「今の若者はお金を使わずに暮らすんですよ」

シェアハウスの管理人、そして住人でもある田中顕司郎(31)さんは、満面に笑みをたたえました。中学時代に決めた将来像は芸人。コメディスクールに1年間通い、修業を積んだというだけあって、尽きることのない話が軽快なテンポで続きます。

シェアハウス暮らしは2018年末から。家賃が安く、孤独感が軽減。この2つは、シェアハウス暮らしのメリットとして知られています。田中さんの場合は、むしろ3つ目のメリットに魅かれたようです。管理人になれば、仕事をしない時期にも収入が見込めるのです。

初期投資ゼロで、月々7万円弱の副収入

田中さんは、JALの客室乗務員をしていた母親、国際結婚をした2人の親戚のなかで育ったせいか、幼いころから海外を身近に感じていたそうです。大学卒業後、芸人を目指しますが、まずは人のやらないことをやろうと考え、世界一周の旅に出ます。

その旅で、帰国後コンビを組むことになる相方と出会います。そして、シェアハウスを運営する株式会社リバ邸の現代表取締役である片倉廉さんと出会ったのも、この旅でした。その縁で、シェアハウスの管理人に誘われたのです。

芸人を断念し、イベント会社で働きながら世界中を旅していたときでした。旅をしている間は、無収入。おまけに貯金は刻々と減っていきます。「収入がない期間に少しでもお金が入ればいい」と引き受けたのです。