キユーピー、2Qは減収減益 3月〜5月にコロナの影響を受け業務用商品の需要が低迷

2020年7月2日に行なわれた、キユーピー株式会社2020年11月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:キユーピー株式会社 代表取締役 社長執行役員 長南収 氏\nキユーピー株式会社 取締役 常務執行役員 井上伸雄 氏

20年上期 概要

井上伸雄氏:2020年上期概要及び通期の見通しについてご説明します。まず、売上高は前年に対して59億円減収の2,631億円となりました。物流事業において6億円の増収になったものの、国内の調理・調味料事業で46億円の減収、タマゴ事業で35億円の減収となり、業務用商品の需要低迷から非常に厳しい結果となりました。

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営業利益は前年に対して49億円減益の112億円となりました。サラダ・惣菜事業は5億円の増益となりましたが、タマゴ事業及び調理・調味料事業において業務用商品の売上減少により大幅な減益となりました。

国内の物流事業においても、新型コロナウイルス感染症の影響から出荷物量が減少したことや、新センターの立ち上げによる費用増加により10億円の減益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は営業利益の減少によるもので、前年に対して39億円の減益となりました。

今回の業績は3月から5月の影響を大きく受けており、スライドの表の青枠に3ヶ月間の業績を示しています。ちょうど新型コロナウイルス感染症の影響を受けている期間と重なっています。

20年上期 業態別の増減

当社の国内主力3事業の売上高、営業利益を家庭用と業務用に分けて示しています。外出自粛などの影響で業態別に大きく差が生じています。

家庭用は主に、調理・調味料、サラダ・惣菜となりますが、巣ごもり需要による影響で売上が2パーセント増加し、利益は11パーセントの増益効果がありました。業務用は主に調理・調味料とタマゴとなります。売上では12パーセントの減少、利益では59パーセントの大幅な減益となりました。

20年上期 営業利益の増減要因(前年差)

営業利益の増減要因についてご説明します。今回、第2四半期で大きな変動があったため、第1四半期と第2四半期に分けて増減要因をグラフで示しています。

売上増減に伴う売上総利益の減少により27億円の減益となり、そのうち第2四半期で32億円の減益が生じています。先ほどお伝えしたとおり、新型コロナウイルス感染症の影響による業務用商品の需要低迷が減益の要因です。

売上総利益の変動においては、主原料コストの増加や工場の操業度低下などにより22億円の減益となりました。販売促進費・広告宣伝費、一般管理費などで経費の抑制に努めましたが、全体では49億円の減益となりました。

20年上期 国内主力3事業の業績増減(前年差)

国内主力3事業の売上高、事業利益の増減についてご説明します。調理・調味料事業では、家庭用商品の需要増加以上に業務用商品の販売が減少したため、減収減益となりました。

サラダ・惣菜事業では業務用商品での販売が10億円ほど減少しましたが、カット野菜や惣菜の販売が10億円増加し、売上は前年並みとなりました。利益については日持ちを延長したカット野菜が伸長したことなどから増益となっています。

タマゴ事業はほぼ業務用商品の取り扱いであることから、外食・製菓メーカー向けの需要が急激に減少したことにより減収となりました。利益についても売上減少に伴う固定費の未吸収に加え、鶏卵相場の高止まりによる影響を受け、大幅な減益となりました。

20年上期 海外の業績増減(前年差)

海外の売上高、営業利益の増減をご説明します。中国では1月下旬のロックダウン以降、外食レストランなどが休業した影響により業務用商品の販売が減少し、減収減益となりました。

東南アジアについて、上期では新型コロナウイルス感染症の影響はそれほど受けておらず2桁成長を続けており、営業利益も増益となりました。

20年上期 営業外損益・特別損益の概要

営業外損益・特別損益の概要をご説明します。営業外損益は補助金収入の減少により3億円の減少です。特別損益は事業譲渡益の減少により6億円の減少となりました。

新型コロナウイルス感染症への向き合い方

新型コロナウイルス感染症への当社の向き合い方をご説明します。当社グループの感染防止対策については、まずグループ従業員の安全を最優先とし、その上で段階ごとに工夫を重ねながら事業を継続してきました。

