アライドアーキテクツ、競争力の高い自社サービスの展開により、付加価値売上は再び増加トレンドへ

2020年6月14日にログミーFinance主催で行なわれた、第13回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第1部・アライドアーキテクツ株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:アライドアーキテクツ株式会社 代表取締役社長 中村壮秀 氏\n元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏\nフリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

会社概要

中村壮秀氏(以下、中村):アライドアーキテクツの中村です。まず、会社概要からご説明させていただき、その後に事業の概要に移ってまいります。私が前職で「ゴルフダイジェスト・オンライン」というeコマース(以下、EC)の責任者だったとき、インターネットのECにおいて、今後ソーシャルメディアが非常に大きな力を持ってくるのではないかと感じたことがきっかけで、2005年に設立しました。

続きを読む

その後、さまざまなサービスを作ってきまして、基本的にはソーシャルメディアの成長とともに会社が大きくなってきたと思っています。とくに、「B2B」として、ソーシャルメディア上のマーケティングでの課題に対するソフトウェアやソリューションを提供しています。グループ企業は6社ありますが、いくつかはのちほどご説明するため、ここでは割愛します。

スライド右側に、「弊社グループの拠点と人材」と書いてありますが、今、拠点数は7つありまして、東京にある拠点が一番大きいものになります。また、ベトナムのハノイやホーチミンに開発センターがあり、さらにシンガポールに弊社の基幹事業をなしている子会社の1つがありまして、その営業所がイギリスのロンドンと、アメリカのオースティンやニューヨークにあるというかたちです。

結果として、グループの社員は200名強と、非常にさまざまな国籍の人々が参加しています。現在、エンジニアがだいたい25パーセント以上ということで、今後マーケティングにおいてグローバル化およびソフトウェア化が進んでいく中でのチームとしてはよい比率になってきていると考えています。

アライドアーキテクツ・グループとは?①

アライドアーキテクツ・グループがどのような会社なのかを簡単な言葉でまとめると、日本とグローバルにおける企業のマーケティングの課題に対し、ソフトウェアならびにヒト、チームによるソリューションを提供する会社です。

どのようなソフトウェアがあるのか、どのようなソリューションがあるのかということに対してお答えします。まず1つ目が技術的な部分ですが、例えば、「Facebook」や「Twitter」などのような、現在伸びているメディアは技術的な会社ですので、そのようなところとアライアンスを組めるような技術を開発していくことです。また、ソーシャルメディアは個人ユーザーが参加していることが非常に多いため、そのような個人のネットワークを活用したデジタルにおける広告やコンテンツを制作していくことが弊社の強みになっています。

さらに、のちほどご説明しますが、今後のマーケティングには、ファンの存在が非常に重要だと弊社はずっと説いてきており、ファンと企業におけるコミュニケーションの運用支援も弊社の強みです。

「デジタル広告・コンテンツの制作」と「コミュニケーションの運用」についてお伝えしたのですが、どのようなものが弊社のアセットとして強みになっているかをご紹介させてください。

アライドアーキテクツ・グループとは?②

まず、スライド左側のソフトウェアのアセットです。弊社は10年以上ソーシャルメディアのマーケティングに活用できるソフトウェアの開発を行なっており、非常に多くの企業に利用いただいています。

また、海外の事業でも、弊社に登録しているデザイナーに活躍いただいていますが、現在、登録だけで1万人以上のデザイナーが在籍しており、アクティブでは500人以上の広告制作に長けたクリエイターが世界中にいることが、弊社のアセットだと思っています。

さらに、SNSプラットフォーマーとのアライアンスです。日、中、米および世界中のソーシャルメディアのプラットフォームのロゴが載っていますが、これらの企業とのアライアンス、パートナーシップが弊社の強みになっていると考えています。

次に、国内ですが、「Instagram」やブログ、「Facebook」など、さまざまなSNS上でご活躍されているマイクロインフルエンサーの登録者数が30万人以上います。このような方々に、例えば商品を体験してもらってレビューを書いてもらうなどを行なっており、このような関係性も弊社のアセットだと感じています。

その下に、在日中国人やインフルエンサーのネットワークが2,000人以上と記載されていますが、現在、対中国のマーケティングが非常に伸びています。弊社は、日本にいる中国人のソーシャルメディアのインフルエンサーのネットワークを数多く保有しており、このような方々と企業とのアライアンスもプロデュースしています。

