株式市場の振り返り-後場に入り大幅上昇して反発、一時は16,000円台を割り込む場面も

2016年8月4日(木)の東京株式市場は反発となりました。日経平均株価は前日比+1.1%の上昇、TOPIXも+0.9%の上昇で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は▲0.3%下落する続落となりました。

日経平均株価は、前日比+85円高で寄り付いた後、小高く推移しました。しかし、前場の半ばに急落し始め、一時は▲162円安まで下落し、16,000円の大台も割り込みました。ところが、後場に入ると買いが優勢となり、再びプラス転換となります。引けに掛けては一時+187円高まで上昇し、大引けは+171円高の16,254円で終わっています。上に下に忙しい値動きとなりました。

東証1部で上昇したのは1,159銘柄、値下がり717銘柄、変わらず94銘柄でした。東証1部の出来高は22億7,559万株、売買代金は2兆4,633億円(概算)となっています。商いはまずまずの状況だったと言えます。

セクター動向と主要銘柄の動き-33業種中24業種が上昇、通信以外は主力株の好調目立つ

東証1部で上昇したのは24業種、下落したのは9業種でした。上昇率の上位には、素材関連、金融関連が目立ちましたが、輸送用機器の上昇も目立ちました。他方、下落した業種には、内需関連やディフェンシブ業種が圧倒的に多くなっています。

個別銘柄では、ファーストリティリング(9983)が連日で値を上げ、京セラ(6971)やTDK(6762)などの電子部品株も堅調でした。また、信越化学工業(4063)や日東電工(6988)も大幅上昇となり、前日に決算発表を行った富士重工(7270)やスズキ(7269)も大幅高で引けています。一方、KDDI(9433)やソフトバンクグループ(9984)などの通信株が不振となり、しまむら(8227)や良品計画(7453)などの小売株で大幅下落したものが目立っています。任天堂(7974)もしっかりと値を上げました。

東証マザーズ市場の動き-総合指数は小幅安の反落、後場に入ってもプラス圏に浮上せず

東証マザーズ総合指数は、日経平均株価と同様に、寄り付きからプラス圏で推移しましたが、前場の半ばに急落し始めます。しかし、日経平均株価とは異なり、後場に入ってもプラス圏に浮上することなく、反落となりました。出来高は3,231万株と超薄商いとなり、これは約10ヶ月ぶりの低水準でした。売買代金も前日から減少して723億円に止まっています。なお、値上がりが97銘柄、値下がりは116銘柄、変わらず6銘柄でした。引き続き、閑散相場を打破する物色テーマの登場が待たれます。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)、ヘリオス(4593)など医療バイオ関連銘柄で下落する銘柄が見られた一方、サンバイオ(4592)、アキュセラ(4589)など上昇した銘柄も散見されました。なお、時価総額の大きいCYBERDYNE(7779)は小幅高となりましたが、ミクシィ(2121)は逆に小幅安で終了しています。全体的にストップ高安どころか、大幅な騰落を示した銘柄が極端に少なく、深刻な閑散相場を如実に表す結果となりました。新興市場らしいダイナミックな値動きの再来を待ち望みます。

本日(8月5日)の注目点-米国の雇用統計発表を控え、100円/ドルの大台維持が焦点

4日の株式相場は反発で終わりましたが、ザラバで日経平均株価が一時16,000円の大台を割り込むなど、不安定さが残りました。このまま一本調子で上昇基調に向かうと判断するのは、時期尚早かもしれません。これで次の焦点は、100円/ドルの大台を維持できるかどうかです。そして、この大台が維持できるか重要な時に、待っていたかのように米国の雇用統計が発表されます(現地時間の5日)。仮に100円/ドルを割り込むと、来週は株価の下押しが十分考えられます。

国内では、トヨタ自動車(7203)のQ1決算が発表されました。Q1実績はともかく、Q2以降の前提レートを100円/ドルへ変更したことで、通期予想が下方修正されています。これを“一旦、悪材料出尽くし”と見るか、“円高進行リスクは依然大きい”と見るのか、微妙なところです。雇用統計発表というイベントが控えている5日(金)は、外需セクターは様子見に徹したほうが無難と言えましょう。

一方の新興株式市場は、依然として薄商いが深刻です。現状では、相場が上昇に転じるようなエネルギーは全く蓄えられていませんので、不必要な冒険は避けて、資金流入を待つのが賢明と考えられます。ただ、決算発表だけは注視しておきたいところです。

青山 諭志