新型コロナウイルス感染症への向き合い方:3つの方針

具体的には3つの方針をもとに対応しており、1つ目の感染リスクの抑制については、徹底した感染防止対策を取った上で段階的に活動を再開してきました。

2つ目は、生活に不可欠な食の分野を担う者としての使命を果たすことです。生活必需品である食品を安全・安心に供給し続けることに努めつつ、外出自粛や巣ごもり生活を応援するための料理レシピなどのコンテンツを発信してきました。

3つ目に、当社グループらしい社会貢献を実施しています。医療従事者への支援や、子どもの心と体の健康につながる支援などの食を通じた社会貢献活動なども行なっています。今後も新型コロナウイルス感染症の対応で得ている経験を生かして、働き方や業務のあり方を見直していきます。

市場の動きとの比較(前年比)

2020年度通期見通しについてご説明します。当社国内主力3事業の伸長率と市場の動向を比較したグラフを示しています。

3月の東京都の外出自粛要請に続き4月に緊急事態宣言が発令されると、家庭用の調理・調味料食品は買いだめの需要が見られ、約20パーセントの増加となりました。5月は4月の買いだめによる反動で前年より減少しましたが、今後も前年を上回る見込みです。

サラダ・惣菜は、スーパーへの買い物頻度が減少したことにより賞味期限の短い商品がやや敬遠され前年を下回る結果となりましたが、今後は徐々に回復すると考えています。

業務用の調理・調味料、タマゴは、4月以降は30パーセントから35パーセントの減少となっています。新型コロナウイルス感染症の終息時期は未だ不透明ではありますが、今後はゆるやかに経済活動が再開され、時間をかけて消費が回復していくと見込んでいます。

20年下期 業態別の増減

当社の国内主力3事業における下期の見通しをご説明します。下期の売上見通しは、家庭用においては7パーセントの増加で引き続き堅調となる見込みですが、業務用は回復に時間を要すことから約16パーセントの減少を見込んでいます。このような状況から2020年11月期の通期計画を修正しています。

20年通期計画

2020年11月期の売上高は5,300億円、営業利益は240億円、経常利益は242億円、親会社株主に帰属する当期純利益は77億円とします。下期についても新型コロナウイルス感染症の影響は受けると見込んでいますが、上期に比べて緩和されていくものと想定しています。

現時点で可能な範囲で新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響額を算出したところ、年間の売上高は約250億円の減収影響、利益は約70億円の減益影響を見込んでいます。なお、この見通しは新型コロナウイルス感染症による大規模な第2波の影響は織り込んでいませんが、引き続き今後の動向を注視していきます。

20年通期計画 営業利益の増減要因(前年差)

営業利益の通期の増減についてご説明します。売上増減に伴う売上総利益の減少は、上期の27億円の減少に加え下期でも14億円の減少となり、年間で41億円の減益要因となります。

売上総利益の変動は年間で33億円の減益を見込んでおり、要因としては工場操業度の低下による影響で14億円、鶏卵の相場高の影響で12億円、サラダ・調味料の主原料コストの増加で9億円となります。

20年通期計画 国内主力3事業の業績増減(前年差)

国内主力3事業の売上高、事業利益の増減についてご説明します。調理・調味料事業は家庭用商品において63億円の増収となりますが、主原料コストの増加による影響もあり、利益は若干の増益となる見込みです。業務用商品は99億円の減収、23億円の減益となり、調理・調味料事業全体では減収減益となります。

サラダ・惣菜事業はカット野菜が好調なことから増収増益を見込んでいます。タマゴ事業は需要の回復に時間がかかるため減収減益を見込んでいます。

20年通期計画 海外の業績増減(前年差)

