ニコン、映像事業における需要の減退や部品調達の遅れが大きく影響 通期は大幅な減収減益で着地

2020年5月28日に行なわれた、株式会社ニコン2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ニコン 専務執行役員 CFO 德成旨亮 氏

2020年3月期決算説明会

德成旨亮氏:みなさま、こんにちは。4月1日よりCFOを務めている德成です。投資家やアナリスト、そしてマスコミのみなさま、どうぞよろしくお願いをします。

今回の決算発表は、新型コロナウイルス感染症防止の観点から、このようにインターネット配信による開催とさせていただいています。

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当社では、社員とその家族、そしてお客様をはじめとするすべてのステークホルダーのみなさまの安全確保をなによりも大切に考えています。ご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願いします。

2020年3⽉期 通期:ポイント

さて、私からは2020年3月期の決算および今年度の見通しをご説明します。スライドの3ページに、2020年3月期の業績の概要をお示ししています。5月12日に業績予想の修正を適時開示しましたが、最終的に売上収益は5,910億円と前回2月に公表した予想に比べて290億円の下ブレとなり、前年度比では1,176億円の減収となりました。

減収幅が大きかったのは映像事業です。ミラーレスカメラは増収でしたが、急速なマーケットの縮小が進む中、新型コロナウイルスの影響による新製品の販売延期の影響も重なり、事業全体で約700億円の減収となりました。

精機事業は、半導体装置事業は増収でした。ですが、FPD装置事業はお客様の投資一巡の影響に加え、新型コロナウイルスの影響により一部装置の据付が2020年度に繰延となったため、精機事業全体としては300億円超の減収となりました。

営業利益は67億円と2月予想比133億円の下ブレで、前年比では759億円の減益となりました。うち、映像事業は減収影響に加え、新製品の開発費負担や減損損失の計上により赤字となりました。

一方で、昨年11月に発表した映像事業の構造改革は着実に進んでおり、中期経営計画期間中に事業運営費を2018年度対比で500億円削減するという目標に対し、約250億円の削減を実現しています。

精機事業は、前年度に計上した半導体装置関連の特許訴訟の和解に伴う一時利益が剥落したこともあり減益となりました。

2020年3⽉期 通期:2⽉予想からの主な変化

2月の公表予想からの変化をまとめています。1行目、新型コロナウイルスの売上収益への悪影響は約330億円です。

営業利益については、黄色い枠で囲った部分の新型コロナウイルスの影響約100億円と、固定資産減損103億円が主な下ブレ要因となっています。

映像事業では、ソフトウェアなどの無形固定資産の減損を計上し、産業機器事業では測定機器の関連子会社、海外にあるNikon Metrology(ニコンメトロロジー)社の買収時のれんなどを減損しました。

表に記載のとおり、効率化、コスト削減も進めましたが、トータルの営業利益は前回予想比133億円の下ブレとなりました。

2020年3⽉期 通期︓連結売上収益・損益

当期利益は76億円と前回予想比で94億円の下ブレとなり、前年比では589億円の減益となりました。

その下のフリーキャッシュフローは48億円のマイナスとなりました。利益の減少や精機事業における前受金の減少などが影響しています。為替はこの1年間でドル、ユーロとも円高に推移しました。

売上収益で142億円、営業利益で43億円、それぞれマイナス方向の影響が出ています。

2020年3⽉期 通期:映像事業

スライドの6ページはこの後ご説明するセグメント別の業績のサマリーですので、説明は割愛します。スライドの7ページをご覧ください。カメラやレンズを中心とする映像事業の実績についてご説明をします。

売上収益は2,258億円と、前回2月予想比92億円の下ブレで前年比では703億円の減収でした。2月中旬まではおおむね計画どおり推移しましたが、新型コロナウイルスの影響が拡大するにつれ需要の減退や部品調達の遅れが鮮明となり、高級一眼レフカメラやミラーレスレンズの発売延期が売上の下ブレにつながりました。なお、映像事業の売上における新型コロナウイルスの影響は約100億円です。

一方で、当社が力を注いでいるプロ層、趣味層向けのカメラの台数および売上比率やレンズの付帯率は着実に向上しています。また、オンラインの販売比率も上昇するなど、販売チャネルの多様化も進んでいます。

しかしながら、映像の営業利益は新型コロナウイルスの影響約40億円もあり、全体で171億円の赤字となりました。

2020年3⽉期 通期︓精機事業

精機事業です。当社では、FPD、すなわち液晶ディスプレイなどの薄型映像表示装置、および半導体を製造する露光装置の製造・販売、これを行なう事業を精機事業と呼んでいます。

