2020年7月22日に行なわれた、ネットワンシステムズ株式会社2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:ネットワンシステムズ株式会社 取締役 執行役員 竹下隆史 氏
2021年3月期 第1四半期 業績サマリー
竹下隆史氏:竹下です。どうぞよろしくお願いします。まず資料3ページの業績サマリーからご説明します。
赤枠が当期の結果となります。新型コロナウイルス感染症の影響で営業活動に一部遅れが生じたものの、テレワークに関連したセキュリティ対策やクラウド基盤等の需要が拡大したこともあり、受注高と売上高は計画線で着地することができました。
個別の数字をご説明します。受注高は482億1,700万円で、前年同期比で0.1パーセント増となりました。売上高は365億500万円で、前年同期比で2.6パーセント増、売上総利益率は28.5パーセントで、前年同期比1.8でパーセントポイント増です。販売管理費率は21.4パーセントとなり、前年同期比で0.4パーセントポイント減となりました。
利益面では、営業利益は26億1,100万円、経常利益は26億9,100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は19億円と、それぞれ前年同期比で増加しました。増加の要因としては、サービス比率の向上、そして、中期事業計画で新モデルとして取り組みを進めているリファービッシュビジネスが黒字に転換したことが寄与しています。受注残高は1,052億2,800万円で、前年同期比19.9パーセント増となりました。
マーケット別 受注高・売上高・受注残高
マーケット別の受注高・売上高・受注残高についてご説明します。上から順に説明します。紫色はエンタープライズ市場です。新型コロナウイルス感染症対応への要望が強く、テレワークの拡大、セキュリティ対策、クラウド基盤が堅調に推移しました。
緑色は通信事業者市場です。サービス基盤や法人事業の支援、テレワークの増加に伴う回線の増強を中心に展開しました。受注高は、前年第1四半期に案件が偏ったこともあり減少しています。赤色はパブリック市場です。GIGAスクール構想、セキュリティ対策、クラウド基盤ビジネスが好調に推移しました。一方で、ヘルスケアは投資の優先順位の見直しが発生しました。青色はパートナー事業です。新型コロナウイルス感染症への対応が優先されたことで一部のプロジェクトが遅延し、受注高は前年同期比で減少しました。
商品群別 受注高・売上高・受注残高
商品群別の受注高・売上高・受注残高です。上から順に、水色が機器、オレンジ色がサービスとなっています。「統合サービス事業」が拡大し、サービス商品群の受注高・売上高・受注残高が順調に増加しました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響で、機器商品群については、納品が一部遅れ売上高は微減となりました。こちらにより、売上高におけるサービス比率が通常よりも高くなっています。また、この機器商品群の売上の一部遅れによって危機商品群の受注残高が増加しています。
セグメント情報
セグメント情報です。上段が当期、下段が前期となっています。エンタープライズ市場、通信事業者市場、パブリック市場は、売上総利益率が改善したことでセグメント利益が増加しています。パートナー事業の利益は前年同期と同水準でした。
連結貸借対照表
B/Sについては前期末との比較表を記載しています。売掛金、買掛金が減少しており、また受注残が増加し、棚卸資産も増加しています。
為替レート等
為替レートについて、当四半期向けの平均レートは107.58円でした。1株当たり当期利益は22.43円です。また、連結の従業員数は52名増加の2,506名となりました。新卒採用に関して、例年50名前後でしたが、本年4月入社の新卒採用は95名と増加させました。来年度以降も100名前後の採用を計画しており、新卒を中心とした人材育成、リソース拡充を図っていきます。
2021年3月期 通期業績の見通し(※期初公表値から変更なし)
2021年3月期通期業績の見通しです。期初公表値から変更はありません。第1四半期はよいスタートが切れているため、上期については計画を達成できると考えています。通期については、新型コロナウイルス感染症が依然として予断を許さない状況であることから読み切れてはいませんが、計画達成に向けて継続して努力します。
2021年3月期 通期業績の見通し:マーケット別(※期初公表値から変更なし)
マーケット別の見通しです。こちらも期初公表値から変更はありません。パブリック市場に関しては、GIGAスクール構想の案件をしっかりと受注できていることから、好調に推移できるのではと考えています。
再発防止策の進捗状況 - 1
納品実態のない取引における再発防止策の進捗状況をご説明します。あらためてとなりますが、これらの活動の目的は、統制の取れた業務プロセスの浸透と社員の意識変革を通じて、不正を二度と起こさないための会社の仕組みや風土を醸成することです。
各取り組みについては、対応済みのもの、対応実施中のもの、そして運用に入りモニタリングしているものがわかるように◯印を付けています。モニタリング活動とは、年度を通じて月次でPDCAを回して有効性を検証し、もし何かあればすぐ是正するというものです。
