株式市場の振り返り-大きなイベントを控えた利益確定売りで反落、値嵩株の売買は堅調

2016年7月22日(金)の東京株式市場は反落となりました。日経平均株価は前日比▲1.1%の下落、TOPIXも▲0.9%の下落で引けています。また、新興株式市場の東証マザーズ総合指数も▲1.0%下落する反落となりました。

日経平均株価は、円高進行などを嫌気する形で前日比▲197円安で寄り付きました。その後は前場の半ばに一時▲118円安まで盛り返しましたが、後場は再び軟調になり、一時▲243円安となる場面がありました。結局、大引けは▲182円安の16,627円で終わっています。

東証1部で上昇したのは515銘柄、値下がり1,322銘柄、変わらず131銘柄でした。東証1部の出来高は15億9,104万株、売買代金は2兆4,289億円(概算)となっています。出来高の割には売買代金が膨れており、一部の値嵩株の取引が多かったことが伺えます。

セクター動向と主要銘柄の動き-上昇は33業種中4業種のみ、任天堂は小幅上昇と健闘

東証1部で上昇したのは4業種、下落したのは29業種でした。上昇した業種は内需関連が多かった一方、下落した業種でも内需関連が見られました。また、全体的に売りが優勢となり、大きな特徴はなかった中で、金融関連セクターが相対的に売られたようです。

個別銘柄では、「ポケモンGO」が日本で配信となった任天堂(7974)が小幅上昇となり、前日に好決算を発表した日新電機(6641)も値を上げました。また、しまむら(8227)やライオン(4912)なども上昇しています。一方、ファーストリティリング(9983)、ファナック(6954)などの主力値嵩株が値を下げ、村田製作所(6981)やアルプス電気(6770)も大幅下落となりました。引け後にQ1決算を発表した日本電産(6594)も軟調に終わっています。

東証マザーズ市場の動き-総合指数は薄商いの中反落、一時は900ポイント割れも目前に

東証マザーズ総合指数は、寄り付き後は前日比プラスとなりましたが、その後はマイナス圏に沈んだまま終わりました。また、取引時間中には900ポイント割れも視野に入る場面もありました。出来高は前日より若干増加して5,018万株となり、売買代金も小幅増加の817億円となりましたが、依然として低水準のままです。なお、値上がりが56銘柄、値下がりは168銘柄、変わらず9銘柄でした。兎にも角にも、閑散相場を打破するような物色テーマの登場を待ち望みたいところです。

個別銘柄では、時価総額が大きい3つの銘柄、そーせいグループ(4565)、CYBERDYNE(7779)、ミクシィ(2121)は、大きな動きを見せることなく、いずれも小幅安となりました。全体的に下げた銘柄が多かった中、Hamee(3134)、Gunosy(6047)などが値を上げたのが目を引いています。しかし、それ以外で特に大きく動いた銘柄は少なかった模様であり、新興市場らしからぬ展開に終始しました。

本日(7月25日)の注目点-金融経済のイベントを控えて、様子見スタンス強まる可能性も

スマホ向けゲーム「ポケモンGO」の配信も始まり、“ポケモノミクス相場”はイベント的にピークを超えた感があります。しかし、22日の株式相場は、再び任天堂株への依存度が拡大し、売買代金で約30%に達しました。何度も言うようですが、1銘柄への依存度としては異常であり、この状況は長く続きません。こうした観点から、ポケモノミクス相場の沈静化は、株価の大幅調整リスクと裏腹の関係にあるとも言えましょう。

一方で、今週(25日~)は日米の金融政策会合、Q1決算発表の本格化など金融経済の大きなイベントがあります。任天堂株を除くと閑散相場に近かった先週の状況が、再び大きく動き出す可能性がありますが、それが下落方向となる場合も十分あり得ましょう。最近の金融政策会合、特に4月以降では、ネガティブ・サプライズが続いていることに留意したいところです。週明け25日(月)は、こうしたイベントを睨んで様子見スタンスが強くなる可能性がありますが、先週末にQ1決算発表を行った日本電産の株価動向に注目が集まると考えられます。

一方の新興市場は、引き続き静観スタンスがよいでしょう。換金売りは峠を越えたと見られますが、大きな物色テーマがない現状では、なかなか買い手が現れ難いと言えます。また、Q1決算の内容如何では、大型株への資金シフトがもう少し続く可能性も否定できません。新興株は下値を過度に意識せずに、動き出すのを待つのが得策と考えられます。

青山 諭志