ところが、銀行が倒産して清算されることになると、小幅赤字の借り手も返済を強要されることになりますので、倒産してしまう可能性も高いでしょう。地域金融機関が破綻すると、その地域の多くの小幅赤字企業が一斉に倒産してしまうことにもなりかねません。そうなると地域経済への影響が深刻ですね。

そうならないように、政府は日頃から銀行にハイリスク・ハイリターン業務をさせないように規制をしたりしているわけですが、今回のような深刻な不況が来ると、安全運転をしている地域金融機関も安泰とは言えませんから、そうした可能性もリスクシナリオとして頭の片隅に置いておく必要がありそうです。

以上色々と記して来ましたが、本シリーズは予測ではなくリスクシナリオですので、リスクの存在を頭の片隅に置いておこう、ということであって、過度な懸念は不要です。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義