2020年5月22日に行なわれた、東急不動産ホールディングス株式会社2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:東急不動産ホールディングス株式会社 代表取締役社長 西川弘典 氏\n東急不動産ホールディングス株式会社 執行役員 西村和浩 氏
業績の推移及び2021年3月期予算の考え方
西川弘典氏:この4月に社長に就任しました西川です。大変な逆風下でのスタートとなりました。数ヶ月前には予想もしていなかった環境変化が起きており、本来であれば、みなさまと「Face to Face」でお話させていただくべきところ、本日では電話会議形式での説明会となり恐縮です。
それでは、業績の推移と2021年3月期業績予想の考え方についてご説明しますので、資料の3ページをご覧ください。
こちらにリーマンショック以降の業績の推移をグラフでお示しています。リーマンショック後、営業利益は350億円に落ち込みましたが、その後、2013年10月のホールディングス化等を経て、業績も順調に成長、財務基盤の強化も図ってきました。2018年3月期にスタートした現中期経営計画は、昨年5月に、最終年度である今年度目標について上方修正を行うなど、堅調な事業環境にも支えられて順調に進捗してきました。
2021年3月期目標としていた営業利益、当期純利益、DEレシオ、ROE、EPSなど、いずれの指標も十分達成できるものと考えていました。しかし、前期第4四半期以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、とくに「BtoC」の事業を中心に大きな影響を受けることとなり、事業環境は激変しました。
2021年3月期業績予想については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を合理的に見積もることが大変難しい状況にあります。未定とする選択肢もありましたが、第1四半期は当社グループの事業活動に大幅な制約が生じ、第2四半期以降、徐々に回復することを前提として、営業利益500億円、当期利益が260億円の予算です。
今回、想定した影響は広範囲にわたりすべてのセグメントに影響を織り込まざるをえませんでした。当社はこれまで多様なアセットに関与し、多様なお客さまと接点があることを強みとしてきましたが、「BtoC」の事業が多い当社グループにとっては、第1四半期を中心に、非常に厳しい経営環境であるとの認識を持っています。
2021年3月期における活動方針
続いて4ページをご覧ください。2021年3月期の活動方針についてお話します。まず現在の環境認識は、新型コロナウイルスの感染拡大により、従来の行動様式を自粛するなど、日々の生活環境が一変しています。
また感染拡大の影響による景気後退がどの程度のものとなるか不透明ではありますが、今後の不動産市況の変調の有無を注視していく必要があります。そして、大きな出来事が起きると、その後、必ず社会全体の価値観を変えるパラダイムシフトが起きてきましたが、今回も当然起きるであろうと考えています。
当社グループの活動方針ですが、当社グループのサステナビリティ確保とパラダイムシフトに対応した改革を進めています。サステナビリティ確保のために短期的に取り組むこととして、まずお客さまや社員を始めとするステークホルダーの安全確保が最優先と考えています。
徹底したコストの見直し、市況変調を奇貨とした投資機会の見極め、新たな生活様式に対応した商品・サービスの提供に取り組むとともに、危機を乗り越えるためのグループ・社員の結束を図っていきます。
パラダイムシフトに対応した改革として、当社グループの社会的使命に沿ったビジネスモデルを進化させるとともに、新しい事業機会の創出にも注力していきます。DX活用など、課題は数多くあると感じています。ちょうど次期中長期経営計画の策定のタイミングでもありますので、今ご説明したことを踏まえた計画にしていきたいと考えています。
このような事業環境におきましても、当社グループの株主価値及び企業価値の中長期的な向上を目指すというミッションは変わりません。一方で、今回のパンデミックリスクによって当社グループの課題も再認識しました。2021年3月期は、短期的な業績へのリスクを織り込み、次期中長期経営計画への課題整理を行う足場固めの1年にしたいと考えています。
最後になりますが、グループを挙げてこの危機を乗り越えることが最優先です。同時に、前例にとらわれない新しい視点で当社グループの企業価値を総点検し、将来振り返った時に、今年度がよい意味で大きな転換の年になったと言えるような1年間にしていきたいと思います。それでは、決算予算の概要について担当の西村よりご説明します。
業績ハイライト
西村和浩氏:西村です。6ページをご覧ください。決算予算数値については後ほどご説明します。トッピクスです。2020年3月期の主なトピックスは3点あります。
