2020年6月14日にログミーFinance主催で行なわれた、第13回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第5部・株式会社プレミアムウォーターホールディングスの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社プレミアムウォーターホールディングス 代表取締役社長 萩尾陽平 氏\n元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏\nフリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

第13回個人投資家向けIRセミナー

八木ひとみ氏(以下、八木):まずは、株式会社プレミアムウォーターホールディングスの動画をご覧いただきました。それでは萩尾社長、よろしくお願いいたします。

萩尾陽平氏(以下、萩尾):証券コード2588、プレミアムウォーターホールディングスでございます。個人投資家向けIRセミナーということで、代表取締役社長の萩尾陽平からプレゼンテーションをさせていただきます。

本日は、当社が見込む市場、それからその市場を今後どういう優位性をもってシェアを取りにいくのかというところについて、お話ししたいと思います。なお、会社概要とビジネスモデルについては、先ほど動画を見ていただいたため割愛します。決算については前期の数字が締まっていますので、決算説明会資料をご確認ください。

経営統合

まず、経営統合を2016年7月に行なっていますが、私はこの統合から(プレミアムウォーターホールディングスの)代表に就任しています。出身は上場企業のウォーターダイレクトのOEM製造委託先であるプレミアムウォーター(元エフエルシー)という会社だったのですが、そちらはもともと営業会社で携帯電話などの通信系商材を販売をしながら拡大してきており、代理店としていろいろなウォーターサーバーを取り扱って販売していました。その中で、一番ビジネスモデルとして合っていたのがウォーターダイレクトだったため、ウォーターダイレクトのOEMとして「プレミアムウォーター」というブランドを作らせていただき、販売していました。

プレミアムウォーターはモノを売る会社ですので、結局、水を供給する側もそのような会社と組んだほうが、安定した拡大および設備投資が可能になるということで、「経営統合しないか」という話が進み、2016年7月に経営統合しました。

もともと天然水の供給量でNO.1だったウォーターダイレクトと、業界の中では顧客獲得力NO.1だったプレミアムウォーターが組んで「ウォーターサーバー業界での1位を取りに行こう」という目的で作られた会社です。

損益計算書サマリー

2020年3月期決算が発表されているためご報告します。

前年同期の売上収益は377億円から454億円まで伸びてきています。営業利益も8億円から18億5,900万円、EBITDAも約60億円から20億円増加し、80億円まで伸びました。このようにすべての数字が進捗しており、非常に順調な決算発表だったと思います。

通期業績予想値と実績値の差異

よく新型コロナウイルスの影響について聞かれるのですが、3月くらいまでは通常どおり稼働していたため、これが実力値でありプラスにもマイナスにも影響はなかったといえます。

スライドは通期業績の予想と実績値です。こちらはそもそも2020年の2月に修正したものですが、数字は超えているため影響は出ていないと思っています。

ストック型ビジネスモデル

ストック型ビジネスモデルは、今のトレンドであると思いますが、安定的に収益が伸びていくのを確認できるということで、投資家のみなさまにはストックモデルのよさが少しずつ認知されてきているのではないかと思います。例えばユーザー数が伸びて前期末で100万ユーザーになり、(今期も)何十万件の顧客を獲得したのであれば、今期の終わりで百何十万件のユーザーが契約してくれていることになります。つまり、ユーザーが積み上がっていくことで利益が積み上がり、ストックされるということです。

本当は、その利益がいくら積み上がっているのかを言いたいのですが、それを言ってしまうとすべて外に出てしまうことになりますので、言えないのがなかなかもどかしいのですが、のちほど、ストックの積み上がりをどこで判断できるかをお話ししたいと思っています。

収益回収イメージ

収益回収イメージは獲得時に獲得コストをかけ、それを長期間にわたって回収していくというものです。サブスクのようなモデルで考えてもらえればよいのですが、要はこのビジネスは解約率が想定よりも高くなりすぎると、思ったように利益が積み上がりません。しかし、一定の解約率でしっかり純増していれば、きちんとストックがたまっているという評価にもなると思っています。

