『愛の不時着』の大ヒットにより、第2次韓流ドラマブームが押し寄せてきている感がある昨今。特に、主婦の間で『愛の不時着』をきっかけに、韓ドラの沼にハマっている人が多数いるように見受けられます。
そういえば、2000年代初めに起きた『冬ソナ』ブームのときも、主婦層を中心に韓ドラがブームが巻き起こっていたように記憶しています。
なぜ、韓ドラはこんなにまで女性の、とりわけ主婦の心をつかむのでしょうか?
思いがけず視聴してみたら…
『愛の不時着』がブームらしい、ということは薄々耳にしていた筆者。周りの友人も「ハマった」「すごくよかった! 今は別の韓ドラを見ている」など、いかに今韓ドラがアツいかを熱っぽく語ってくれました。
しかし、韓ドラどころか国内のドラマもあまり熱心に見ることがない筆者、韓ドラの良さをいくら友人に語られても「ふ〜ん」と聞き流すくらいで、視聴しようなんてまったく思っていませんでした。
ところがコロナ禍で事態が急変。思いがけず時間ができた筆者は「すすめられていた『愛の不時着』でも見てみようか…」と思い立ったのです。
しかし、これは筆者も知らなかったのですが、韓ドラって1話が長い! せいぜい1話45分くらいだと思っていたのに、『愛の不時着』に至っては1話90分くらいある! 少し心が折れそうになりましたが「ながら見でいいか」と視聴開始。
すると、いつのまにか物語に入り込み、涙する自分がいたのでした。
ベタだけど、そこがいい!
『愛の不時着』のストーリーを簡単にご紹介しましょう。韓国に住む財閥令嬢で、自身も起業家であるヒロインが、パラグライダーの事故により北朝鮮に不時着してしまいます。途方にくれるヒロインを救ったのは北朝鮮の若き将校。当初は反発しあっていましたが、いつの間にか惹かれあうふたり。しかしふたりの間にはさまざまな壁が立ちはだかり…。
…と、こうして書いてみると、あまりにもベタ。ベタすぎて「これのどこがおもしろいの?」と思ってしまう方がほとんどなのではないでしょうか。現に筆者もあらすじを読んだときは同じような感想を抱いたものです。
しかし、いざフタを開けてみると、そのベタさが心地いい。若かりしころ流行ったトレンディドラマのような、どこか懐かしさを感じるストーリー展開は、何も小難しいことを考える必要がないので頭を空っぽにして物語に没頭できるのです。
「非現実的」なリアルを追体験
『愛の不時着』にしろ、かつて大ブームを巻き起こした『冬のソナタ』にしろ、眉目秀麗な主人公の男性は、一途にひとりの女性を思い、その愛を捧げます。「相手のことを大切に思い、そのためなら命を捧げることも厭わない」。これこそまさに理想の愛、ロマンティックの極致。
実際に起こるはずなどない…。そうわかっていながらも心のどこかで「こんな恋愛をしてみたかったな」「こんなセリフを一度でいいから言われてみたかったな」という誰しもが持っている願い…。それを実現しているのが韓ドラなのです。
現実の世界では、大恋愛の末結ばれた夫でも「恋愛」よりも「生活すること」を優先するようになってくる。そのうえ子供が生まれると、夫は家族でありパートナーであり、ある意味“戦友”…。恋愛は二の次どころか五の次、六の次になってしまう。
毎日の生活に不満はないけれど、ふとしたときに感じる寂しさ。それを埋めてくれるのが、まさに「理想の恋愛」を描いた韓ドラ。
「こんなこと現実にあるはずない」とわかっている。ありえない…と思いながらも心のどこかで「現実に起こってくれたら嬉しいな」と願ってしまう、そんな恋愛をあたかも現実の物語のように描いてくれる韓ドラは、まさに「非現実的だけどリアル」。
そこが忘れかけていた主婦の「乙女ゴコロ」をくすぐってやまない要因なのではないでしょうか。
おわりに
実のところ、韓ドラは年々ジャンルが豊富になり、サスペンスや歴史もの、推理ものなどラブストーリー以外のジャンルが増えつつあるそうです。しかし、面白いことに、恋愛もの以外の韓ドラはなかなか日本のファンには浸透していかない…つまり、日本人には響いていないそう。
この点から見ても、日本のファンが韓ドラに求めているもの、それは「心を震わせるようなロマンス」なのではないでしょうか。つまり主婦が韓ドラにハマる理由とは「ラブストーリーがこうであってほしい」という願望を韓ドラが実現してくれるからではないか…
…と分析しつつ、今日もまた睡眠時間を削りながら視聴し続ける筆者なのでした。