また、「グループ各社の人材」について、コミュニケーションの部分では、やはり戦略を立てて方向性を出していくことが重要です。例えば現在、野村ホールディングスとの合弁会社「ファンベースカンパニー」がありますが、こちらはまさに企業がファンをベースとしたマーケティングに取り組む上での指針を作っていく事業を行なっています。スライドの写真の左側に映っている佐藤尚之氏がその領域のトップ人材だと思っていますし、中央の津田匡保氏は、まさに顧客との関係性から生まれて成功した「ネスカフェ アンバサダー」というプロダクトを作っていた方で、このような方々と一緒にファンをベースとしたマーケティングの仕組みを作っているところです。

スライド右下にある「日本・中国のSNS運用・広告ノウハウ」は実績によるもので、弊社は長年かけて、これらの2つの強みをアセットとして蓄積してきています。

アライドアーキテクツ・グループが挑む社会課題と解決策

弊社がどういった課題解決に取り組んでいるのかですが、主に3つあります。

1つ目が、「人口減少と超成熟市場」です。スライドに日本の人口の推移を記載していますが、今後は人口が減って高齢化が進んでいき、日本人がサービスを購入するにあたっての「見る目」はどんどん肥えていく状況であり、結果的には新規顧客の獲得が困難になってくるかと思っています。

一方で、現在のマーケティングはほとんどが新規顧客獲得に向けられている状況だと思います。しかし、我々はまったく別のアプローチで、既存のお客さまやファンとの関係性を重視するほうが、実は新規顧客獲得につながっていき、長期的な繁栄が実現できるという考え方を促進していくことが日本企業の繁栄につながると考えています。

スライド中央は、もう言わずもがなではありますが、「デジタル・ソーシャル時代」へ突入していく中で、企業はこれからデジタル・ソーシャル化が必須になってきても、それにふさわしい人材がいないという問題が出てくるかと思います。そのため、弊社がそのような人材を育成し、彼らが企業を支援していくことで課題を解決できると考えています。

そして、スライド一番右側に「グローバル集客時代」と記載していますが、スライドの一番左側にあるとおり、今後、日本は若干人口が減っていきます。今後、日本企業が伸びていく上では、やはり今までのようにトヨタ自動車やソニーのような大手だけではなく、さまざまな日本企業が世界中から収益を得られるような環境が必要になってくると考えています。のちほどご説明しますが、こちらに対してもインバウンドと越境ECという部分で支援を行なっており、とくに中華圏においてニーズがあると考えています。

一方で、インバウンドは現在、まさに新型コロナウィルスの背景の中で非常に苦しい状況ではありますが、日本のサービスや商品に対してのニーズが引き続き高いため、それを越境ECがサポートしていくかたちになるかと思っています。

ミッション 事業展開

弊社は「ソーシャルテクノロジーで世界中の人と企業をつなぐ」というミッションでずっと事業を行なってきていますが、ソーシャル、グローバル、クリエイティビティ、ファンといった要素を大切にして社員を育成し、サービスを作っている会社です。

先ほどご説明したような強みやアセット、課題に対しての4つの事業ポートフォリオによって事業を展開しています。スライド右側の4象限の図中の左側の2つが日本の企業をお客さまとしたもので、左上が日本のユーザーやファンを対象としたマーケティング支援サービスを行なう「マーケティング・ソリューション事業」であり、左下がソフトウェアでできることをどんどん実施していく「マーケティング・ソフトウェア事業」です。

右上が「クロスボーダー事業」で、日本の企業が中国に進出する際のお手伝いをしています。日本の企業がお客さまですが、彼らがターゲットとする市場は、中国です。右下は欧米企業をお客さまとした事業です。お客さまはとくにゲーム会社が非常に多く、そのような企業のグローバルなマーケティングにおける広告制作を、ソフトウェアならびに世界中のデザイナーを提供するかたちで支援する事業になります。

弊社はまだ小さな会社ではありますが、今後も日本ならびに中華圏、欧米に向けて、ソーシャルメディアを活用したりファンを大事にするコミュニケーションという、今後のマーケティングにおける成長市場に対しての布石を打ってきたと考えており、今後はこれらをしっかり伸ばしていこうと考えています。