当社の成長イメージ

先ほど、顧客獲得力NO.1のプレミアムウォーターと、天然水の供給量でNO.1のウォーターダイレクトという2つの会社が統合したとお話ししました。

スライドの左側に書いてある7.5万件から10万件くらいの獲得数が、現在の他社の顧客獲得数だと思ってください。当社はそれを統合初年度に約20万件、翌年は29万件、前期は31万件と伸ばしており、他社の3倍くらい獲得しています。ここに当社の圧倒的な戦略上の強みが出てくるため、のちほどご説明します。もちろん顧客がゼロであればストックはゼロですので、ゼロのところから積み上げていくことになります。ちょうど前期において緑の損益コストと赤のストック利益がクロスしているため、今後はいきなり赤字に転落することは考えにくいと思います。

逆に言うと、30万件のところを60万件獲得してしまうと、また獲得コストが一気に30万件分乗るため、一気に赤字になることがあるのですが、ストックは伸ばしているため、あとから利益を出すには、獲得コストを下げればよいわけです。とにかく我々はストックを積み上げ顧客を積み上げていこうと考えています。そのため、10万件ほどで運用していればトントンでしたが、獲得コストを一気に18万件や30万件まで伸ばしたため、私が社長に就任してから2期連続で5億6,900万円から11億7,900万円まで、赤字が一気に広がっていますが、伸ばした10万件にかかったコストを考えると、これでもよい数字なのかなと思います。貯めたストックでの利益が出始めれば、あとはストックを積み上げていくだけなので、強いビジネスだと考えています。

契約件数の推移

スライドの赤い棒グラフが現在の新規獲得数と保有ユーザーです。新規をいくら獲得しても解約が多ければ利益が増えていかないという現象が起こりますので、しっかり純増していることが最も大事です。「純増する」とは売上が上がっているということですので、基本的に当社では売上が上がっていれば、ユーザーが増えていてストックも順調に積み上がっていっていると思っていただきたいと思います。

過去数年は赤字だったため、このことがなかなか説明しづらく、当社の価値を理解していただくために、過去2年は毎月の新規獲得数と保有ユーザー数の推移を毎月発表し続けました。

売上収益・営業利益の推移

こちらは売上収益・営業利益の推移になります。

経営目標数値と株価の関連

グラフは保有ユーザー数と売上とEBITDAと今後の利益についての推移です。基本的に我々のビジネスは右肩上がりで保有ユーザーが伸びていけば、すべての数値が上向いていくことになります。そのため、経営指標は保有ユーザーを伸ばしていくことを最も重要視しますので、新規の営業獲得数をどう伸ばしていくか、解約をどう減らしていくかというシンプルな結論にたどり着きます。

株価は私が就任した頃、500円くらいでスタートしたのですが、現在は1,850円くらいに上がっています。基本的に、凸凹はあるものの、ユーザー数が増加していけば企業価値は上がっていくということを訴え続けており、それを株主のみなさまに理解していただいていますので、あとはしっかりと売上と利益を上げていくことで、より信頼度を上げていきたいと考えています。

市場規模-世界の水資源

こちらも先ほどの動画に出てきましたが、見込む市場はまだまだあるということです。そもそも、日本は世界でたった2パーセントの水道水が飲める国の1つですが、実は天然水の価値を日本人が一番よく理解できていないと思います。

水に困っている98パーセントの国では水の奪い合いが起こることもありますし、そもそも、古代文明は水が豊富な場所で起こったほどですから、日本はそれだけ恵まれた国なのに、これほどいい水があることに気づいていないという現状があります。言い方が悪いかもしれませんが、国内において、日本の水だけでもまだまだ利益を伸ばせるビジネスだと思っており、内需をしっかり拡大したあとに外貨も取りに行こうと考えています。