1点目は当社グループの新しい拠点となった渋谷ソラスタや渋谷フクラスの開業、そして当社として最大規模の開発である渋谷駅桜丘口地区再開発計画の新築着工等、広域渋谷圏を中心とする大型物件でして、こちらは順調に進捗しました。
2点目は、当社グループが注力する再生可能エネルギー事業についてです。大型物件が稼働し、投資もさらに進捗した1年となり、期末時点での投資残高は1,400億円を超える水準となっています。
さらに、財務面と非財務面を両面兼ね備えた取り組みとして、当社初となるグリーンボンドの発行を行いました。資金調達はもちろん、当社グループの環境課題への取り組みの認知向上という点においても意義のある取り組みとなりました。2021年3月期には、当社最大規模のオフィスビルとなる東京ポートシティ竹芝が竣工および開業を迎えます。
2020年3月期 決算・主要経営指標
次ページをお願いします。まず2020年3月期決算の概要です。営業収益9,632億円、営業利益793億円、経常利益675億円、当期純利益386億円となりました。
第3四半期まで当社の予想に対して順調に進捗してきましたが、第4四半期に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたことにより増収、営業減益となりました。しかし、特別損失の減少により、当期利益は7期連続の増益、過去最高益更新となり、有利子負債は1兆3,610億円、自己資本は5,833億円で、D/Eレシオは2.3倍でした。
2020年3月期 セグメント別実績
次ページはセグメント別の内訳ですが、後ほどご説明します。
2020年3月期 期末BS
スライドの9ページはバランスシートの概要です。期末の総資産は2兆4,874億円。前期末からは821億円増加しました。再生可能エネルギー施設や、稼働中の商業施設を中心とした投資等により、販売用土地建物が増加しています。また固定資産についても、大型開発進捗物件の進捗等に伴い増加しています。
賃貸等不動産の時価評価
10ページは賃貸等不動産の時価評価についてです。上段、表組みに記載のとおり、2020年3月期末の賃貸等不動産の簿価は8,345億円、時価評価は1兆915億円となりました。含み益は2,571億円となり、前期末と比べて117億円増加しています。こちらは開業前ですが、東京ポートシティ竹芝の住宅等を加えたことによる増加です。
2020年3月期 キャッシュ・フロー計算書
11ページはキャッシュ・フロー計算書ですが、下段の投資実績・計画についてご説明します。まず2020年3月期は、再生可能エネルギー発電施設や、稼働中の商業施設を中心に投資を進め、都市事業セグメントでの販売用土地建物の投資実績は704億円となりました。
マンション用土地に関しては、引き続き厳しい取得環境の中で厳選して投資を進め、249億円。設備投資については、大型開発を中心に投資を進め、1,361億円の実績となりました。
2021年3月期の計画ですが、販売用土地建物は、引き続きオフィスビル、商業施設、再生可能エネルギー施設への投資を見込み700億円、マンション用土地に関しては、引き続き厳選投資のもとで200億円、設備投資については、東京ポートシティ竹芝等、既存の開発プロジェクトへの投資を中心に1,200億円の計画としています。
なお、これらの投資のうち、広域渋谷圏に該当するものは2020年3月期の実績で583億円、2021年3月期の計画は100億円としています。
2021年3月期 新型コロナウイルスの感染拡大による主な影響
12ページをご覧ください。2021年3月期業績予想の説明の前に、新型コロナウイルス感染拡大による各セグメントへの影響について、簡単にご説明します。
まず、臨時休業等により、都市事業セグメントにおける商業施設、ウェルネス事業セグメントの運営施設、ハンズ事業セグメントなどが影響を受けると考えています。
また、営業店舗の休止など営業活動の制限により影響が生じる事業は、住宅事業セグメント、管理事業セグメントの工事業、仲介事業セグメントなどが挙げられます。いずれにしても、当社グループの全セグメントにおいて影響が発生することを見込んでいます。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の収束時期等により、実際の業績等は変動する可能性があります。業績予想の修正が必要となった場合には、あらためて公表します。
2021年3月期 業績予想
それでは次のページをお願いします。2021年3月期の業績予想の概要です。営業収益9,300億円、営業利益500億円、経常利益390億円、当期純利益260億円と、新型コロナウイルスの感染拡大影響等により対前期、減収減益の計画です。