海外の売上高、営業利益の増減についてご説明します。中国は業務用商品がゆるやかに回復する見込みですが、主力の日本食レストランなどの回復に時間を要し、減収減益となります。

東南アジアは新型コロナウイルス感染症による影響は比較的少なく増収増益を見込んでいますが、売上については2桁成長には届かない見込みです。

20年通期計画 営業外損益・特別損益の概要

営業外損益・特別損益の概要についてご説明します。当社の連結子会社であり、北米でタマゴ事業を展開しているHENNINGSEN FOODSの全株式譲渡を完了しました。

HENNINGSEN FOODSでは、1990年より北米での安定的な原料供給を目的に経営に参画してきました。近年では米国での乾燥卵相場の変動が不安定要因になっていたことから、米国内外に強固なネットワーク事業基盤を有するマイケルフーズのもとで事業を強化することがHENNINGSEN FOODSの持続的成長と企業価値の向上に資すると判断し、株式を譲渡することとしました。譲渡に伴う株式譲渡損失として、約20億円を計上する予定です。

配当金について

配当金についてご説明します。2020年度の配当金については当社の基本方針に則り、今期通年で40円を予定しています。以上、2020年度上期の概要と通期の見通しについてご説明しました。

新型コロナウイルスによる業績へのインパクト①

長南収氏:はじめに、新型コロナウイルス感染症拡大の中、命を守るために従事していただいている医療従事者、自治団体関係者はじめライフラインとして感染リスクがある中、毎日生活必需品の供給に携わっていただいている製造、流通、販売など現場で活動を続けているみなさまに心より感謝申し上げます。

キユーピーグループが事業を継続できているのも多くの方のご尽力があってのことと考えており、感謝の気持ちを大切にしながら食を通じて社会に貢献していきたいという思いで事業活動を進めていきます。

それでは、私から当社の状況と今後についてご説明します。今回の業績は当社にとって大変厳しいものであり、深刻な事態と捉えています。2011年の東日本大震災の時も大きな影響を受けましたが、今回の新型コロナウイルス感染症拡大の影響は過去最大のインパクトとなっています。

とくに3月から5月の3ヶ月間の業績については、前年に対して営業利益が40パーセントも減少するほどの大幅な減益となりました。まずはみなさまにご心配をおかけしていますことを深くお詫び申し上げます。

新型コロナウイルスによる業績へのインパクト②

この3ヶ月間の業務用商品の売上は料飲向けが40パーセント減少し、給食においても30パーセント弱の減少となっています。一方、家庭用商品については巣ごもり需要もあり、マヨネーズやパスタソース、青果売場で展開しているカット野菜などが伸長しましたが、業務用商品の需要減少をカバーする伸びには至っていません。

当社において業務用比率が高いタマゴ事業の売上の減少は20パーセント弱程度でしたが、営業利益では黒字ギリギリのラインまで収益が低下しました。こちらは新型コロナウイルス感染症の影響による販売減少と、それに伴う工場稼働のダウンで固定費が吸収しきれなかったことが大きな要因です。

このような状況はタマゴ事業だけではなく業務用商品を製造・販売するグループ各社でも起きており、グループ全体で大きな影響を受けています。このような環境の中で、まずは従業員の安全を確保し、お客さまへ安全・安心な商品の安定供給を継続することを最優先とした上で、当社にできることを1つ1つ実施していきます。

外出制限や営業自粛要請の影響による需要の減少は我々だけで回復することは困難ですが、販売の減少に伴う費用の抑制など、意志を持って対応できるところには手を打ってきました。

コストコントロールの強化

コストコントロールの強化についてご説明します。広告宣伝費では上期で3億円の抑制をしていますが、下期については販売環境を勘案しながら集中すべきところには効果的に投下していこうと考えています。

その他販管費では新型コロナウイルス感染症終息後も働き方の標準が変わっていく中で、在宅勤務や遠方とのWeb会議などでITを活用し、間接業務の効率化を推進することで出張費や国外渡航費の抑制を進めていきます。