宅配水市場−市場規模

スライドは宅配水市場規模の推移です。ウォーターサーバーは宅配水市場に分類されているのですが、現在は1,600億円ほどの規模であり、年々少しずつ増えています。昨年は100億円近く伸びているのですが、そのうち当社の売上増が約80億円になります。拡大する市場のシェアをどう獲得するかは、我々の営業力で伸ばしていけると思っていますので、市場がどうかということは、さほど関係はないと思っています。

国内のウォーターサーバーの普及率はまだ7パーセントほどです。海外では水道水が飲めないこともあり、普及率が50パーセントほどの国がけっこう多いため、国内の7パーセントがどれだけ低いかということと、伸びしろはまだあるということをご理解ください。

宅配水市場-顧客数の推移

ユーザー数もスライドのように伸びてきています。業界自体は昨年20万純増しており、そのうち我々の純増が約20万のため、業界においては、当社だけが先ほどご説明したような営業力で伸びているというかたちになります。

宅配水業界地図2020(2019年12月末時点)

スライドは業界図です。2位がすでに約50万ユーザーですが、当社はそれを突き抜けて100万ユーザーを保有しています。頭の中で計算してもらうことになるのですが、50万ユーザーのうち、解約率が約1.5パーセントだとすると、月にだいたい7,500件くらいの方が契約をやめます。そちらを12ヶ月で掛けると、だいたい年間で10万件獲得する計算になります。そのため、先ほどお伝えしたように、2位以下の会社は年間で10万件しか新規顧客を獲得していないのではないかと考えられます。つまり、保有顧客数が50万ユーザーまで増えると、年間10万件ほどの新規獲得では全体数は伸びなくなるため、2位以下がだいたい50万件くらいで止まっていることになります。それを当社は年間30万件ほど新規獲得し、一気に突き抜けてきたということです。

日本流通産業新聞(2020年1月9日号)

スライドの写真は日本流通産業新聞です。こちらに毎年一度、宅配水の業界図が載るのですが、我々がプロモーションを行なったわけではないにもかかわらず、新聞社の方が記事にされるときに「一強」という見出しを付けていただいたことには、とても価値があったと思っています。

さきほどの獲得数の話ですが、これからも差は開き続けていくことになりますので、そこからどのような戦略をとっていくかをお話ししたいと思います。

潜在的な市場

スライドは潜在的な市場を示しています。我々が属している宅配水市場の規模は1,620億円で、毎年100億円くらい伸びています。また、ミネラルウォーター市場ですが、こちらはわかりやすく言うと、コンビニエンスストアなどで売っているペットボトルの市場だと思ってください。例えば、みなさまがご存じのサントリーや日本コカ・コーラの天然水はこちらに入ります。清涼飲料水市場全体は約3兆円ほどの市場であり、こちらに緑茶のティーバッグやコーヒーを入れていくと、約4兆円ほどの市場となります。我々は宅配水の市場というよりも、天然水のみの販売ですので、ミネラルウォーターの市場ともかぶってくることになります。

当社は「家に井戸を持とう」というコンセプトを作っています。昔は一家に一台井戸がありましたが、それは一戸建ての家庭が多かったからです。現代はマンションができてそのような文化がなくなり、水は水道や買うもので補うようになったのですが、外を歩いていてコンビニエンスストアで買う市場も含むと、4兆円規模の市場があります。

「家に井戸を持とう」というのは、飲用だけでなく、料理など、すべての水をウォーターサーバーで供給していく文化をしっかり作っていきたいということです。当社としては、家にいるときは、ぜひ当社の水からお茶やコーヒーを作ってもらいたいですし、それも我々のプレミアムブランドの製品を消費してもらうなど、この4兆円の市場をどのようにして取りに行くのかを考えています。

ミネラルウォーター市場での当社の売上

ミネラルウォーターの市場の売上です。社名は伏せているためイメージしてもらうしかないのですが、A社とB社が今1位と2位です。こちらはもう、誰もが知っているような会社ですが、4大飲料メーカーと言われるほどですので、C社、D社、E社も一度は聞いたことがある名前です。天然水の売上に当社の売上を当てはめた場合、現在は3位の水準になっています。今期の売上は530億円ですので、順調にいって2位の会社が伸びなければ、我々は2位までいけるのではないかと予想しています。

