2. 興味をつなぎとめる演出
最後まで飽きさせないで見させるのが映画監督、すなわちその商品を買わせるマーケターの手腕です。上映途中に映画館から出られて「つまんね」なんてSNSに書かれたら次はありません。ですので、いかに大げさに舞台設定を描くかが一つの勝負です。
『パラサイト』には貧富、広狭、高低、乾湿、美醜、愛憎、悲哀、成否、生死など、二家族の対比が嫌というほど出てきます。1963年の黒澤映画の傑作、『天国と地獄』もそうでした。もっとも同作品も、米国の犯罪小説が題材とされています。
3. どんでん返し
『パラサイト』の途中までは、金持ち一家のお雇い社員になりすました貧乏家族がハッピーエンド、ハイ終わりみたいな感じですが、ここからからドンデン返しが始まります。
常識的に考えればあり得ない設定ですが、住み込みのお手伝いさんを雇えばさもありなんと想像させるのがうまいところです。しかも、それまではストーリーとほぼ関係のなかったお手伝いさんが主役に転じる巧みさがあります。
このドンデン返し部分、『カメラを止めるな!』とそっくりだと思っているのは筆者だけではないでしょう。
結局、重要なのは「見せ方」
ことほどさように、映画だけではなく、ビジネス一般にパクリがあるのは日常茶飯事です。
そもそもビジネスはオリジナリティだけではできません。グーグルは百科事典、アマゾンは通信販売、フェイスブックは電話帳、アップルiPodはウォークマンの電子化ビジネスですから、ゼロからサービスをスタートしているわけではありません。