この事業の売上収益は2,397億円、予想比153億円の下ブレで前年比348億円の減収となりました。このうち、FPD、フラットパネルディスプレイ露光装置は、お客様の投資一巡による減収に加え、年度末にかけて新型コロナウイルスの影響による海外での据付の繰延が発生したことから大幅に減収となりました。

一方、半導体露光装置はお客様の要請を受けて、4台の据付を前期中に前倒しで完了するなど、新品の販売台数は前年比13台増加しました。ですが、FPD関連の落ち込みを補えず、精機事業全体では減収となりました。

営業利益は467億円、前回予想比では43億円の下ブレとなりました。昨年に特許の訴訟の和解に伴う一時利益、約150億円があったことを勘案すると、前年比では実質的に約200億円の減益で着地しました。

2020年3⽉期 通期:ヘルスケア事業

ヘルスケア事業の売上収益は620億円で、2月予想比、前年比のいずれも約30億円の減収となりました。第3四半期までは増収基調でしたが、新型コロナウイルスの影響で、生物顕微鏡、網膜画像診断機器とも下ブレを生じました。

営業赤字が続く同事業については、投資テーマの絞り込み等により、赤字幅を前年比半減させるという計画を立てて取り組んでいきました。第3四半期までは順調でしたが、その後新型コロナウイルスの影響により、医療機関向けビジネスが停滞し、結果的に赤字幅は前年比で5億円拡大しました。

2020年3⽉期 通期:産業機器・その他

産業機器・その他のセグメントです。売上収益は633億円、2月予想比17億円の下ブレ、前年比では92億円の減収となりました。X線検査装置や非接触3次元測定機といった注力している部分は計画どおり増収となりましたが、中国・アジア等でお客さまが投資抑制基調であったところに新型コロナウイルスの影響が加わり、全体として減収となりました。

営業利益は減損損失36億円を含めて、前年比38億円の減益で着地しています。以上で、各事業別の説明を終わります。

2021年3⽉期 通期⾒通し

2021年3月期の通期見通しについてご説明します。現時点で新型コロナウイルス影響の終息時期を見通すことが困難であることから、業績予想は未定とします。今後、合理的な数値の算定が可能になった時点で速やかに開示します。

業績予想は未定としますが、2020年度の主要事業の見通しについて、ここで定性的にご説明をします。

映像事業は、部品調達の状況は改善しつつあるものの、サプライチェーン全体はいまだ新型コロナウイルスの影響が残っています。さらに、新型コロナウイルスの影響はカメラ需要を直撃していまして、足元では大幅な販売減に見舞われています。

中国などグローバルに見ますと、一部地域では回復の兆しもありますが、カメラは嗜好品の側面があることから全般的には厳しい展開が予想され、2020年度は残念ながら2期連続赤字を覚悟せざるを得ない状況です。

精機事業は、需要は底堅く確認できているものの、日本からの技術者の海外渡航が困難な状況が続いています。装置の出荷や納入、あるいは据付といった実務に支障が出ており、お客様や協力会社様と据付時期等について協議を重ねています。一部、今年度に予定していたFPD装置の据付は来期、2021年度に繰り延べざるを得ない状況です。

このように、ビジネス全般にわたり近年にない厳しい状況が続いており、今年度は損益的にも苦しい状況が予想されます。

一方で、当社の自己資本比率は53.7パーセントと健全な水準にあり、手元流動性も現預金と資金調達枠の合計で4,000億円以上を確保しています。この財務の健全性をベースに厳しい状況を乗り越えていきたいと考えています。

株主還元

最後に、スライド12で株主還元についてご説明します。昨年5月の本席、決算説明において、中期経営計画の期間中は総還元性向40パーセント以上、1株当たり年間配当60円以上とすること、ただし、経営環境に急激な変化が生じた場合には当方針を見直す可能性があるとお伝えをしました。

昨今の急激な環境変化をふまえ、総還元性向40パーセントは堅持する一方、1株当たり年間配当60円については今後の成長投資余力と危機対応力を確保すべく、誠に遺憾ながらこれを取り下げさせていただきたいと存じます。

具体的には、2020年3月期の期末配当は10円、年間配当は40円にそれぞれ従来予想から20円の減額とします。環境変化が急激だったとはいえ、お約束を違えることになり心苦しく思っています。また、2021年3月期の配当予想は、業績予想同様未定とします。

なお、2020年3月期に実施した自己株式の取得の状況は資料に示したとおりです。昨年11月から本年3月にかけて取得した2,250万の発行済み株式の約6.1パーセント相当である自己株式はすでに全量償却済みです。

最後になりますが、今後とも経営環境の変化に目を配り、成長投資と株主還元の最適なバランス、これをしっかりと長期的な視点の中で考えていきたいと考えています。私からの説明は以上です。ご静聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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