メラニア夫人の芸術的な交渉術

前述の書籍は、ワシントン・ポスト紙のジャーナリスト、メアリー・ジョーダン氏がトランプ家やメラニア夫人の知人や関係者からのインタビューをもとに、メラニア夫人の知られざる姿を明かしています。

例えば、2017年にトランプ大統領がホワイトハウスに移る際、メラニア夫人と長男バロンさんが彼の学業を理由にニューヨークに残ったことについて、じつは、一緒に行かなかったのは「トランプ大統領に婚前契約書を書き換えさせるための戦略」だったことが関係者の証言から分かったとしています。

またジョーダン氏がワシントン・ポスト紙に掲載した記事(※)によると、メラニア夫人は、トランプ大統領の成功への貢献やこれからのファーストレディーとしての役割を理由に、自分と息子の財産分与を増やす新契約を求めたそうです。

2人がニューヨークに残ることで、余計な警護費用(12万5,000ドル/日)やホワイトハウスへ行き来する際に利用する軍機などの莫大な費用を納税者が負担することなど、メラニア夫人にはどうでもよいことだったようです。

ジョーダン氏は、トランプ大統領の著書“The Art of the Deal”のなかでトランプ大統領は、「交渉ではレバレッジが最大の強みとなる」「レバレッジは相手が欲しい何かを持つことだ」と書いていることを指摘しています。メラニア夫人がこの「レバレッジを使って交渉する」トランプ大統領のやり方をしていることから、2人の類似点を示唆しています。

関係者によると、トランプ大統領はメラニア夫人がそばにいないことに苛立っていたとのこと。通常トランプ大統領はメラニア夫人がそばいると、比較的落ち着ついているのだそうです。要するに、周囲に「トランプ大統領にはメラニア夫人がそばにいることが必要だ」と認めさせ、それをメラニア夫人はレバレッジとして利用しているのです。

ジョーダン氏の著書のタイトル“The Art of Her Deal”は、トランプ氏の著書タイトルを皮肉って考えられたのでしょう。