新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者増加により、東京都民が車で都外へ外出すると冷ややかな目で見られる、ということがあるそうです。

それを避けるために「東京都民が千葉ナンバーの軽自動車を買ってカモフラージュする」というニュースを朝の報道番組で報じられ、TwitterなどのSNSではほんの一時的にザワつきました。

少し車に詳しい人だと「あれ?」と感じるこのニュースの背景には“ちょっとしたカラクリ”が存在しているのではないかと推測します。今回は、そんなカラクリに迫っていきます。

車のナンバー取得に関するキホンのキ

今回のニュースで気になったのが「東京都民が千葉ナンバーの軽自動車を買った」ということです。車のナンバーは「所有者が居住している管轄のナンバーしか選択できない」というルールが存在するため、まず不可能ということが前提にあります。

例外として「使用の本拠」を指定することで、居住地以外のナンバーを取得することができます。

この方法の例を挙げると、東京に本社を構える法人が長野県にある営業所で車を使用する場合に、営業所の住所が使用の本拠の位置となり、長野ナンバーを取得することができる、ということです。

個人の場合は例えば、山形県の大学の寮に下宿している東京の学生(住民票は東京の実家のまま)が通学のために使う車を購入する際に、「寮に下宿していることを証明」すれば住民票が東京であっても山形ナンバーの車を取得することができます。単身赴任の場合も同様の手続きをすることもあるでしょう。

普通車の場合、ナンバープレートの取得に必要な書類として「自動車保管場所証明書(車庫証明)」が必要になります。車庫証明は「自宅(使用の本拠)から半径2km以内に保管場所(駐車場)を用意しなければならない」という決まりがあり、居住地(もしくは使用の本拠)を管轄するナンバーのみが取得可能となります(※1)

ですが、今回の「東京都民が千葉ナンバーの軽自動車を買ってカモフラージュする」は軽自動車のナンバー登録ということで普通車とはやや違う手続きを踏むことになります。

軽自動車の場合、車庫証明をナンバー取得から15日以内に管轄の警察署に届け出る必要があります。この届出をしなかったり、または虚偽の届出をすると、10万円以下の罰金を受ける場合がありますから、しっかりと届け出ましょう(※2)

車庫証明には例外的な地域が存在する

今回のニュースで、なぜ東京都民が千葉ナンバーの車を購入することができたのか、ということですが、その答えは「千葉県内の事情」にあるようです。

千葉県警によると、千葉県内において軽自動車の保管場所届出をしなければいけない地域は『千葉市、市川市、船橋市、木更津市、松戸市、野田市、佐倉市、習志野市、柏市、市原市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ケ谷市、浦安市』とあります。逆を言えばこれらの地域以外の場合は届け出をする必要がないということです(※3)

軽自動車の新規登録や名義変更時は普通車と同様に「所有者の住所」と「使用の本拠」を記載する必要があります。この使用の本拠欄を保管場所の届出の必要のない地域にして、その地域を管轄する軽自動車検査協会で届出をすれば、千葉ナンバーが取得できるということになります。しかし、これはもちろん違法行為です。

この行為は通称「車庫飛ばし」と呼ばれる方法で、前述した「自宅(使用の本拠)から半径2km以内に保管場所(駐車場)を用意しなければならない」といったルールを逸脱したり、虚偽の申請をして車庫証明を取得した場合のケースのことを指します。

車庫飛ばしを悪意をもって行った場合、最大で20万円の罰金が科せられます(※4)

車庫飛ばしは、昔から横行していたと言われています。地方在住なのに人気の品川や横浜ナンバーを取得したり、東京都などのディーゼル車規制をすり抜けるために対象外の地域のナンバーを取得する場合などがあったようです。

居住地以外のナンバープレートを取得する正式な方法

もちろん、正規の手続きを経たうえで居住地以外の管轄地のナンバープレートが取得できるのであれば問題はありません。

その正規の手続きとは

  • 使用の本拠と明示できる証拠がある(別荘がある、実際に使用していることを公共料金の請求書等で証明できるなど)
  • 法人の場合、営業所として登記されている

などです。

上記の証拠や書類が提示できれば、今回少し話題になった「東京都民が千葉ナンバーの車を買う」ことが実現できます。これ以外の場合は、車を販売した販売店にも責任が発生する可能性も出てくるかもしれません。車は一種の財産ですから、正確な申請や届出が必要になるということなのです。

まとめ

通常の車の購入だとあまり気にしない車庫証明ですが、寮生活をしている学生の方や単身赴任時の車の購入においてはちょっと特殊な手続きをする必要がありますから、覚えておきたい知識になります。

しっかりとルールを把握したうえで、それに則って手続きをするようにしましょう。

参考

(※1)「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」e-Gov
(※2)「自動車の保管場所(車庫)に関する申請手続(軽自動車)」埼玉県警察
(※3)「軽自動車保管場所の届出手続」千葉県警察
(※4)「自動車保管場所証明申請」富山県警察

宇野 源一