もちろん、既存取引先企業の経常的な運転資金ニーズはなくなりません。そうではなく、大規模な国内工場を建てたり、ライバル企業をまるごと買収したり、新規ビジネスで何千億円規模の新規融資が発生するような企業活動は限られてきているのが実情です。

外国企業に融資することも可能ですが、相手は円で資金を借りませんし、メガバンクが外貨で資金調達するにも限界があるので、やみくもに海外融資を増やすことはできません。

そして、問題になるのは貸付先の業容もさることながら、担保を持っているかどうかです。すなわち借金のカタですね。借金が返せなくなった際に、その担保を売るなり何なりして借金を返せるかどうかです。

メガバンクには貸せるお金が余っていますので、数千億円程度なら貸したいのはやまやまです。ただし、その融資先は資金を返せる能力があって、かつ担保も十分持っている先という条件付きです。

銀行にとって債権保全は至上命題ですから、いくら儲かっていても担保がなかったり、信用力がなかったりすると、お金は貸してもらえないのです。特に、メガバンク自らの資金で貸出を行うプロパー融資ならなおさらです。

メガバンクが数千億円を1社に貸せる理由

さて、JAL・ANAです。前者は政府主導の半官半民企業として創業し、後者はヘリコプター輸送から始まった私企業ですが、それぞれ欠かせない社会インフラとして存在しています。