提供するサービス

現況をご紹介すると、スライドの上の2つはソリューション関連、下の2つはソフトウェア関連に分けられます。のちほどご説明しますが、弊社はソフトウェア関連のところで「付加価値売上」という指標を用いており、売上というよりも粗利に近いものを「付加価値売上」と呼んでいます。

そのような分け方で見ると、ソフトウェア関連は四半期において3億5,000万円くらいの付加価値売上がある中で、継続型あるいはSaaS型のようなものが2億7,000万円を占めており、スポット型やキャンペーン型が8,000万円くらいを占めています。この中に日本向けと欧米向けがありますが、日本向けのほうが大きい状況です。

ソリューション関連は、2億1,000万円くらいになりますが、「WeChat」や「Weibo」の運営、「Facebook」「Twitter」の運用という継続型のご支援も伸びてきています。一方で、スポット型の単発キャンペーン企画のようなものは、スライドにあるような比率になっており、主に日本と中国を市場にしています。

4つの事業ポートフォリオ

弊社の4つの事業をご紹介しましたが、それぞれの成長性について、スライドのグラフで示しています。横軸が売上の営業利益率で、縦軸が付加価値売上の成長率である売上成長率です。左側にある欧米を中心とした「クリエイティブ・プラットフォーム事業」がまだ赤字ではありますが、現在成長してきており、2020年も引き続き強い成長を見込んでいます。

また、越境ECですが、中国向けも非常に強く成長してきており、2020年も引き続き高い成長率になると考えています。まだ利益が小さい事業ですが、今後に期待しています。

一方で、右下は「マーケティング・ソフトウェア事業」「マーケティング・ソリューション事業」という、これまでのアライドアーキテクツを支えてきてくれている2つの事業ですが、これらも昨年、事業を力強くするために入れ替えやチューニングを行ない、今年もさらに成長させていきたいと考えています。そのような意味で、この4事業はどれも期待できるものに育ってきたと考えています。

ターゲットとする市場

ターゲットとする市場を、ご説明した4つの事業になぞらえると、左下の緑色で示したソフトウェアの市場は将来的には7,500億円になると考えています。また、その右のグレーで示したファンをベースとした市場について、日本の総広告費が6兆9,000億円ある中で、「2:8の法則」と呼ばれるのですが、20パーセントの人たちが80パーセントの売り上げを作っているのが常であり、その一方で、広告宣伝がそうでない方に向けられていることが多いため、ファンを大切にするマーケティング活動を行なっていくことで、10パーセントくらいはこちらの市場になってくるのではないかと考えています。

中央上の黄色の部分は中国向けの事業です。中国は「デジタル・チャイナ」と言われていますが、非常にデジタル化が進んでおり、さらに広告も日本より大きい状況になっています。日本から中国へ、逆に最近では中国から日本に出てくるものも若干ありますが、このような中国向けの市場は2,000億円くらいの規模があると考えています。

右下の薄茶色で示した欧米の広告制作事業については、デジタル広告の制作事業もあります。欧米は日本以上にデジタル化が進んでおり、「YouTube」や「Facebook」の広告市場がどんどん大きくなっているのですが、これらの広告には必ず制作が必要になります。

テレビ広告のように大きいものを1つ作ればいいわけではなく、テキストベースや静止画ベース、動画ベースから、今度は3Dのように、さまざまな形式のものを作る必要があります。さらに、それぞれのフォーマットが異なっており、制作には相当な労力が掛かるため、我々はそこに対処するようなサービスを展開しています。この広告クリエイティブのマーケットは非常に大きく、1兆円くらいの市場があると考えています。

四半期売上高及び付加価値売上推移

2015年からこれまでの推移を四半期ベースで記載していますが、先ほどご説明したとおり、赤いグラフで示したのが付加価値売上、すなわち粗利に近いものになり、グレーのグラフが売上高です。

売上高で一時期非常に大きくなっていた点についてお話しします。これはシンガポールの子会社において、非常に粗利率が低い広告代理というサービスを行なっていた時代があり(現在そのサービスはなくなっていますが)、売上だけは大きく影響を受けていました。これは市場的にもIR的にも非常にミスリーディングであると感じており、売上高ではなく付加価値売上が伸びていれば、弊社の成長性が見られると考え、このような整理を行なっています。

