任天堂と比べても遜色ない日新電機の株価パフォーマンス

ポケモンGOの登場により任天堂(7974)の株価が急騰したことは記憶に新しいところですが、任天堂と同じく京都に本社を持つ日新電機(6641)の株価も非常に好調です。

7月26日の終値は、昨年末比で日新電機が+89%上昇、任天堂が+41%上昇、TOPIXが▲16%下落となっています。ちなみに、今回のポケモンGOブームによる任天堂の株価のピークは7月19日で、その時点での年初来上昇率は+90%でした(終値ベース)。

日新電機は100年の歴史を持つ中堅重電メーカー

日新電機は京都に本社を持ち、2017年に創業100周年を迎える老舗の中堅重電メーカーです。

電力会社向け電力コンデンサ-や送変電機器、変圧器などの重電機器が祖業ですが、1970年代から半導体製造用イオン注入装置、2000年代からは最近の業績牽引役となっている液晶用イオン注入装置に取り組んでいます。

足元の業績は極めて好調

2016年7月21日に発表された2017年3月期Q1(4-6月期)決算は、受注、売上高ともに2桁増となり、営業利益も黒字転換しています。

重電メーカーの場合、売上高がQ4(1-3月期)に集中する傾向がある一方、Q1は売上高が少ないため、赤字になりやすい四半期ですので、黒字でのスタートは極めて好調な出だしであると見ることができます。

また、上期および通期業績予想は据え置かれましたが、Q1実績の営業利益は25億円となり、上期の会社計画(25億円)を既に達成しています。また、中小型液晶や有機ELパネル製造用イオン注入装置が含まれる「ビーム真空・応用装置事業」の好調を主因に通期の受注計画が上方修正されましたので、今後の上振れを強く感じさせる決算内容でもありました。

今後の注目点

では、最後に日新電機の10年チャートを見てみましょう。

 

ご覧の通り、2016年に入ってから株価の水準が大きく切り上がっており、“会社が変わったのではないか”と感じさせるチャートです。

この背景としては、液晶用イオン注入装置の顧客に、従来の日本および韓国に加えて、新たに中国メーカーが加わったことや、イオン注入装置が、液晶パネルだけではなく有機ELパネルの製造装置としても成長が期待できるようになったことが考えられます。

同社は、2016年5月に2021年3月期に売上高を1.6倍、営業利益を1.5倍に拡大させるという非常に意欲的な中期計画を発表しています。

この目標達成をするためには、イオン注入装置の拡大がカギとなることは間違いありませんが、過去の半導体や液晶の設備投資の歴史を見ても明らかなように、需要には大きな波(サイクル)があることには注意が必要です。また、中国のカントリーリスクにも留意する必要があります。

いずれにせよ、液晶・有機EL用製造装置だけに過度に依存するのではなく、重電事業についても着実に収益を拡大していけるかを注視していきたいと思います。

 

LIMO編集部