現実の銀行に半沢直樹はいない

資金調達の面で考えると、やはり巨大企業は中小企業よりも有利なのかと思ってしまいます。Too big to fail(大きすぎて潰せない)というやつです。確かにそうなのですが、メガバンクの論理は企業規模もさることながら、“担保十分でトラブルなくお金をキッチリ返してくれる融資先”が、良いお客さんということになるのです。

現実的には、方向性曖昧な正義感で突っ走る“半沢直樹”のようなスーパー銀行マンがいるわけではなく、大企業相手に戦いを挑んだり、出身銀行に反旗を翻したりする行員もいません。

融資という観点では、地味ながらしっかり利息を取れる案件を引っ張ってくる銀行員が良い銀行員。面白くともなんともないと言われればそれまでなのですが、銀行(=金貸し)とはそういうビジネスなのです。

もし、このタイミングでJAL・ANAに自ら融資を持ちかけたメガバンクの行員がいるのなら、なかなかの慧眼をお持ちの方なのでしょうね。

参考:JAL・ANAの株価および日経平均株価の推移、2012年10月末(JAL再上場後)〜 2020年8月17日(月次)

注:各種データより筆者作成

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)