地方公務員で加速する非正規化
出世による昇給が難しかったとしても、高卒や女性でも安定した立場や収入が見込める点は地方公務員の魅力です。一方、地方自治体の財政悪化や多様な働き方に対するニーズの高まりによって、地方公務員に占める臨時・非常勤職員の数は増加の一途をたどっています。
2018年に総務省が作成した資料(※)によると、地方公務員の臨時・非常勤職員は全国で約65万人に上り、うち約4分の3が女性です。臨時・非常勤職員は立場が不安定で正規雇用よりも給料が低いだけでなく、期末手当の対象外でした。
2017年に地方自治体法および地方自治法が改正され、一般職の非常勤職員「会計年度任用職員」が新設されました。任用期間は1年間で期末手当の支給対象になりますが、実際に支給するかどうかは地方自治体の裁量にかかっています。
民間企業では年功序列や終身雇用制度が崩壊しつつあり、2020年からは同一労働同一賃金がスタートします。実力が重視される傾向は、今後ますます強まっていくでしょう。会社員でも地方公務員でも、出世するのはそう簡単なことではないようです。
参考
「ユースフル労働統計2019 ―労働統計加工指標集―(19. 役職関連指標)(289ページ目)」JILPT
「平成30年地方公務員給与の実態」総務省
(※)「地方公務員の臨時・非常勤制度について」総務省
「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案の概要」総務省
「同一労働同一賃金特集ページ」厚生労働省
「地方公務員の給料は、どれくらい?」LIMO
LIMO編集部