また、既存の開発プロジェクトの投資に加え、コロナ影響による売上減少に伴い、有利子負債は増加、今期末の残高は1兆4,800億円、D/Eレシオは2.5倍を計画しています。なお、減益の予定ではありますが、配当については前期と同額の16円を予定しています。
2021年3月期 セグメント別業績予想
14ページは、セグメント別の業績予想です。後ほどご説明しますが、新型コロナウイルスの影響を全セグメントで受けて減益となっています。
都市事業① 2020年3月期実績・2021年3月期予想
15ページをお願いします。ここからは、セグメント別の説明に移らせていただきます。まず都市事業セグメントです。上段が2020年3月期の実績、下段が2021年3月期の予想となっています。実績は、渋谷ソラスタや再生可能エネルギー施設等の新規物件の稼働や、投資家向けのビル等売却収入の増加等により増収、新規稼働物件の寄与等により増益となりました。
予想については、東京ポートシティ竹芝等の新規物件の稼働を見込んでいるものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う商業施設の収益減少や、投資家向けのビル等売却収益の減少等により、減収減益の計画としています。
都市事業② 空室率・賃料の推移
次ページが空室率と賃料の推移です。空室率は赤の折れ線グラフですが、2020年3月末で0.6パーセントと、引き続き底堅い需要を背景に低水準で推移しています。
また棒グラフの平均賃料については、期末で月坪あたり2万6,790円と、2019年3月末と比較して約2,300円、9.3パーセント上昇しています。これは既存ビルでの契約改定による値上げが順調であったことに加え、渋谷ソラスタや渋谷フクラス、神保町北東急ビル等の新築物件が相次いで開業したことなどによるものです。
都市事業③ 主要プロジェクト
次ページが新規開業プロジェクトについての説明です。2020年3月期は渋谷ソラスタを始め、渋谷フクラス、神保町北東急ビルが開業しました。本年については、東京ポートシティ竹芝の開業を控えています。その後も、下段は広域渋谷圏ですが、神宮前6丁目地区の再開発事業。上段の九段南一丁目プロジェクトなど、複数のプロジェクトが進行中です。
都市事業④ 主要プロジェクト〈広域渋谷圏〉
次ページは当社グループの重点エリアである広域渋谷圏におけるオフィス、商業施設の地図となります。2020年3月期は、冒頭からお伝えしているとおり、渋谷ソラスタ、渋谷フクラスが相次いで開業し、当社グループにとって節目の年となりました。
さらに2019年10月には、桜丘口地区再発計画の新築工事が着工し、2020年1月には、左上の神宮前六丁目再開発事業が金利返還計画の認可を受けるなど、次のステージに向けても一歩踏み出すことができた1年と言えると思います。
都市事業⑤ 主要プロジェクト〈東京ポートシティ竹芝〉
19ページです。本年開業の東京ポートシティ竹芝の紹介です。オフィスのテナントとなるソフトバンクとともに、スマートシティ化を推進していきます。
またレジデンスタワーは総戸数262戸で、賃貸住宅のほか、サービスアパートメントやシェアハウスといったさまざまな形態の住居を計画しています。ビジネスマンを始め、クリエイターや起業家、外国人など、幅広い層をターゲットとしています。
都市事業⑥ 再生可能エネルギー事業
次ページは、再生可能エネルギー事業への取り組み状況です。当社グループでは、ReENEのブランド名で再生可能エネルギー事業を展開しています。
2020年3月末においては、稼働物件30件、開発中物件20件の計50件のプロジェクトに取り組んでおり、投資残高1,444億円、定格容量は1,041MWの規模です。この定格容量1GWを超える水準は、当社が有力な再生可能エネルギー事業者として海外からも認識される事業規模となります。
また2019年4月には、東急不動産が事業活動で消費する電力を100パーセント再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアティブ、RE100に加盟をしました。当社グループは、今後も太陽光、風力などの再生可能エネルギー事業への取り組みを通じ、サスティナブルな社会の実現に取り組んでいきます。
都市事業⑦ 物流施設事業
次ページは物流施設事業への取り組み状況です。循環型再投資事業におけるアセットタイプ拡大の一環として、LOGI'Qのブランド名で事業展開を進めています。2020年3月末において、稼働物件8件、開発中物件4件の計12件のプロジェクトに取り組んでいまして、投資残高は257億円、総延床面積59万4000m2の規模となりました。
右側は1月に竣工したLOGI'Q三芳の紹介です。アスクル株式会社様の倉庫の建替事業として始まったBTS型の物流施設です。
当物件では、安全性の追求に加え、東急ハンズによる空間プロデュースや、スポーツオアシスによる従業員の健康サポート等、当社グループのリソースを活かした取り組みも行っていきます。