当社の強みと優位性

何度もお伝えしているとおり、営業力というものは非常にわかりにくいのですが、例えば当社は1日に、直営が500人、取次店・代理店が500人と計1,000人ほどの営業員が稼働しています。新しく参入してくる会社において、今から1,000人の営業員をゼロから採用する場合、例えば、営業のトークスキルなどの問題がありますので、採算が合うまでの不採算のコストをまかなうことはできないと思います。

我々はエフエルシーおよびプレミアムウォーターという営業会社で、私は約18年ほど代表を務めてきましたが、いきなり1,000人を採用するのは基本的に無理があります。営業会社は、少しずつ人を増やしながらスキルのある人材を育てて、そのスキルのある人材にバトンタッチして後輩を育てていくという文化がしっかり根付いていないと、拡大しても獲得効率が下がって不採算になるというのを何社も見てきています。そのため、そのようなノウハウのない会社が当社のような体制を「ゼロイチ」で作るのはほぼ不可能だと思っています。当社のように、営業員をしっかり育てていくことが非常に大事であり、それは他社が真似することはできませんし、それが当然ですが、顧客の純増および水源開拓につながります。

顧客の増えていない会社には新しい水源を買うことができません。そのため、水源を増やせることが非常に大きな強みです。なぜならば、地産地消で近くに運ぶという物流戦略と一緒になってくるためです。水は重たいため、とにかく物流コストを安く制することができれば、絶対的に原価が安くなります。顧客の純増していない会社は水源の開拓や物流体制の構築ができません。物流はわかりやすいと思うのですが、例えば、東京の品川区の中にユーザーが増えれば増えるだけ、品川区を回るトラックの配送コストは下がるということです。また、無駄のない設備投資も同じです。

当社の優位性①水源の開拓(1)

ユーザーの増加を自社の営業で予想できるため、それに合わせた設備投資ができます。要は、「何年後にユーザーが130万ユーザーまで増えるから、今から水源を開拓して、何万ユーザーまで対応できる工場を作ろう」という設備投資ができるということです。

当社は顧客獲得力がありますので、ビジネスにおいて未来を予想できる強みはすごく大きく、投資がギャンブルではなく確実なものになっていくということで、非常に大きなアドバンテージだと思っています。例えば、現在は、175万ユーザーまで増えても供給可能な水源を確保しています。

当社の優位性①水源の開拓(2)

また、災害時のリスク分散ですが、例えば南阿蘇の水源において、震災時は南阿蘇工場が出荷不能になってしまったため、それを金城や富士吉田からフォローしたのですが、このような対応も水源を増やしていないとできないということです。

当社の優位性①水源の開拓(3)

スライドに書いてあるとおりです。

当社の優位性②物流網の構築(1)

先ほどご説明した物流ですが、最初は富士吉田だけで、そこから全国に運んでいたため、富士吉田から北海道や九州までの送料が非常に高かったため、南阿蘇を開拓し、西日本エリアを南阿蘇にまず切り替えました。それから、中国地方を金城で、北陸地方および近畿地方を朝来に切り替えました。それにより、近くから近くに運ぶことで物流戦略上、すごく有利になってきました。このやり方を、さらにユーザーを増やしながら細分化していくことが重要だと考えています。

当社の優位性②物流網の構築(2)

これは先ほどお伝えしましたが、各エリアで物流網を構築することで、配送効率が上がるということです。

当社の優位性③無駄のない設備投資(1)

当社の優位性③無駄のない設備投資(2)

当社の優位性③無駄のない設備投資(3)