四半期ごと事業別付加価値売上推移

前のスライドの赤いグラフだけを大きくして、内訳を出したものがこちらのグラフで、先ほどお伝えした4つの事業が入っています。全体としては伸びてきており、今年、このようなかたちで第4四半期に向けて4つの事業がそれぞれしっかり伸びていける土台ができてきたため、これらをしっかり伸ばすことにより、さらなる成長を目指していこうと考えています。

事業別概況−マーケティング・ソフトウェア事業

4つの事業をもう少し深堀りしてご説明します。まず、マーケティング・ソフトウェア事業は、月額課金型モデルに注目して展開しています。とくに最近は「Instagram」や「Twitter」をベースとしたソフトウェアが非常に伸びています。

例えば、「Instagram」に投稿されている画像が企業の広告に盛んに使われており、とくに最近のバズワードでもある「D2C」という、インターネット販売を中心とした商品を消費者に直接的に販売する取引には非常に有名なブランドが参画しています。彼らにはソーシャルメディアのユーザーにファンが多く、ファンは商品の使用感をどんどん「Instagram」に上げてくれます。そのような投稿を企業のサイトに掲載すると非常に効果があがったり、場合によっては「Instagram」でさらにそのような投稿を拡散していくと、どんどんファンのネットワークが広がったり、ユーザーとのコネクションが強くなったりします。そうしたコミュニティをしっかり作っていくためのサポートを行なうソフトウェアが「Letro」であり、今、非常に伸びています。

「echoes」は「Twitter」上の販促キャンペーンで、店舗集客なども可能になるサービスですが、「Twitter」も日本では非常に伸びてきており、この販促ツールを使ってリアルとネットの融合というかたちで事業を行なおうとしている企業も増えてきている状況です。

結果的に、このような注力ソフトウェアの販売が伸びていく中で、今後はSaaSの売上も伸ばしていこうと考えています。

事業別概況−マーケティング・ソリューション事業

2つ目のマーケティング・ソリューション事業ですが、こちらは継続型の売上が非常に多く、継続的に企業のマーケティング活動に寄り添っていくかたちの事業です。

昨年は、付加価値売上が若干伸び悩んだ部分がありますが、第3四半期から再浮上してきています。サービスのポートフォリオを組み替えながら、ファンとのリレーションシップをしっかり構築していくためのサポートを行なっているため、さらに強くなってきていると考えています。

スライドの写真は、先ほどお話しした弊社の持分法の会社である「ファンベースカンパニー」の佐藤さんが出している『ファンベース』という書籍で、現在、企業の注目度が非常に高くなっています。この書籍は現在マーケティングの中では最も売れている書籍の1つで、企業がただ単に広告を通じて新しいお客さまを獲得していくことよりも、既存の顧客との連携を強化する中での成長性に注力している証拠だと感じています。

「ファンベース」の考え方を用いて、どのようにソーシャルメディアのアカウントを運用したらよいのか、どのようなマーケティングキャンペーンを行なったらよいのかについては、アライドアーキテクツがもともと持っている強みとの融合によって相乗効果が生まれていくと思います。

事業別概況−クロスボーダー事業

クロスボーダー事業は、中国の事業です。こちらは現在、2018年から見てどんどん右肩上がりで伸びてきている事業だと感じています。

とくに現在、力を入れているのが弊社の独自性のあるサービスです。日本に2,000人のコミュニティがある非常に熱量の高いもので、企業が中国で「これを売ってみたいな」と思ったときに、このコミュニティに相談してユーザーに体感してもらい、書いてもらった口コミを分析すれば中国での売上の予想ができますし、実際に中国での販売の初速を高めることが可能になってくるものです。こちらのコミュニティを利用したサービスが非常に伸びてきています。

さらに、日本のインフルエンサーやYouTuberたちも中国に進出しようとしているため、日本に住んでいる中国のインフルエンサーやYouTuberが日本の企業の商品を徹底的にレポートすることができるような体制も整えています。

結果的に、例えば日本の化粧品メーカーなどの大手企業から何度もサービスを利用いただいており、さらに現在、インバウンドが減少する中で、どのように越境ECのプロモーションを行なっていくのかということで、弊社のサービスが求められていると考えています。

