バック駐車ができるようになったら給料がアップ

濁った職場の空気を感じるたび、美和さんは日に日に出社するのが憂鬱になっていったそう。そんなある日、美和さんは同じく事務職に就いている同僚から信じられない話を聞かされました。

「お昼ご飯を食べながら何気ない雑談をしていたら、その子がいきなり『そういえば給料あがったんだよね』と切り出してきました。」自分よりも後に入社したのに、なぜ彼女だけ昇給したのだろう…。疑問に感じ、尋ねてみると、理由はまさかの「バック駐車ができるようになったから」でした。

「うちの会社は駐車場の作り的にバッグで駐車したほうが出やすかったのですが、彼女はずっとバッグ駐車ができなくて。でも、自宅で練習してできるようになったらしいんです。それを社長が気づいたみたいで、『そういう努力は大切』と言われ、1万円も給料がアップしたんだと聞かされ、複雑な気持ちになりました。」

こなす仕事の量は、明らかに自分のほうが多く、勤務年数も長い。それなのに、バック駐車ができただけで評価され、給料が上がる、この会社の仕組みはなんなのだろう…。そんな疑問や憤りを感じながらも、その頃の美和さんにはまだ「辞める」という選択肢はありませんでした。「次の仕事を見つけないといけないと思うと、二の足を踏んでしまって。高給ではありませんでしたが、踏ん切りがつかない自分がいました。」