設備投資も同じことです。自分たちで、増える顧客数がわかっているため、それに合わせて設備投資をすることで回収が容易にできるということです。

未来への投資

スライドのとおり、顧客を増やすことで、このようなメリットがあります。先ほどお伝えしましたが、純増しているのは当社のみですので、他社は、このようなかたちではできていないと思いますが、そもそもユーザーを増やせば、1製造当たりのコストが下がりますので、それだけでも強みなのですが、当社では顧客の純増が物流やサービスの拡充などすべてにおいてプラスになるという強みがあります。

プレミアム経済圏

また、ユーザーを増やしていくとショッピングモールなどで、お茶やコーヒーなどの副商材をお客さまに提案をすることができます。あとは営業力を活かして、電力やガスを販売したりと、プラスアルファでいろいろなものをお客さまに提案できます。当社は水を販売する会社であり、水で収益確保できればよいため、副商材に関しては解約抑止になれば十分だと思っています。そのため、収益確保というよりも、ユーザーでいることでお得なものが増えるというようなかたちで、水の消費の増加や解約抑止につながればいいなと考えています。

このような副商材の販売に関しては、中期経営計画に一切入れていませんが、このようなものができると、売上や利益も格段に上がる可能性もありえます。

業績予想

中期経営計画−期末保有契約件数

先ほどもお話ししましたが、今期は109万まで契約件数を増やして行く予定です。こちらは前期(2019年5月)に発表している中計ですので、基本的にはこれもう全部超えるかたちになります。目標としてはだいたい1年ほど前倒しで達成していくようなイメージを組んでいるのですが、確実に達成するつもりです。

中期経営計画-新規契約件数

例えば新規契約件数も、前期で31.3万件を達成しているため、社内においては今期はもっと上の数字を目標にしています。

中期経営計画−売上収益

こちらは売上収益についてです。

中期経営計画−営業利益

営業利益も今期の分までほぼ達成しているようなイメージですが、もうすぐ上期の数字を発表しますので、そちらを見ていただければと思います。

中期経営計画まとめ

中期経営計画のまとめです。

本日の説明を振り返って

こちらのスライドも全部まとめているようなものなのですが、プレミアム経済圏がうまくはまれば、出している中計よりももっと面白い数字が出てくると思うのですが、あくまでこちらは宅配水事業主体で考えていますので、あまり計画値には入れていないということで、そちらについては楽しみに見ていてください。私からの説明は以上です。ありがとうございました。

坂本慎太郎氏からの質問

八木:ありがとうございました。それでは、質問タイムに移りたいと思います。坂本さん、よろしくお願いします。

坂本:なかなか営業の社員を育てるのは難しいですが、御社は営業が非常に強いと伺っています。私のイメージですと、御社の営業獲得はショッピングモールなどでの対面販売が多いと思うのですが、新型コロナウイルスでそれが難しくなったのではないでしょうか。また、資料にあるとおり、テレマーケティングにも力を入れていくという話がありましたが、どのように獲得をしているのでしょうか。

萩尾:おっしゃるとおり、対面販売は緊急事態宣言が出たことで、ショッピングモールの時短営業や、店舗の営業休止が増えたため、そのあたりはかなり苦戦しましたが、水という商品に対する需要は逆に高まっていると思います。生活必需品という意味でいくと、在宅が増える分、また、非常事態ということで「水を持っておこう」「ためておこう」という需要もありますので、対面販売での販売場所や時間は多少減ったのですが、例えばスーパーマーケットなど、この期間でも営業を続けて集客が増えた場所はあります。

そういう場所での対面販売に切り替えると、そのようなところはすでに水がない場合もあるけれども需要はありますので、定期配送で安定供給が可能な天然水であるということで、お客さまにはその場でも非常に喜んでいただいたということです。ただし、店頭販売で約50パーセントの新規顧客を獲得していたため、4月や5月は、もともと決まっていた開催場所がいきなり使用できなくなった影響から(例年比)80パーセントくらいまで落ち込みました。

テレワークによって自宅にいる方が増えたため、逆にテレマーケティングが伸びました。

坂本:こちらがアプローチするというよりは、自発的に頼んでくれる人が増えたということでしょうか?