事業別概況−クリエイティブ・プラットフォーム事業

クリエイティブ・プラットフォーム事業は欧米の顧客をターゲットにした事業ですが、売上成長についてはスライドのとおりです。2018年12月期第3四半期に世界中の広告制作の市場をとりに行く今のビジネスモデルになり、ここから右肩上がりで成長してきて、若干、第1四半期でへこみました。こちらは、欧米の企業が今年の2月から3月くらいに完全にロックダウンしてしまい、パタッと止まってしまった部分があったためで、現在の第2四半期くらいからは、また活動も再開してきているため、新型コロナウィルスの影響はあったものの、再成長に向かっていけると考えています。

スライド右側が弊社が提供したクリエイティブの事例ですが、とくにゲーム産業は現在、非常に伸びてきている産業で、さらにリッチ化していくと考えられます。その中で広告制作もリッチ化していかなければならないということで、弊社のソフトウェアを利用いただいています。ここで世界中のクリエイターたちがさまざまな広告を作っているのですが、このようなものを弊社のプラットフォーム上で制作できるようになっています。

最近は広告が1つできると、サイズを変えたり、フォーマットを変えたりと、実はかなり作業が大変なのですが、テクノロジーで自動的に背景を調整するなどを行なっており、現在、好評をいただいています。

連結損益計算書サマリー

直近で発表している業績はスライドのとおりで、先ほど付加価値売上を重要視しているとお伝えしましたが、2019年12月期第1四半期については若干の成長となっています。先ほどもお伝えしたとおり、現在、国内の事業に関してはポートフォリオの組み替えを行なっており、より成長性の高いものにブラッシュアップした部分について、中国や欧米など海外の売上が伸びてきたため、第1四半期は4つの事業がちょうどシンクロして伸びていける転換点だったのではないかと考えています。なお、2020年12月期第1四半期の営業利益は約1,500万円となりました。

まとめ

2020年12月期第1四半期を終えた時点から新型コロナウィルスの影響が出ている状況ではあるのですが、年初に掲げた売上高45億5,000万円および営業利益1億円という予想に関しては、据え置きとさせていただいている状況です。

新型コロナウィルス禍に伴う対応

新型コロナウィルスへの対応では、やはり手元資金を厚くしています。欧米の事業を展開する弊社子会社であるシンガポールのCreaditsに、DNX Venturesと住友商事から3億円強の外部資本の注入を行ない資金を手厚くした状況です。

働き方の部分ですが、弊社の場合はもともとリモートワークが進んでいたため、4月の平均在宅勤務率は93.6パーセントでした。今後も不安定な情勢が続くかもしれませんが、そのようなところにも対応できると考えています。私からの資料のご説明は以上となります。

質疑応答:「ファンベース」の長期的なマーケティングのスパンについて

八木ひとみ氏(以下、八木):それでは、質疑応答に移らせていただきます。まずは、ログミーFinanceの「Twitter」で事前に募集していた質問です。「ファンをベースとした長期的なマーケティングとありますが、どのくらいのスパンを想定していらっしゃいますか」というご質問をいただきました。このあたりは、いかがでしょうか。

中村:こちらはやはり長期的なお話になってきています。例えばファンをベースにするというのは、ファンにたくさん買ってもらおうということではなく、まずはファンの方々としっかりコミュニケーションをとっていくことです。そこで、企業はどのようなマーケティング展開を行なっていけばよいのかという戦略から入るため、1年から2年というスパンで、しっかり腰を据えて進めていく必要があります。

企業も比較的短期的な成果を求めがちなのですが、先ほどご説明したような世の中の背景で、新規顧客獲得が今までのようなやり方では難しくなっているため、これから企業が中長期的に繁栄していくためには、既存のファンを大切にすることで「この会社はいい」と思ってもらい、その会社の価値を理解してくれるようなコミュニケーションを取っていくことが重要です。実は、「急がば回れ」であり、ファンを大切にすると新しい顧客を連れてきてくれるということを企業も理解し始めているため、中長期的ではありますが、しっかり取り組もうとしてくれていると感じています。

坂本慎太郎氏より質問

八木:それでは、坂本さんからのご質問をお願いします。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):先ほどのご説明で、御社は「Letro」や「echoes」といったマーケティングソフトウェアに注力しているというお話でした。このマーケティングツールを使用しているマーケターの割合は、今のところ30パーセント以下とのことですが、このツールを使うことで、省人化やデジタルマーケティングの質の向上が実現すると思います。そこで、クライアントはこの手のツールをどのように使っているのかと、今後の利用者数の増加イメージ、さらに御社のツールの強みを教えていただきたいと思います。