物流施設は、EC市場の成長とともに今後さらにニーズが高まっていくと考えられます。今後も三芳の事例のように、当社グループの他の事業で培ったノウハウも活かしながら物件開発を進めていきます。
住宅事業① 2020年3月期実績・2021年3月期予想
次ページは住宅事業セグメントのご説明です。実績は、分譲マンションの計上戸数の増加により増収増益となりました。予想については、分譲マンションは対前期でほぼ同水準の計上戸数を予定していますが、一括売却の減少などにより減収となる予定です。加えて、分譲マンションの粗利率が低下することにより減益を予定しています。
住宅事業② マンション営業指標推移
次ページをお願いします。営業指標の推移ですが、2021年3月期は、前期並みの1700戸、1,046億円の売上を予定しています。マンションの売上予想に対する契約確保済みの割合は、期首時点で50パーセントとなりました。
粗利率については、左下に記載のとおり、2020年3月期の実績は23.1パーセント、2021年3月期は20パーセントを計画しています。また、2020年3月期末の完成在庫については、453戸となりました。2019年3月末からは減少しており、引き続き着実に販売を進める予定です。
用地の仕入れについては、2020年6月3月期において249億円の投資、1,943戸相当を取得しました。2022年3月期以降に計上を予定するランドバンクは、8,800戸となっています。
またグラフに記載のとおり、ランドバンクにおける再開発物件の割合は約40パーセントで、今後も引き続き高付加価値の再開発物件に重点を置きながら取り組んでいきたいと考えています。
管理事業① 2020年3月期実績・2021年3月期予想
続きまして、管理事業セグメントについてご説明をします。24ページをお願いします。実績はビル工事の管工増および渋谷の再開発物件を始めとする大型物件の新規管理開始等により増収増益となりました。なお、次世代・関連事業セグメントより移管された戸建リフォーム事業はマンション工事に含まれています。
予想は、前期に開業した大型物件等の管理収入の寄与がある一方で、新型コロナウイルスの感染拡大影響により、営業活動縮小による新規工事受注の減少や管理収益の減少が見込まれ、増収減益を予定しています。また2021年3月期より、次世代関連事業セグメントに含まれていた法人請負事業が当セグメントへ移管されています。
管理事業② 物件ストック状況
25ページは管理ストックの状況です。後ほどご覧いただければと思います。
仲介事業① 2020年3月期実績・2021年3月期予想
26ページからが仲介事業セグメントの説明となります。まず実績ですが、売買仲介の取扱件数の増加や、不動産販売の自社開発物件等の販売が増加し、増収増益となりました。予想は、新型コロナウイルスの感染拡大影響により、営業活動縮小による売買仲介の収入の減少等が見込まれ、減収減益の計画としています。
仲介事業② 売買仲介営業指標
次ページは売買仲介の営業指標です。上段の左、2020年3月期の実績については、リテール、ホールともに取扱件数が増加するなど、対前記の増収に寄与しています。
また下段の右側、2021年3月期については、新型コロナウイルスの影響に伴い、リテール、ホールともに取引件数が減少する見込みとなっています。
ウェルネス事業① 2020年3月期実績・2021年3月期予想
続きまして28ページをお願いします。ウェルネス事業セグメントです。まず実績は、前期の東急ハーベストクラブ軽井沢の共有持分引渡しの反動減や、第4四半期の新型コロナウイルス影響に伴う各施設の営業不振により減収減益となりました。
予想ですが、新規施設の稼働や資産の売却等が増加する一方、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う各施設の休館や営業縮小による運営収益の減少が見込まれ、増収減益の計画としています。
各施設における具体的な影響としては、東急ステイや東急ハーベストクラブ、スポーツオアシス等で休館や営業縮小を実施しているといった影響が出ています。
ウェルネス事業② 主要プロジェクト
次ページをお願いします。こちらはウェルネス事業セグメントの今後の主要プロジェクトです。上段はホテル事業の紹介であり、宿泊特化型の東急ステイが昨年の3施設に続き、今年度は2施設の開業を予定しています。また下段はシニア住宅の紹介です。昨年度は1施設、今年度はグランクレール芝浦、グランクレール立川の開業を予定しています。
ハンズ事業 2020年3月期実績・2021年3月期予想
続きまして30ページ、ハンズ事業セグメントについてご説明します。まず実績ですが、第2四半期まで既存店を中心として、前期比で増収基調でしたが、第3四半期以降の消費増税の影響や、第4四半期の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い減収減益となりました。