まず1つ目の営業取引に関する基本方針です。この対策の目的は、架空取引のリスクの排除です。したがって、実在性の確認をいかに担保するかということですが、現在の進捗状況は記載した5つの項目はすべて対応済みであり、現在モニタリング中です。
続いて、リスク管理体制の強化です。こちらも記載した項目はすべて対応済みとなっています。現在、非常に重要な対策として、リスク管理実行計画に基づき、全部門にリスク調査シートを配布し、オペレーショナルリスクや不正リスクに関する問題点を洗い出し、モニタリングしています。
再発防止策の進捗状況 - 2
3つ目の業務統制の強化です。現在対策を進めているものは、業務規程の改定およびそれに合わせたシステム改修です。これは不正を起こさないためのプロセスの改善となります。もう少し詳細をお伝えしますと、約13プロセスある中での1つ1つのプロセスの見直しを実施しています。期末末までにその対応を実装し、システムに順次制限をかけていくというかたちで進めています。再発防止策の有効性向上ということで、営業取引の基本方針と連動しますが、社長直轄組織の「営業統括室」を中心に、コンプライアンスレギュレーションリストというものをベースに1つ1つの案件のチェックを行ないそのモニタリングに入っています。
コンプライアンス活動の見直しは短期的施策というよりも、中長期的に取り組む内容だと考えています。コンプライアンス意識の強化については、コンプライアンス活動の計画を完了し、現在、全部門、全社員が、活動計画、活動宣言を実施し、いろいろな会議体の中でのレビューを行なっています。コンプライアンス教育についても、一般的な研修ではなく、いろいろな事例をもとに、なぜそのようなことが起きたのか、私どもの行動や経営ビジョンにとってそれがどのような影響があるのかというところまで踏み込んだ研修を、年間を通じて実施していきます。
それから、ビジョンの浸透活動です。ここも活動計画をすでに動かしており、現在、企業としての経営ビジョンに向かったあるべき姿、行動と、社員一人ひとりが取る行動の再編集というかたちに入っています。同時に、先ほどのコンプライアンスだけでなく、一人ひとりの行動宣言も全社員実施し、ワンオーワンミーティングなどを通じてレビューを行なっています。
以上が進捗状況となりますが、すでにモニタリングに入っている事項と、今まさに対策を実施しているところがあります。その活動のモニタリングを第2四半期も続けて有効性の検証を行ない、すぐ何かあった場合には改善して、不正を二度と起こさない業務体制をより強化したいと考えています。
市場の投資状況
16ページ、17ページでは、新型コロナウイルス感染症の影響についてご説明します。まず16ページの市場の投資状況です。こちらは、当社にとってポジティブな要素とネガティブな要素に分類したものです。
ポジティブな要素については、テレワークの案件が増加しています。緊急度の高い投資案件として、ウェブ会議システムや仮想デスクトップ、そして、社内システムへのリモート接続用のネットワーク増強といったものがありました。また、今後もテレワークという新しい働き方が継続することを見据えた新規検討も増えています。具体的には、クラウドへの安全に接続するセキュリティ対策であったり、ネットワーク構成を抜本的に見直そうというお客さまもいます。自社で取り組みを進めている働き方改革の経験や知見を提供するとともに、グランドデザインの段階からお手伝いしていきたいと考えています。
次にネガティブな要素についてです。こちらでは、一部のプロジェクトに遅れが発生しています。主に製造業やヘルスケア、病院といったところでは、投資の優先順位の見直しの動きがあります。パートナー事業では先ほどもご説明しましたが、新型コロナウイルス感染症への対応が優先され、一部の案件が遅延しています。これらについては、お客さまの投資の優先順位を捉えた提案活動を展開していきたいと考えています。また、第1四半期のプロジェクトの遅れについては、第2四半期にキャッチアップできると想定しています。
当社の事業活動の状況
最後に、17ページの当社の事業活動の状況をご説明します。左側に第1四半期、4月、5月、6月における全社のテレワークの推移を記載しています。このテレワーク率とは、総労働時間におけるテレワークの割合です。
緊急事態宣言の期間は、社員の安全性を優先し、全社で原則出社禁止とし、テレワークに移行しました。提案活動や構築活動、そして、保守・運用サービスを極力リモートで実施しました。グラフが示すとおり、この期間のテレワーク率は80パーセント以上で推移しています。緊急事態宣言が解除された後は、感染状況を注意しつつ、テレワークを主としたハイブリッド勤務を推奨しています。冒頭でもお伝えしましたが、第1四半期の受注高・売上高については、計画線で着地することができました。
当社としては、従来から進めてきた働き方改革で事業を継続することができたと言えます。この働き方の知見をお客さまへとお届けすることで、より付加価値のある提案にしていきたいと考えています。私からの説明は以上となります。ありがとうございました。