2020年7月31日に行なわれた、株式会社あおぞら銀行2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社あおぞら銀行 代表取締役社長 CEO 谷川啓 氏\n株式会社あおぞら銀行 取締役専務執行役員 CFO 芥川知美 氏

第1四半期決算ハイライト

谷川啓氏:谷川です。この6月に社長に就任しました。前回のミーティングに引き続いて、大変お世話になります。本日はお忙しいところお時間いただきまして、誠にありがとうございます。

それではまず最初に、私から決算ハイライトということで当期決算のポイントについてご説明を簡単にさせていただきたいと思います。

当期におきましては、事業法人のお取引先の手元の資金を厚くしたいという、資金ニーズへの対応に注力してきました。併せて個人のお客様の預り資産のフォローにも注力しています。事業法人、あるいは金融法人関連のお客様のビジネスが堅調に推移しました。併せてマーケット業務も好調で、全体としては通期業績予想に対し、進捗は順調な状況になっています。

併せまして、リスクコントロールを継続実施するという観点から、貸出、あるいは有価証券ポートフォリオのリバランスを継続的に行なっています。

与信関連費用ですが、前四半期に続き当期も取引先の個別状況を十分に精査して引当を実施しました。前期に引当を行なった保守的な引当という効果もあり、当四半期における与信関連費用は1億円の利益になりました。

この結果、第1四半期の配当は1株当たり30円。年間配当予想122円の4分の1とさせていただきたいと考えています。よろしくお願いします。

損益の概要

芥川知美氏:続きまして、私、芥川から、本日公表した決算概要に沿って2021年3月期第1四半期の決算をご説明します。損益の概況をご覧ください。当期のトップライン、連結粗利益は前年同期比で19億円減少し、213億円、経費は5億円増加し、128億円、連結実質業務純益は24億円減少し、85億円となりました。

与信関連費用は、谷川がお伝えしたとおり1億円の利益、株式等関係損益は10億円の利益、法人税等は19億円の費用となり、ボトムライン、親会社株主純利益は前年同期比44億円減少し、74億円となりました。しかしながら、連結粗利益、連結実質業務純益、親会社株主純利益は通期業績予想に対し、それぞれ23.7パーセント、24.7パーセント、26.1パーセントの進捗となっています。それでは以下、個別項目についてご説明します。

資金利益

資料の3ページをご覧ください。

資金利益は124億円と、前年同期比ほぼ横ばいの実績となりました。運用サイドについては、資金運用収益は前年同期比73億円減少していますが、これは米ドル市場金利の低下により貸出金および債券利息が減少したことに加えて、実績配当型ファンドからの配当が減少したことによるものです。

一方、調達サイドについては、前年同期と比べ外貨調達コストが低下したことなどから、資金調達費用も前年同期比71億円の減少となっています。資金粗利鞘は右の表とグラフのとおり、前年同期比16ベーシスポイント縮小し、1.06パーセントとなっています。この主な要因は、先ほどお伝えした実績配当型ファンドからの配当減少によるものです。貸出金利回りから資金調達利回りを引いた貸出金利鞘は前年同期比7ベーシスポイント改善しています。

非資金利益

非資金利益は前年同期比17億円減少し、89億円となりました。経済活動の停滞や外出自粛要請などにより、リテール業務、プライベート・エクイティ業務にマイナスの影響がありました。一方、事業法人の貸出関連手数料や金融法人のお客様向けデリバティブ関連商品の販売等、顧客ビジネスにかかる収益は堅調に推移しています。加えて、マーケット業務も好調な業績をあげています。非資金利益の内訳について、次ページ以降でご説明します。

非資金利益―役務取引等利益・特定取引利益―

5ページをご覧ください。

役務等利益は貸出関連手数料がシンジケートローン案件の取り組み等により堅調に推移したことなどから、全体では前年同期比横ばいの19億円となりました。特定取引利益は、個人のお客様の仕組債の販売収益が前年同期比で減少したことに加え、トレーディング業務がふるわなかったことから、7億円の損失となりました。一方、金融法人および事業法人のお客様向け、デリバティブ関連商品の販売収益は前年同期比横ばいを維持しています。

非資金利益―その他業務利益―

6ページをご覧ください。国債等債券損益はグローバルな金融緩和政策による長期金利の低下を受け、米国債やモーゲージ債を中心に機動的な売却を行なったことにより、前年同期比31億円増加し、79億円の利益となりました。市場価格が回復したタイミングを捉え、海外ETFを中心にリスクポジション調整のためのリバランスを実施し、評価損益も3月末比で363億円改善しています。国債等債券損益を除く、その他業務利益は前年同期比23億円減少し、2億円の損失となりました。このうち、組合出資損益については、8億円の実績に留まっています。プライベート・エクイティ業務において、当期は投資銘柄のエグジットがなかったことによるものです。なお、ページの下に株式等関係損益を参考として記載していますが、当期は非上場株式の売却により10億円の利益となっています。