投資については不要不急の項目を精査し、優先度と重要度で実施項目を選択していきます。引き続き継続的な取り組みを進め、コスト抑制に努めていきます。

業務用ビジネスの再構築

コストコントロールと同時に手を打たなければならないのが、業務用ビジネスの再構築となります。業務用市場は今後ゆるやかな復調となることを想定していますが、元のボリュームに戻るかは不透明な状況です。当社においてはこの機会を体質強化のターニングポイントと捉え、まず1つ目に踏み込んだ低収益商品の精査で収益基盤を固めていきます。

2つ目に内食・中食・外食の境界線が低くなることにより生まれる新市場への商品、技術提案、新型コロナウイルス感染症の影響により存在感が増したテイクアウトやデリバリーなどのメニュー提案、免疫力アップで注目されるようになった健康志向などへの対応を促進することにより、新たな需要を掘り起こしていきます。

3つ目に生活必需品を取り扱っている大手製パンメーカーなどの業態への戦略を明確にすることで、効率的な営業スタイルを見出していきたいと考えています。このような取り組みを実施しても、新型コロナウイルス感染症が流行する前の市場に戻ることは難しいと判断しているため、さらに家庭用ビジネスの盤石化を進めていきます。

家庭用ビジネスの盤石化

家庭用ビジネスについては、新型コロナウイルス感染症の影響を経て新たな気づきがありました。巣ごもり消費では、「選ばれるもの」と「なくても困らないもの」の選別をお客さまがしていたということです。

当社のマヨネーズについてはまさに万能調味料としてお客さまに選ばれ、安定的な需要が今も続いています。カット野菜やあえるパスタソースも好調を維持しており、お客さまに良さを認知していただいているものと考えています。

ドレッシングについては、外出制限や営業時間短縮要請の直後は一時的に需要が増加したものの、その後、鈍化しました。このことから、家庭用においても生活必需品と認識してもらえるような商品の育成が大切だと捉えています。まずは、「深煎りごまドレッシング」の用途拡大に向けた取り組みを実施し、生活必需品の領域へ育成を進めていきます。

成長分野への取組みを促進

また、お客さまの買い物行動の変化はグロサリーだけでなく、週に1回だけのストック型ショッピングへと移行することから、今後は生鮮周りや惣菜売場でも消費期限延長のニーズが高まり、当社の技術を発揮できる場面が増えるものと考えています。

具体的には、家庭用たまごの商品開発による需要の創出や、生鮮売場での専用商品の展開、消費期限延長の技術を用いたロングライフ惣菜の開発を進めていきます。その役割を担ってもらうため、2月には新規市場開発担当役員を招聘しました。新たな市場への取り組みで2024年には売上150億円を創出する動きを進めていきます。

キユーピーは昨年、おかげさまで創業100周年を迎えることができました。お客さまへの感謝などさまざまな活動を進めるとともに、創業の思いをグループ一同で振り返りました。このコロナ禍の中で、創始者の志である「日本人の体格向上のため、美味にして栄養に富むマヨネーズを生活必需品となるまで広く普及させたい」との思いの大切さをあらためて認識するに至りました。

厳しい業績の中でも、マヨネーズなど生活必需品と認識されている商品は安定的な出荷となりました。とくに健康を意識した「キユーピーハーフ」は伸長しました。食に携わる者として、キユーピーの原点とも言える生活必需品をお届けすること、そして健康へ向き合うことを大切にしながら次の100年も成長していけるように進めていきます。

最後になりますが、今回の業績及び今期見通しにおいては過去に例のない大変厳しい状況であり、現在掲げている中期経営計画の進捗とは乖離しています。この危機を乗り越えて次のステップへ向かうため、当社では現在新たな中期経営計画の策定に取り掛かっています。

まだ詳しくは申し上げられませんが、次の1年を待たず、新たな戦略のもと組織の最適化を行ない、早期の業績回復と次の成長に向けた動きを取っていきます。みなさま方におかれましては、引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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