萩尾:テレマーケティングのため、一応こちらからお電話させていただくのですが、需要が高くなっているため、話を聞いていただけることが多く、テレマーケティングの販売ですと、150パーセント以上になっています。

坂本:すごいですね。

萩尾:あとは、やはりWebです。お客さまがウォーターサーバーが欲しいと思って探したり、比較サイトを利用したりということもあり、そちらがトータルで150パーセントから160パーセントほどになっています。そのため、結局は昨年対比より4月も5月も新規獲得数が伸びています。販売手法がいろいろあったことと、そもそも商品が景気に左右されるようなものではなく、需要が高まったというのがプラスに転じたのではないかと思います。

坂本:そうですね。八木さんがおっしゃいましたが、テレワークということで、家での消費量もたぶん増えているはずですので、そのあたりもプラスに見えますよね。

八木:サイクルが早くなるということですか? 例えば、2週間に1回頼んでいたのが、1週間に1回になるというようなことですか?

萩尾:そのとおりです。そのほかに追加注文などもあります。今まで、昼は誰も家にいなかったのが、ご夫婦やお子さまも在宅になるため、そのあたりの消費量増はこちらの予想以上に上がったかと思っています。

現在、契約数は100万ユーザーですが、そもそもユーザーの使用量が上がりました。新規獲得については、対面販売のところは心配だったのですが、需要の高まりがそれを超え、新規獲得にも影響がなく、逆に伸ばせたというところで、今のところはプラスの影響が多かったのではないかなと思っています。

八木:今後の営業手法に関して、何か変えていこうというものはありますか?

萩尾:このような生活スタイルは文化として残るのかなと思っています。すぐには以前の生活には戻らないでしょうし、よかった点も非常に多いと思います。世の中は、しばらくこれを残す流れになっていくと考えていますので、テレマーケティングとWebについては積極的に投資して伸ばしていこうと考えています。ただ、対面販売は非常に地道で大変な営業ではありますが、やはり非常によい強みですので、しっかり残していく、もしくはそちらも拡大していき、しっかり対応していきたいと考えています。

坂本:御社はどちらかというと個人向けの宅配水がメインで、法人の獲得は少ないということですが、この辺もかなりプラスですよね。

萩尾:99パーセントくらいは個人消費のお客さまの獲得をしています。週末に商業施設に来るお客さまや、会社で働いているのは基本的には個人のお客さまですので、そのようなお客さまをずっとターゲットにし続けたのは強みだと思います。

どちらかというと、法人は会社のコストに関係してくるため、管轄している部署がそのコストを管理していることろが多く、景気が悪くなると解約になる場合があります。

坂本:あとは、値引き営業のところでしょうか。

萩尾:おっしゃるとおりです。結局がんばって営業したとしても、違う会社がより安く提供するということで営業に来られると、すぐに切り替えられてしまいます。そのため、我々は営業コストが合わないという経営判断をしてやめたのですが、今後もそちらにはあまり注力する予定はないですね。

とにかく、「BtoC」において、我々が目指すところは、4,000万世帯くらいのターゲットの中で、世帯普及率の20パーセント、つまり1,000万ユーザーの獲得です。

八木:やはり、新型コロナウイルスの影響をかなり心配されている方が多い状況で、各社もお話は伺っているのですが、御社はいかがでしょうか?

坂本:かなり気にされている方がいますよね。

萩尾:事業としては、巣ごもり需要などで、いろいろプラスになる部分があったとは思っているのですが、このような状況が全体的に長く続いて景気が低迷することがすべてのビジネスにおいてよいかといえばそうではなく、早く終息してほしいとは思っています。

八木:基本的な質問なのですが、天然水のブランド力というのはかなりあるのでしょうか?

