株式市場の振り返り-反落するものの、売り一巡後は一進一退の展開に

2016年7月28日(木)の東京株式市場は反落となりました。日経平均株価は前日比▲1.1%の下落、TOPIXも▲1.1%の下落で引けています。また、新興株式市場の東証マザーズ総合指数も▲1.4%の下落となりました。

日経平均株価は、前日比▲68円安で寄り付いた後、間もなく▲48円安まで下げ幅を縮小しました。しかし、その直後から売りが優勢となり、前場の半ばには▲214円安まで下落しました。後場は16,500円を挟む攻防が続きましたが、大引けは▲187円安の16,476円で終わっています。

東証1部で上昇したのは628銘柄、値下がり1,236銘柄、変わらず106銘柄でした。東証1部の出来高は18億9,771万株、売買代金は2兆3,738億円(概算)となっています。出来高は今一つ少ないですが、値嵩株の売買が多かったため、売買代金はそこそこの水準でした。

セクター動向と主要銘柄の動き-決算実績の内容により、主力株の株価変動が続出

東証1部で上昇したのは2業種、下落したのは31業種でした。全般的に売られたため、大きな特徴は見られませんが、前日に好調だった化学・素材系セクターが反落したこと、及び、相変わらず金融関連セクターが不振であることが伺えます。

個別銘柄では、前日に決算発表を行った富士フイルムホールディングス(4901)が急落し、年初来安値を更新しました。また、28日の取引時間中に決算発表を行った三菱電機(6503)も急落しています。この他にも、ミツミ電機(6767)なども急落しており、決算サプライズが色濃く反映されました。また、同じく決算発表の任天堂(7974)も大幅下落になっています。一方、同じ決算発表でもポジティブに評価されたアルプス電気(6770)は+10%超の急騰となり、上方修正を行ったファナック(6954)も堅調でした。また、日本電産(6594)は続伸し、アドバンテスト(6857)も年初来高値を更新しました。

東証マザーズ市場の動き-総合指数は反落、売買代金は500億円割れ目前の薄商い

東証マザーズ総合指数は、寄り付きから前日比マイナスで始まり、その後もほぼ一貫して下げ続けました。結局、ほぼ安値引けに近い反落となり、終値でも900ポイント割れ寸前となりました。また、出来高は前日より大幅減少の3,367万株、売買代金も減少して528億円となりました。売買代金は500億円割れ目前となり、深刻な薄商いとなっています。出来高は今年最高だった4月20日(1億7,331万株)の5分の1未満の水準です。なお、値上がりが56銘柄、値下がりは164銘柄、変わらず10銘柄でした。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)は小幅高となりましたが、逆にCYBERDYNE(7779)とミクシィ(2121)はいずれも小幅安となりましたいずれも薄商いの中での動きに止まっています。オンコリスバイオファーマ(4588)やサンバイオ(4592)など、医療バイオ関連銘柄の一角は上昇しましたが、限定的な動きに止まりました。また、同じ医療バイオ関連でも、アキュセラ(4589)は大きく値を下げています。その他にも特に目立った動きは見られず、新興市場らしからぬ相場となりました。

本日(7月29日)の注目点-日銀金融政策決定会合の結果に注目、過剰な期待は禁物

いよいよ、29日(金)は日銀金融政策決定会合の結果が公表されます。既に4月(例のゼロ回答サプライズ)、6月と裏切られてきたので、大きな期待を持っている人は少数かと思います。その意味では、28日の株式相場が下げたことは、期待値を高めなかったという点でいいことだと考えます。一切の期待を持たず、通常通りに株式相場と接することが重要です。追加緩和策が出たら出たで、出なかったら出なかったで、冷静に対応しましょう。

日銀の金融政策とは関係なく、足元の業績相場に向かう動きは加速すると考えられます。28日も、業績相場を裏付けるような動きは数多くありました。全てがポジティブ・サプライズではありませんが、引き続き電機セクター、素材セクター、景気敏感セクターに注目しましょう。キーワードは“一旦、悪材料出尽くし”です。

一方の新興市場は、残念ながら未だ底が見えないどころか、日々不安感が増大しています。利益確定売り、換金売りのピークは越えたと思われますが、買い手が登場しないと話になりません。28日の売買代金はついに500億円割れが目の前に迫る状況になっており、このような閑散相場では、わざわざ冒険する必要はなく、静観することが望ましいと言えましょう。

 

青山 諭志