できるだけ高収入を得ることを目的に、転職活動をしている人も多いと思います。ただ、比較的身軽な20代の間は『自分に合う職場探し』のような感覚でいることができても、30代ともなると、先々を考えて、20代の時よりも慎重に次の職場を選ぶ必要があるのではないでしょうか。
今回は、そんな30代の転職について、統計データをもとに、少し考えてみましょう。
統計に見る「30代の給与事情」
最初に、国税庁が公表している『民間給与実態統計調査(令和元年)』(2019年)より、業種ごとの年代別の平均給与についてみてみましょう。ちなみに、1年を通じて勤務した給与所得者5,026万人の平均給与は441万円(男性545万円、女性293万円)となっています。
業種別全体でみると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が最も高い業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」の759万円、2位は「金融業、保険業」の631.3万円、3位は「情報通信業」の622.4万円と続きます。
ちなみに、事業を始めるにあたって免許や資格が必要になる業種を「規制産業」と呼び、電気やガス、通信、金融、医療などの業種がこれに該当します。業界固有の法規制を乗り越えないと事業に参入できないため、参入済み企業が優位性を保ちやすいのが規制産業の特徴です。働く社員にも資格取得が求められることが多く、それが、これらの業種の平均給与を押し上げる要因となっているのかもしれません。
なお、上記の表では、30代前半、30代後半、平均給与のピークとその年代についてもピックアップしてみました。数値を追っていくと、30代前半の平均給与が全体の平均給与を超える業種は少なく、35歳を過ぎてからようやく超えるという業種が多いことに気がつきます。
また、平均給与額のピークが50代前半である業種が多いことを考え合わせると、平均給与が比較的高いといわれている業種に転職しても、その業種の平均給与ぐらいの収入をすぐに得ることができる…というわけではないのかもしれません。