萩尾:天然水には他のものと比べて「ブランド力がある」という言い方よりも、私は逆に言えば、これ以外はどうやって売るのかがわからないです。つまり価値観のお話なのですが、先ほどお伝えしましたが、私は代理店として、10個くらいの商品を全部販売してきたため、今のライバル会社の商品もほとんど営業したことがあるのです。

坂本:よい部分も悪い部分もわかっているのですね。

萩尾:やはり、今は技術が進歩しているため、例えば、他社を悪く言うわけではありませんが、海水も真水になりますし、宇宙では、水は一番重くて大変ですから、すべての下水をろ過して飲むということです。そうであれば、これからは真水にしたものを飲むということ自体の価値観は、なくなってくるのではないかなと思います。

海外であれば、水道水がそもそも飲めない、水道が整っていないという事情がありますのでわかるのですが、日本では、水道水を飲んでも別に危険ではありませんので、そのようなろ過された水をビジネスにするのは、逆に難しくなるような気がしています。

あとは歴史的にも、世界では天然水以外は価値がないため、やはり天然で作られたものの価値……例えば、日頃の生活の中でも、天然物のマグロなどに価値が付くような価値観は一生残っていくのではないかと思います。

このようなものを販売してお金をいただくのであれば、価値あるものをしっかり売っていく、それがプレミアムウォーターの社名の由来なのですが、我々が価値あるものを売っていこうと考えたときに、非加熱の天然水をお客さまに安心・安全のもとに届けていくという価値観だけをビジネスにしていこうと考えました。

世界では、ネスレという会社の時価総額はトヨタ自動車よりも大きいのですが、売上が9兆円くらいある中の1兆円が水によるものです。彼らは30年前くらいから世界中の天然水の水源を集めていたのですね。このようなことも世界ではスタンダードになっているので、我々は、ご説明したとおり、天然水の価値に一番気づいていないのは日本人ではないかということで、その価値をしっかりみなさまに知っていただくために、まず天然水を訴求していきたいと思っていますね。

坂本:それがブランド化すれば、海外にも売れるということもありませんか?

萩尾:そうですね。もちろん世界については物流ネットワークの問題がありますし、もともと世界のブランドの方たちが先人として売っていらっしゃるので、簡単ではないのですが、一番近くに世界で最も人口の密集したアジアがあるので、そのような意味ではアジアから少しずつ販売をしていこうということで、シンガポールや台湾、中国も提携の会社が2社あるので、少しずつ進めてはいるのですが、それは次の戦略でと考えています。

ただ、さきほども言いましたが、まだまだ世界から輸入した水をみなさま飲んでいらっしゃるので、そのような意味でいくと、まだまだ内需はあると考えています。

八木:なるほど。やはり東京ですと、ウォーターサーバーやペットボトルのお水はなんとなくすぐ買うというイメージがあるのですが、地方ですとけっこう水道から直接飲めるという方もいらっしゃいます。私は山口県で働いていたことがありまして、やはりあまり水を買うというイメージがありませんでした。

萩尾:おっしゃるとおりで、さきほどの100万ユーザーの中の半分以上は関東圏のユーザーです。私も同じように考えていました。ただ、例えば熊本の阿蘇に水源があるのですが、熊本の大きなスーパーでウォーターサーバーの販売をするとき、「南阿蘇村のお水です」と言って販売するのですが、ちゃんと売れるのです。ここは私が営業のキーであると感じているところでして、水は無味無臭で安心・安全できれいなものでないといけないわけですが、味の違いについてはなかなか感じづらいので、「このような便利なものがあって、配送してくれますよ」というサービス面をきっかけとして推すだけでして、そのようなところからスタートしていくことも十分にあるのかなと思っています。

熊本の水道水は地下水でおそらくきれいだと思うのですが、そのようなところでも、営業できっかけをお伝えしていければ、ユーザーが意外に喜んで使ってくれることがあります。そのようなお客さまもおそらくスーパーで違う水や、海外から入ってきた水を買っているのだと思います。地元で作られたものを地元の人たちで食していくという「地産地消」で経済を回していくというのは、今の日本にとってすごく大事なことだと思っていますので、そのようなきっかけを与えるビジネスにもなっているのではないかと思います。