経費

7ページをご覧ください。

経費については、GMOあおぞらネット銀行や新マネーサービス「BANK」関連の経費の増加などにより、前年同期比5億円増加の128億円となりました。以上、通期計画560億円に対する進捗率は22.9パーセントとなっています。OHRは通期計画62.2パーセントに対し、60.0パーセント、単体ベースでは51.1パーセントとなりました。

与信関連費用

続きまして、資料8ページをご覧ください。与信関連費用については、前第4四半期に取引先の個別状況を精査、将来の業績等への影響を見積もった上で保守的な引当を実施し、122億円の費用を計上しました。当第1四半期についても同様の方法で引当を実施しましたが、与信関連費用は1億円の利益となりました。

当期末の貸出金全体に対する貸倒引当金の比率は1.66パーセントとなりました。このうち、海外貸出の引当率は約2.5パーセントとなっています。

金融再生法開示債権(単体)

9ページをご覧ください。金融再生法開示債権は、一部債務者の格下げ等により前3月末比36億円増加し、開示債権比率は1.07パーセントとなりました。なお、破産更生債権47億円のうち43億円はビジネスとして行なっている再生ファイナンス案件であり、これを除く開示債権比率は0.92パーセントとなります。

調達

次にバランスシートについてご説明します。まず、調達について、1年前にリニューアルスタートしたインターネット支店「BANK支店」を中心に個人のお客様の預金残高が拡大し、コア調達は前3月末比1,187億円増加しています。外貨調達については、調達の多様化、長期化の取り組みを継続的に進め、為替フォワードのファシリティを導入しました。

貸出―全体・国内業種別―

続きまして、12ページをご覧ください。貸出金のうち、国内貸出については、コロナ関連の支援融資を含めお取引先の資金調達ニーズに対応し、前3月末比428億円増加しました。貸出金利鞘も高付加価値案件の積み上がりにより上昇しています。

貸出―海外向け―

海外貸出について、13ページをご覧ください。引き続き、新規案件は慎重かつ選択的な取り上げを行ない、寄与先のモニタリングに注力するとともに、前年度下期に続き、北米向けコーポレートローンのリバランスを実施していることから海外貸出は176億円減少しました。海外向け貸出比率は国内貸出が増加したこともあり、35.8パーセントと前3月末比約1パーセント低下しています。

貸出―北米向けコーポレートローン―

14ページは、北米向けコーポレートローンの状況です。当行の北米向けコーポレートローンの格付け分布については、従来よりダブルB格中心と申し上げていますが、棒グラフでお示ししているとおり、レバレットローンのマーケットインデックスと比べますと、シングルB格の割合は少なく、投資適格の割合が多いポートフォリオとなっています。

貸出―海外不動産ノンリコースローン―

15ページ、16ページに海外と国内の不動産ノンリコースローンの状況をまとめています。海外は、米国の主要都市のオフィス物件を中心とする構成となっています。

貸出―国内不動産ノンリコースローン―

国内も東京のオフィス、住宅、倉庫物件が中心でLTVは70パーセント以下のものが約9割を占めるポートフォリオとなっています。

有価証券

次に17ページをご覧ください。有価証券は前3月末比590億円増加しました。内訳を見ますと、米国モーゲージ債の購入により金利リスクのポジションを増やす一方、外貨ETFを中心にクレジットリスクのポジションを削減するなど、ポートフォリオ全体のリスクのリバランスを実施しています。

当期末の評価損益は前月末比363億円改善しています。足元は、さらに改善をしています。引き続き慎重なポートフォリオ運営を継続するとともに、リスク分散を通じ、安定的な収益の確保を目指していきます。

配当の状況

18ページをご覧ください。冒頭、社長の谷川からコメントがあったとおり、第1四半期の1株当たり配当金については30円に決定しました。年間配当予想122円の4分の1としたものです。

参考:連単差の内訳

最後に、20ページをご覧ください。ご参考として、連結子会社の状況をおつけしています。GMOあおぞらネット銀行については、先行投資により第1四半期のボトムラインはマイナス12億円となっていますが、法人向け決済ビジネス、API連携が順調に進展しており、第1四半期の計画を上回って推移しています。なお、当期末の連結自己資本比率は後日発表しますが、引き続き十分な水準を維持する見込みです。私からの決算のご説明は以上です。

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