予想ですが、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大影響に伴う店舗の休業や営業縮小により減収減益の計画となっています。なお、店舗の営業は緊急事態宣言に伴い臨時休業していましたが、5月11日より、一部店舗は営業時間を短縮して営業を再開し始めています。
次世代・関連事業① 2020年3月期実績・2021年3月期予想
31ページをお願いします。次世代・関連事業セグメントです。まず実績ですが、インドネシアにおける分譲マンションの計上が増加した一方、戸建リフォーム事業の管理事業セグメントへの移管や海外事業での物件売却が減少したことで減収減益となりました。
予想は、新型コロナウイルスの感染拡大影響に伴うインドネシアのマンションギャラリーの休止、また法人請負事業の管理事業セグメントへの移管影響や、注文住宅事業の終了等により減収減益の計画となっています。
次世代・関連事業② 海外事業
次ページは海外事業、米国でのプロジェクトの進捗をプロットしています。現在進行中のプロジェクトは計18件となっており、主に賃貸住宅への投資を行っています。また右側、ニューヨークの425パークアベニューでオフィスの再開発プロジェクトを進捗させています。
社会課題に対応する事業展開
続きまして33ページをお願いします。アフターコロナを見据えたいくつかの取り組みについて簡単にご説明します。新型コロナウイルスの感染拡大により従来の生活様式や働き方が大きく変化する中、その後につながるいくつかの事例を紹介します。
左上は、東京ポートシティ竹芝におけるスマートシティ化への取り組みです。こちらでは、人流データや環境データを収集、分析することで、快適な環境を整備し、効率的にビルを管理する予定で現在計画を進めています。
また右側の再生可能エネルギー事業や物流施設事業については、すでにご説明したとおり、コロナ影響を受けておらず、今後の社会ニーズにも沿った事業と考えられます。
下段左側のシェアオフィスを提供するビジネスエアポート事業です。働く場所や働き方が大きく変化し、多様する中で、さまざまなビジネスパーソンに向けた新しい形の仕事の提供を目的としてスタートした事業です。現時点での開業予定も含め、都内に12店舗を運営していきます。
中段は分譲マンションでの取り組み事例です。ブランズシティあざみ野における庭先の専有部空間、アトリエです。専有部内でありながらも、他の居室とは分断されており、テレワークなどにも適したプライベート性の高い環境をつくることができます。
最後に東急スポーツオアシスが運営する「WEBGYM」です。アプリ等を通じて動画レッスンを受けることができます。以上、一例をお示ししましたが、今後もアフターコロナを見据え、また豊富なお客さまとの接点を十分活かし、価値創造を続ける企業グループを目指していきます。
自己資本・有利⼦負債の推移
次ページをお願いします。こちらは自己資本・有利子負債の推移です。有利子負債残高は、コロナ影響による売上減少などにより中経目標値からは増加となります。コロナ感染拡大の影響次第ではありますが、できるだけ早期回復を目指したいと考えています。
サステナブル経営
35ページは当社グループのサスティナブル経営についてのご説明です。2013年のホールディングス化以降、社会とともに当社グループの持続的な成長を実現するための取り組みを進めていきます。
取り組みの社外評価として、GPIFが採用するESG銘柄すべてに選定されています。また環境分野の取り組みとしてのCDPでは、A-と高い評価をいただいています。
また、一番下になりますが、社会分野Sでは、本年3月に健康経営銘柄に初めて選定されました。こちらは1業種につき原則1企業が選定されるもので、経営的な視点から、社員の健康管理に戦略的に取り組む優れた企業としての評価をいただいています。引き続きグループ全体での持続的な成長に向けて取り組みを進めていきます。
グリーンボンドの発⾏
次ページが本年1月に条件決定したグリーンボンドです。こちらは渋谷ソラスタとリエネ松前風力発電所の2つのプロジェクトを資金使途としたグリーンボンドで100億円を調達しています。投資家からも非常に好評を博し、発行金額に対して約2.6倍の需要を集めることができています。
株主還元
最後になりますが、37ページ、株主還元についてご説明します。現中経期間における還元方針については、安定的な配当の継続維持、かつ配当性向25パーセント以上を基本方針としています。ホールディングス化以降、7期連続で増配していました。
本年については減益予想となりますが、株主還元重視の観点から、昨年度末と同額の1株あたり16円を予定しています。ご説明は以上です。