中村:現在、「Letro」を使用している企業は120社くらいあり、月額は10万円から120万円くらいになっています。企業がソーシャルメディアのユーザーとの関係性を1つ1つ手作業で作っていくことはなかなか大変であり、弊社のツールを使うことによって、より正確に、よりよいコミュニケーションが取れるようになっていくため、非常にニーズが高いと感じています。

とくに最近では、「D2C」関連の企業の利用がどんどん増えてきています。おそらく、これからは既存のメーカーでも従来型の流通というよりもインターネットを中心としたブランド作りが必要になってくると思いますので、このような企業の方向性に合致すると思っています。また現在、ECに特化した多くの企業から利用されていますが、ECをこれからの成長ドライブにしていこうという企業にとっても、ソーシャルメディアや「Instagram」の存在は確実に重要になってくるため、その中でのユーザーの投稿をどう企業活動に活用していくかという部分でのニーズは高いのではないかと考えています。

「echoes」についてですが、こちらは店舗ビジネスを行なっている方に非常に有効だと感じています。店舗でのリレーションシップや集客には「Twitter」が非常によいツールだと思います。そのような意味で、今まで外食産業や百貨店などにご利用いただいていますが、今後はより小さい会社でも活用いただくチャンスはあると思いますし、大手企業のさまざまなブランド展開にも利用いただけるのではないかと考えています。

坂本:スライドの21ページに、サービスを使用している企業のロゴが掲載されていますが、ガストなども広告戦略やクーポンなども含めてかなり活用しています。フォロワー数も数十万人、あるいは100万人に近いくらいだったと記憶していますが、そのあたりからも、有効に使えるツールであるということですね。

中村:今までは、店舗であれば目の前の「人通り」からお店に来てもらえばよいというかたちだったと思いますが、そうではなく、自分で集客できるエンジンを保有したほうがよいと思うようになってきています。例えば、「新たにデリバリーを始めます」ということになった場合、フォロワーが100万人の企業はフォロワーにそれを伝えられますし、さらに、ファンであるフォロワーが周りの人に伝えてくれるという環境になっています。しかし、そうではない企業がどのようにしてそれを伝えようかとなった際に、チラシをまいたり、大きな広告を打ったりするのは効率が悪いと考えています。

そのため、フォロワーとの関係性をしっかり構築していくことが、店舗にとっては非常に重要になってくると思いますし、さらにそのような方々がファンであったりすると、どんどん応援してくれることで応援経済が成り立ってきますので、各企業がこのような環境を持つことが、とくに現在の新型コロナウィルス下の情勢の中でも重要になってくると考えています。

坂本:おっしゃるとおりです。確かに今後は「ファンビジネス」というものが重要になり、「Twitter」であれば「ファンビジネス」の入口に位置する人たち、つまりフォロワーを囲い込むことで、そこから先の戦略などを組んでいけるようになると思います。僕も個人的に「Twitter」を使用しているのですが、非常に有効なツールですしこのようなセミナーについてやお知らせを告知できるため、非常に助かっています。

次の質問に移りたいと思います。新型コロナウィルスの影響に鑑みて、手元の資金に厚みを持たせて強化されたというお話がありました。新型コロナウィルスが落ち着けばこの緊急資金は返済されるかもしれませんが、実際のところ、M&A等々の使いみちが生まれてくると思います。設備投資も含め、M&Aなどの資金の使いみちのイメージがあれば教えていただきたいと思います。

中村:もちろんM&Aは随時検討して、いい出会いがあればと考えてはいるのですが、一方で弊社は、先ほどご説明した4つの事業に積極投資してきたと思っていますので、まずは既存の4つの事業の業績をしっかり伸ばしていくことに集中しつつも、いい出会いがあれば投資を検討していこうというスタンスで考えています。

坂本:もう1つ、クロスボーダー事業について、日本企業の中国への進出の戦略立案から施策の実行まで支援しているとご説明いただいたのですが、中国のインフルエンサーへは、日本や欧米と違った独自の戦略が必要なのでしょうか? 中国は、米国ないし中国以外のSNS等々への規制がかなり厳しいため独自性があるのではないかと思っています。このあたりの取り組みの事例や、御社の強みを教えていただけるとよりイメージが湧くと思いますので、このあたりを教えてください。

