を見込んでいます。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響について詳しくご説明します。5月には、2020年度通期の保険引受利益への影響は300億円から400億円とご説明しました。これは、6月末まで当時の状況が続き、以降、経済活動が年末に向けて回復するというシナリオに基づくものです。これに対し、今般、通期の影響を520億円と見込んでいます。

主なものは、当初ご説明のとおりEvent Cancellationや明示的に担保するBIですが、この部分は当初見込みに対して350億円、当初見込みが300億円から400億円ですのでインラインになっています。

今回はこれらに加え、4月から6月の実績で見えてきた保険料に対する新型コロナウイルスの影響や海外における補償範囲をめぐる争いなど、足元の動きが見えてきた物理的損壊を支払条件としないBIの影響について、合計で170億円を織り込んでいます。このBIについては、当社としては必ずしもお支払いすべきものとは考えておらず、主張していくべき点は主張していくことには変わりないですが、今回は保守的に織り込むこととしました。

まさに現場が直近の状況を踏まえて、ベストエスティメイトベースで見込んだものですが、新型コロナウイルスの第2波、第3波の可能性や、経済活動の回復状況は予断を許しません。ただし、この場合でも、5月にご説明したとおり損失が2倍になるようなことはありません。

また、米国のBIやワーカーズコンペンセーションなどについては、足元、バランスのとれたいい方向に向かっていると見ていますが、政治や訴訟の動きといった不透明な部分はまだあります。従って、こうした状況は引き続きよくウォッチしていきたいと思っています。

続いて、資産運用についてですが、通期の影響は480億円と見ています。5月には、海外の第1四半期の実績として320億円のマイナスをお示しし、質疑のなかでリーマンショック時の信用リスク運用のデフォルト損との対比を出しながら、追加で300億円から400億円レベルの可能性についてもご説明していたわけですが、こちらも今般、直近の市況を踏まえ、国内外の運用リミットが、ベストエスティメイトベースで見込んだものです。

具体的には、金利低下や受取配当の減少などのインカムでマイナス150億円、地方債など、信用リスク資産のデフォルト損や株式のキャピタル損などでマイナス330億円となります。なお、当社のCLO、あるいはCREローンの状況についてご質問いただくことが多いのですが、6月末では減損はほぼありません。資産運用についても、今後2番底、3番底といった状況になれば、短期的には相応の影響を受ける可能性がありますので、引き続き状況をよくウォッチしていきます。

以上のとおり、当社は海外を中心に一定の新型コロナウイルスの影響を受けるわけですが、これは短期的なものであり、アーニングスイベントにほかなりません。このような中、当社はウィズコロナ、アフターコロナに向けた戦略を検討しており、例えばマーケットのハード化を、当社のリスク選択能力を用いてどのように取り込んでいくのか、あるいはM&Aのパイプラインはどうするのかなど、将来のグループ像すなわち修正純利益で5,000億円以上、修正ROEで12パーセント程度の達成確度を高めるべく、検討を進めていきます。

今後も中長期的に安定性、収益性を高めていくことで、株主のみなさまのご期待にお応えしていきたいと考えていますので、引き続き支援をよろしくお願いします。

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