仕事のミスを従業員全員の前で責め立てられて…

しかし、それから数ヶ月後のあるお昼休みに辞職にきっかけとなる出来事が。「その日は土用の丑の日が近かったので、社長がうなぎをお昼にとってくれて。『こんなにも従業員のことを考えている俺はいい社長だろう?』という言葉を流し聞きながら従業員みんなで食べていたんですが、私が午前中に取引先への連絡ミスをしていたことが発覚して…。」

和やかなムードは一変。社長は美和さんに対して、暴言を浴びせかけたそう。「この会社の中で一番使えないのは、お前だ。うちの会社で働けないなら、他の会社なんて勤まるはずがない。こんなにも良くしてやってるのに、ありがたみを分かってない。」

机を叩き、従業員みんなの前で暴力的な言葉を浴びせられた美和さんは、自分を役立たずな人間だと思うようになってしまい、この日以降、出社しようと思うと腹痛や頭痛を感じるように。

「仕事をしていてもミスはないかって神経質になり、手が震えました。私は父親がモラハラな人で、もともと男性の怒鳴り声が怖かったので、余計に恐怖を感じてしまったのかもしれません。」

ミスをしたからか、美和さんは減給され、仕事の報告をしても社長や専務からは鼻で笑われるようになってしまったそう。「そのうち、制服を着た途端、涙が出るようになってしまって。これはもう限界だと思って、辞職しました。」

ワンマンな会社で理不尽な扱いを受けた美和さんは今、心を休ませながら、職探しをしているよう。次は、人権や心を理不尽な理由でないがしろにしない会社と出会えることを願いたくなります。

古川 諭香