中村:そもそも中国は、「Facebook」や「Twitter」が届かない場所ですので、海外とはいえ、企業にとっては欧米などとは施策が異なり、中国だけは別で考えなくてはなりません。さらに中国は「デジタルチャイナ」と言われているとおり、かなりソーシャルメディアが進んでおり、かつマスメディアよりもソーシャルメディアの利用時間比率が非常に高い状況です。ホームページもソーシャルメディア上にあることが多いため、まずは企業が発信母体を「WeChat」や「Weibo」、また「抖音(TikTok)」のようなソーシャルメディアに作っていくことが必要になり、弊社はこの部分をサポートしています。

しかし、発信母体を作っただけで広まるわけではありません。例えば、弊社が独占契約を結んでいる北京の会社は、80万人のインフルエンサーに登録いただいており、彼らが反応することで企業の存在やサービスが広まっていくという接点を作っています。

中国に住んでいるインフルエンサーには80万人のネットワークがある一方で、日本では日本に住んでいる人で対応していこうということで、日本に住んでいる中国人が2,000人くらい弊社の運営するコミュニティに登録しています。その中には、中国でも有名でフォロワーの多い人が10人強いるため、彼らに依頼して、日本企業の強力なサポーターになってもらうためのサポートを行なっています。

これまでお伝えしたことをすべてしっかり実施することで、例えば中国では、日本企業のメーキャップ道具が2年くらいで100万個も売れたというケースも出てきているため、デジタルでできることが非常に大きい国だと考えています。

質疑応答:景気が悪化する中でのSNS特化型サービスと他の広告業との違いについて

八木:それでは、Zoom ウェビナーのQ&A欄に投稿されたご質問や、事前にいただいていた質問についても、中村さんにお答えいただきたいと思います。「景気悪化の影響について、SNSに特化したマーケティングサービスだと他の広告業と違いがあるのでしょうか?」という質問ですが、こちらに関してはいかがですか?

中村:広告売上について、例えば日本の広告市場は6兆9,000億円ほどだと思いますが、我々は広告売上を伸ばそうとするのではなく、ソーシャルメディアのユーザーと企業との関係において、企業の魅力をどのようにユーザーに伝えていくかということを考えています。

「Facebook」ではこのような投稿をしたらよいのではないかといった「コミュニケーションの取り方」の戦略立案から実行までを行なったり、先ほどお話ししたとおり、ソフトウェアを販売していくというかたちをとっています。広告費を受託するというモデルはありますが、売上としてはそれほど多くはなく、ソフトウェアを活用いただいたり、我々の人的リソースでサポートしたりという業務が主なものになってきます。そのような意味で、市場は同じではありますが、アプローチがまったく異なります。

八木:景気悪化の影響については、どのように表れてくると思いますか?

中村:広告宣伝自体はけっこう過敏に反応する部分があると思うのですが、我々の場合はとくに、ソーシャルメディアでつながっているファンとのエンゲージメントを高めるためのサポートを行なっていますので、仮に景気が悪化したときでも「そちらへの投資をやめますか?」というお話になるかと思っています。

企業にとって一番大切なのはファンとの関係性です。新たな顧客との出会いを少し抑えようという気持ちが出てくるのはわかりますが、既存のファンに向けた投稿や働きかけについては、景気が悪いときはむしろ彼らからの支援や応援のニーズがあると思いますので、そのようなサポートをしっかり行なっていくほうがよいと思います。このようなタイミングでは、企業はファンをより味方につけていくようなマーケティングを行なったほうがよいと考えています。

質疑応答:マーケティング・ソフトウェア事業の売上数値について

坂本:事前に「Twitter」でいただいていた質問です。「マーケティング・ソフトウェア事業について、SaaSの売上や顧客数、単価や解約率の開示はできないでしょうか?」ということです。おそらく、SaaS関連の企業へ集中投資している投資家が多く、他の会社が開示しているため御社にも開示してほしいというお願いのようなものだと思います。こちらについてイメージで構いませんので、話せる範囲で教えていただけたらと思います。

中村:先ほどお伝えしたように、弊社の場合はさまざまなソフトウェアを扱っています。1つのソフトウェアだけを扱っているのであれば、そのような開示の仕方が向いていると思うのですが、単価のバラつきや、注力しているものとそうではないものなどがありますので、今のところ開示は行なっていません。