坂本:営業員の方がある程度売れるようになるまで、最初はコストがかかるという話をお聞きしたのですが、もちろん、できる人は早いと思うのですが、平均どのくらいで収益化できるのかお伺いしたいです。

萩尾:例えば人事の評価において、営業はわかりやすいのですが、がんばった結果がすぐ評価されたらまた次がんばろうというサイクルになってきます。たとえば、教えただけで顧客を獲得できたとしても、それが長続きするかというのはまた別の問題です。

当社は「何をがんばったらどこまで出世できるか」というような部分も含めて、営業会社としてのノウハウが積み上がっていますので、教育システムがしっかりできています。

坂本:それが可視化されているということですね。

萩尾:また、営業ができる人たちの中に少数の新入社員を入れると、獲得できるようになるスピードが早いと思います。

坂本:教えてくれるからでしょうか?

萩尾:そのとおりです。ただ、もともと営業が弱い組織の中に新入社員が入ると、「顧客が獲得できないからおもしろくない」と辞めていくことにもつながるため、やはり既存の社員と新入社員の人数のバランスを崩してはいけないと感じています。

例えば、当社では新入社員が1ヶ月などで戦力になるのですが、他社は2ヶ月から3ヶ月、あるいは1年たっても戦力にならないこともあります。基本的に、営業で赤字が出ていれば事業を続けられないため、退社などにつながることが多いのではないかと思いますが、当社はそのあたりも全く違っています。

八木:今回の新型コロナウイルスの影響によって、会社内での人材育成に何か変化や課題は出てきましたか?

萩尾:そうですね。当社は上場企業ですので、当たり前ですが、社会のルールはしっかり守ろうということで、業務や面接、新入社員の研修も、全部リモートで行ないました。また、4月1日入社の新入社員は2ヶ月の在宅待機というかたちになったため、影響があると言えばあったのですが、既存ユーザーの売上の恩恵がありましたし、このような状況ではありますが、「リモート」は様々な事ができるとわかったため、今後は、教育面も含め、さらなるプラスにつながることが多いのではないかと思っています。

今までは対面でないとできなかったことが、地方に営業に行っていたとしてもその場でできるため、非常にプラスに働きます。最終的にはお客さまへリモートで対応するのもおもしろいかと思っています。ですから、気づけた事のほうが多かった気がします。

坂本:既存のお客さまに対してネット注文や意見を送れる部分はしっかり整備されていると思いました。

質疑応答:宅配水事業以外の事業展開について

坂本:投稿いただいた質問ですが、「我が家も御社のサーバーを入れています。おいしいです。水以外の事業展開は考えていないのでしょうか。生鮮EC等の親和性は高そうに思います」という質問です。宅配ということで、自社流通網があれば可能かとは思うのですが、このあたりも含めてお伺いしたいと思います。

萩尾:おっしゃるとおりだと思います。すごく相性のよいビジネスだと思っているのですが、当社が扱う商品は水のため、基本的には合わないものはあまりなく、生活必需品という意味で、生活まわりの商品であれば、なんでも一緒に売れると思いますので、現在、どこと組むかを慎重に模索しているところになります。さらに物流においても、一緒に物を運べる会社であれば、我々の物流コスト削減にもつながるため、非常に相性がよいと思います。

そのため、現在、生鮮食品を配達している会社とエリアごとのテストマーケティングを少しずつ行なっている状態ですので、早いうちに発表できればと思っています。

坂本:確かに、2WAYの会社であれば、その部分は必ず取りにきますよね。

萩尾:おっしゃるとおりです。

坂本:逆に物流の効率化を考えると、実は自社網がよいのか、そうではないのかという話にもなりますよね。

萩尾:「ここと組みたいな」という会社もたくさんあり、実際にアプローチしたり、向こうからアプローチが来たりということもありますので、そのあたりは期待して待っていていただきたいと思います。

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