質疑応答:新型コロナウィルスの影響について

坂本:投稿された質問をいくつか拾いたいと思います。「よく聞かれるかと思いますが、新型コロナウィルスの影響はありましたか?」という質問です。こちらも、かいつまんでお知らせいただけたらと思います。従業員の方の在宅率が非常に高いというお話もいただきましたが、ビジネスの部分で、もともと交渉していたところが少し延期になってしまったといったことがあれば教えていただきたいと思います。

中村:新型コロナウィルスに関しては、2月から話題になっていたと思います。結果的にはそこまで大きくはないのですが、2月から4月にかけて、全般的にさまざまな影響があったと思います。

2月に関しては、中国がロックダウンしたことで中国全般の事業が止まりがちになり、3月になって欧米がかなり影響を受けて新規顧客の獲得が厳しい状況になりました。そして、4月になると日本で緊急事態宣言が出され、日本の新規顧客獲得およびコミュニケーションに関する事業は非常に難しい状況になったと考えています。

しかし、海外も日本も、ソフトウェアや既存の継続型の売上構成は多く、その部分のお客さまに支えていただきました。今の段階ではまだ新型コロナウィルスも落ち着いてはいませんが、ビジネス的には顧客とのコミュニケーションが取りやすくなってきたため、最近は新規顧客が開拓しやすい環境になってきていると思います。それは我々だけでなく、さまざまな企業がそのような状況だと思います。

八木:やはり、営業の方法も変わってくるのでしょうか?

中村:我々は「Zoom」のようなオンラインツールを営業の現場でも実装できているのですが、今までは、お客さまがそうしたツールを使った営業を受けられる状態になっているのかがキーだったと思います。今回の新型コロナウィルスの影響により、お客さま自体も、そのようなツールを使って営業を受けることに慣れてきていると思いますので、その意味では、時代が1つ先に進んだと考えています。

質疑応答:「ファンベース」マーケティングの事業拡大の見通しについて

八木:長期的なマーケティングとしての「ファンベース」は、企業側にとってかなり時間がかかるとしても、ある程度我慢して、大事に育てていこうというお話があったと思います。御社からすると、主力となるような利益の大きな事業に成長するまでにどれくらいの期間がかかるとお考えですか?

中村:「ファンベースカンパニー」は、我々と売上で連結しているわけではない(注:持分法適用関連会社)のですが、現在、こちらの会社には非常によいスタッフが集まってきており、どんどん伸びています。これから我々と連携して、より「ファンベース」を中心としたソーシャルメディアの運用支援を行なっていくわけですが、こちらは我々が以前から力を入れて行なってきている事業であり、会社にとって重要な事業のため、今後ファンベースカンパニーの成長が加速していく中で、さらに伸びていくと思っています。そのため、先ほどの4つの事業のかたちができてきて、それぞれが競争しながら成長していけるような環境になればと考えています。

質疑応答:クリエイティブ・プラットフォーム事業の成長要因について

坂本:「クリエイティブ・プラットフォーム事業の成長の要因は何でしょうか?」という質問です。3D動画のニーズ増による顧客単価の拡大とご説明いただいているのですが、この3D動画というものは単純に単価が高いのか、あるいは技術的に難しく優位性があるため単価が高くなっているのか、どちらなのでしょうか? いろいろな動画を一発で変換できるようなものを持っているというお話しだったのですが、このあたりについて教えていただけたらと思います。

中村:とくに弊社のお客さまには世界中のゲーム会社が多く、弊社では3Dの比率が一番高くなっています。まず、弊社の強みが、アクティブで500名から700名くらいのデザイナーが世界中にいるということです。とくにヨーロッパのお客さまに関しては、例えばセルビアやウクライナのように、まだ人件費が比較的安く、それでいて感覚的なものやセンスが優れているチームで対応したり、アメリカのエリアであれば、メキシコや南米でデザイナーとして活躍している人たちとのコネクションが強かったりもします。このような人たちは、質が高くてもコストはそれほど高くないため、やはり競争力の1つになると考えています。

また、先ほどお話ししたようなソフトウェアをどんどん手掛けていくことによって、弊社の技術がブラッシュアップされ、さらに効率が上がって、従来の3D動画制作の提供価格よりもグッと抑えられています。市場としてのゲーム産業は先進的な例が非常に多く、今後デジタル広告のリッチ化が進んでいくため、これらのインフラや我々の持っているアセットに対するニーズが大きくなっていくと期待しています。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。